便秘症とは便秘によって腹痛や排便困難などの症状が現れて検査や治療が必要になる状態を指し、便秘は“本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態”と定義されています。便秘症は原因・病態別に分類され、分類によって治療やセルフケアが異なります。そのため、自己判断で行なっていたセルフケアが逆効果となっている可能性もあるため、まずは病院で診断を受けてから医師の指導のもとセルフケアを行うことが大切です。
本記事では、便秘症の原因や病院で指導されるセルフケアについて解説します。
便秘症の原因には、病気・薬剤・加齢・生活習慣などが挙げられます。病気・薬剤・加齢などが原因で便秘症にかかっている場合、病気の治療や機能を回復するための治療を行うことによって便秘の改善が期待できます。
また、便秘症の原因となる生活習慣には、不規則な生活や食事、栄養バランスの乱れ、精神的ストレスなどが挙げられます。このような生活習慣が原因で便秘症を生じている場合は、食事・生活習慣について指導を行うこともあります。ただし、患者の状態によって指導される内容が異なるので、医師の指導のもとで正しいセルフケアを行うことが大切です。なお、生活習慣の改善を行っても効果が不十分な場合には、下剤などの薬物治療が検討されます。
以下では、病院で指導される食事や生活習慣のセルフケアついて解説します。
便秘症を改善するためには、規則正しく十分量の食事を取る必要があります。1日3食の食事を決まった時間に取ることによって、定期的な腸のはたらきを促進し排便を促すことが期待できます。また食べ物の摂取量が少ないと、便として排出できるものが少なくなり便秘になりやすくなるため、食事の量にもご注意ください。栄養バランスが偏らないように、さまざまな食材をバランスよく食べることも大切です。
“便秘解消には食物繊維をとるとよい”といわれることもあります。これについては、便秘症の種類によっても異なります。
食べ物が大腸を通過する時間が正常であるにもかかわらず、排便回数や排便量が少なく便秘が生じている状態(大腸通過正常型便秘症)では、食物繊維を1日18~20g摂取することによって便秘の改善が期待できます。
一方、食べ物が大腸を通過するのに必要以上に時間がかかることによる便秘(大腸通過遅延型便秘症)や、病気や機能の低下によって便を排出することが困難な状態(便排出障害)では、食物繊維の摂取量を増やすことによって便秘がかえって悪化してしまう可能性もあるため、注意が必要です。
このように、便秘を改善する食生活は便秘症の原因・病態によって異なることがあります。そのため自己判断せずに病院を受診し、石の指導のもと食生活を改善していきましょう。
食事以外の生活習慣では、規則正しい生活習慣、便意を我慢しない、適度な運動などが便秘の改善に役立つと考えられます。以下では、それぞれの項目についてお伝えします。
生活リズムが乱れていると自律神経が乱れ、腸管がうまくはたらかなくなることによって便秘が生じることがあります。そのため規則正しい生活を心掛け、睡眠時間を十分にとるようにしましょう。
なお、過労やストレスの蓄積によって自律神経が乱れると便秘が生じやすくなることもあります。そのため必要に応じて休養をとるなど、ストレス解消となる時間を作るようにしましょう。
便意を我慢する癖がつくと、便秘が生じやすくなることがあります。そのため、便意を感じたときは我慢せずにトイレに行くことを習慣づけましょう。
また、加齢による便秘症などでは直腸の知覚が低下し便意が感じにくくなることもあります。この場合、便意を感じなくても朝食・夕食後の1日2回トイレに行くよう指導することがあります。
適度な運動習慣は便秘改善に効果を示すことがあります。運動を行うことで腸が刺激され、腸のはたらきが促進されることがあるため便通が促されるとされています。運動は便秘症に限らず健康を維持するためにも重要なので、適度な運動習慣を身に付けるようにするとよいでしょう。
便秘症には原因・病態別にさまざま分類があります。便秘症を改善するためには生活習慣を見直すことも重要ですが、自己判断で行うと逆効果になる場合もあります。そのため便秘の症状が続く際には、消化器内科の受診を検討しまし、医師の指導のもと自身の便秘症にあった治療・セルフケアを行うようにしましょう。
医療法人社団ときわ 理事長、医療法人社団ときわ 赤羽在宅クリニック 院長
2008年、東京大学医学部卒業。卒業後の2年間の研修医生活のなかで多くの矛盾や課題を発見したことがきっかけで、初期臨床研修終了後は医療制度・政策を研究するためすぐに東京大学大学院に進学し、公衆衛生学を学ぶ。在宅医療には大学院生時代のアルバイトから携わる。医療の矛盾や課題は、在宅医療という形でも解決できると考え、以後、在宅医療を専門とする診療所で院長として診療に従事。約300名の主治医として、患者さんに寄り添った診療を提供。より質の高い在宅医療を多くの方に提供するため、2016年9月に在宅医療を専門とする「赤羽在宅クリニック」を開業し、日々診療に邁進している。
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