便秘による腹痛の原因と自分でできる対処法〜痛み止めを用いると逆効果になる可能性も〜

便秘とは、本来体外に排出すべき便を十分な量かつ快適に排出できない状態を指します。

多くの場合、生活習慣が原因で大腸のはたらきが悪くなり、大腸に便やガスがたまることによって腹痛が生じるため、お腹をマッサージするなどして大腸のはたらきを活発にしてあげると痛みが軽くなる場合があります。しかし、便秘や腹痛は消化器の病気によって起こることも少なくありません。場合によっては早急な治療を要することもあるため注意が必要です。

便秘によって生じる腹痛のメカニズム

便秘が生じるのはなぜ？

まずは便秘を引き起こすメカニズムから解説します。

そもそも人の体は食べ物を摂取した後に胃と小腸で消化・吸収され、消化しきれなかったものが大腸に流れる仕組みになっています。これはおおよそ24〜72時間で便となって体外に排出されますが、水分の摂取不足などによって便が硬くなったり、運動不足やストレスなどによって腸の動きが悪くなったりするとスムーズに排出できなくなり、大腸に便がたまって便秘になるのです。

便秘によって腹痛が生じるのはなぜ？

上記のようなメカニズムによって便が大腸内にどんどんたまっていくと、その過程で大腸内に存在する細菌がたまった便を発酵させてガスを発生させます。すると大腸には便やガスが増えていくため、大腸が圧迫されて腹痛が生じるようになるといわれています。

主な症状としてはお腹の痛みやお腹の張りが伴うほか、吐き気や嘔吐が見られることもあります。なお、腹痛の程度や生じ方は人によって異なりますが、便秘に伴う腹痛は腸の動きが活発に動いている場合に生じると考えられています。そのため、腸の動きが活発な場合は腹痛を生じ、逆に動きが弱くなっている場合は治るなど、腸の動きの程度によって一定の間隔で腹痛を生じることもあります（いわゆる間欠痛）。

病気による腹痛

便秘の原因の多くは不規則な生活・食事、運動不足、ストレスといった生活習慣によるものです。しかし、病気によって便秘になることもあります。便秘の原因となる病気には大きく分けて消化器の病気と全身の病気がありますが、このうち腹痛が生じるのが大腸がんやクローン病、腸閉塞などの消化器の病気です。このような病気によって小腸や大腸が炎症を起こしたり、通過障害が起こったりすることで腹痛が生じるようになります。

腹痛の程度は強いことが一般的で、吐き気・嘔吐、発熱、血便などの症状を伴うこともあります。病気が原因の場合、早急な治療が必要になることがあるため注意が必要です。

自分でできる腹痛への対処法

生活習慣が原因で大腸のはたらきが弱まっているケースでは、お腹をマッサージしたり、お腹や腰を温めたりすることで大腸のはたらきが活発になり、便やガスが出やすくなって腹痛が軽減されることがあります。お腹のマッサージは、大腸の走行に沿っておへその周りを“の”の字を描くように、ゆっくりマッサージするのが効果的といわれています。併せてお腹と腰を温めるとともに、日頃から冷やさないようにしましょう。

なお、便秘に伴う腹痛に対して痛み止めを用いるとかえって腸の動きを抑えてしまい、さらに便秘を悪化させる場合があります。また、市販の便秘薬を使って便やガスを出すという方法もありますが、便秘の原因や薬の種類によっては症状が悪化する場合があるため、自己判断での使用は控えましょう。

受診の目安

消化器の病気によって便秘や腹痛が起きている場合には、緊急に治療が必要となることもあります。激しい腹痛、吐き気・嘔吐、発熱などの症状があれば、早急に内科や消化器内科、消化器外科などを受診するようにしましょう。場合によっては救急外来を受診したり、救急車を呼んだりするなどの対応も必要です。

便秘以外の症状が軽い腹痛やお腹の張りだけであっても病気の可能性はあります。血便については硬い便が通過する過程で肛門の出口が切れることによるものが多いですが、大腸がんや炎症性の病気の可能性もあるため、いずれにしても長く続く場合には一度病院を受診することがすすめられます。

病気の可能性も考えて対応すること

便秘に伴う腹痛は主に便やガスが大腸にたまることで生じます。この場合、お腹のマッサージやお腹・腰を温めることによって便やガスが排出され、痛みが軽減することがあるため、腹痛の程度が軽いようなら一度試してみるのがよいでしょう。

ただし、便秘や腹痛は消化器の病気によって起こることもあります。軽い腹痛でも長く続いている場合には早めの受診を検討し、激しい腹痛や吐き気・嘔吐、発熱などの症状がある場合には直ちに受診するようにしましょう。