院長インタビュー

地域医療の中核を担い、安全で良質な医療の提供を目指す――姫路赤十字病院

地域医療の中核を担い、安全で良質な医療の提供を目指す――姫路赤十字病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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兵庫県姫路市にある姫路赤十字病院は、1908年の創立から今日までの長きにわたり、地域に寄り添った診療を続けています。地域の中核的な医療機関として救急医療やがん診療などの急性期医療に注力するとともに“心のかよう安全で良質な医療”の提供を目指して取り組みを続けています。

そんな同院が担う役割や今後の展望について、病院長である岡田 裕之(おかだ ひろゆき)先生にお話を伺いました。

外観
病院外観

当院のルーツは明治初期に有志の医師が集まり、姫路城の廊内に開設した“会社病院”にあります。その後、日本赤十字社兵庫支部の管理となり、姫路赤十字病院が設立されたのが1908(明治41)年でしたから、この地域の医療に携わって120年近くになるでしょうか。姫路市内にある医療機関の中でもっとも長い歴史をもつ施設です。

当院は560床の病床と33の診療科を有する地域の中核的な医療機関として、救急医療、がん診療、周産期医療など地域に必要とされる医療機能を整備しています。さらに災害拠点病院として国内外の災害救護にも関わっています。一方で、近隣の医療機関との連携を密にすることによって地域の方々の健康な暮らしを支える使命があると考えています。

当院は兵庫県より“がん診療連携拠点病院”の指定を受けており、がんの診療に強みがあります。がん診療連携拠点病院とは、がんの標準治療とされる手術、薬物治療(抗がん剤治療)、放射線治療を組み合わせた集学的な治療を行うと同時に、がんの痛みをやわらげる緩和ケア、がん患者さんやご家族のサポートなどを担う医療機関のことをいいます。

ダビンチ
手術支援ロボット・ダビンチXi

当院では手術支援ロボット(ダビンチXi)、PET-CT、IMRT(強度変調放射線療法)をはじめとした充実した設備のもと、患者さんの体への負担が少ない低侵襲(ていしんしゅう)手術を実施するほか、相談支援センターにて患者さんやご家族からの相談を受け付けています。また“がんゲノム医療連携病院”としてがん遺伝子パネル検査を実施しており、岡山大学病院との連携により、検査結果に基づいた個別化治療をご提案できることも特徴です。

近年はがんに対するロボット支援下手術がスタンダードになりつつあり、従来よりもさらに低侵襲な手術が可能になっています。当院においても2台のダビンチXiをフル稼働してロボット支援下手術を実施しています。適応となるがんは、前立腺がん肺がん胃がん食道がん大腸がん直腸がん、膵がん、肝臓がん、子宮がんなど多岐にわたり、良好な治療成績を収めています。

一方、食道・胃・大腸など初期の消化管がんに対する内視鏡治療も多数行っており、EMR(内視鏡的粘膜切除術)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の症例数は県内でも多くを占めています。また肝臓がんに対するマイクロ波凝固壊死療法も地域を代表する症例数です。さらに2020年からは各種がんに対してがんに集中的に照射するIMRT(強度変調放射線療法)を開始しています。

このほか近年増加傾向にある乳がんについては、乳腺外科にて検査・診断・治療を一貫して行い、急性骨髄性白血病など血液のがんについては造血幹細胞移植にも対応しています。消化器内科と消化器外科が一体となった消化器センター、呼吸器内科、外科からなる呼吸器センター、脳外科、循環器内科、心臓外科による脳心臓血管センター、耳鼻咽喉科頭頸部外科など各領域にスペシャリストといえる医師が在籍し、専門性の高い治療をご提供できることが一番の強みといえるでしょう。

内観
病室の窓から見える風景

当院は中・西播磨地域における周産期医療の中核的な役割も担っています。総合周産期母子医療センターとして小児科・小児外科と産科の医師が連携し、ハイリスク妊産婦の妊娠・分娩管理、ハイリスク新生児の集中管理などを行っています。

設備面としては母体胎児集中治療室(MFICU)、新生児集中治療室(NICU)、新生児治療回復室(GCU)に加えて新生児専用救急車(ドクターズカー)を有しており、搬送入院にも100%対応しています。

他の地域と同様に、姫路市においても少子高齢化が進行しておりますが、近隣にお住まいの方が安心してお産ができるよう、地域の周産期医療をしっかりと支えていきたいと考えています。

私が院長になって新たに掲げた目標は“患者さんの幸せ・地域の幸せ・職員の幸せの追求”です。安全かつ良質な医療を行うことで地域の患者さんの健康に貢献することはもちろん、共に働く職員にやりがいを持って仕事をしてもらいたいと考えています。

昨今の“医師の働き方改革”によって、医師をはじめとした病院職員の労働時間に規制が設けられるようになりました。当院では、医師や看護師をはじめとした多職種によるチーム医療を実践することにより、患者さんが不安を感じることがないように努めておりますので、ご安心いただければと思います。

今後も医療DXの推進、TQM(品質管理マネジメント)活動などに積極的に取り組むことで、より質の高い医療をご提供したいと考えています。少子高齢化、疾病構造の変化、地域医療構想、働き方改革、物価高騰など、我々を取り巻く環境の変化に柔軟に対応し、我々の組織も変化し地域の基幹病院としての役割を果たすべく努めてまいりますのでよろしくお願い申し上げます。

*写真提供……姫路赤十字病院

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