編集部記事

肌荒れの治療に使用される薬とは?〜市販薬の効果と受診の目安〜

肌荒れの治療に使用される薬とは?〜市販薬の効果と受診の目安〜
関東 裕美 先生

稲田堤ひふ科クリニック

関東 裕美 先生

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肌荒れには医学的定義はありませんが、一般的には肌が乾燥してかゆい、何らかの原因で皮膚が炎症を起こし赤みや発疹が生じて痛いなどの肌トラブルを指します。では、肌荒れが生じた場合どのような治療が行われるのでしょうか。本記事では肌荒れに対する治療方針や病院で処方される薬、市販薬の種類などについてお伝えします。

肌荒れが生じた場合、まずはその原因を突き止めて原因に対する治療を検討します。

肌荒れの原因は化粧品が肌に合っていない、生活習慣の乱れで皮膚が弱っているなど日常生活によるものである場合もあれば、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎など皮膚の病気、花粉症などのアレルギー反応である可能性もあります。そのため、皮膚科では日頃の生活環境や洗顔方法などを詳しく問診したうえで実際の肌の状態を見ます。病気やアレルギーによるものであった場合、それに即した治療を行うことが必要です。また、乾燥・かゆみ・痛みなど症状に合わせた治療も行います。肌荒れの主な治療手段としてはスキンケアや薬物療法が挙げられます。

肌荒れで皮膚科を受診すると症状に応じて治療薬が処方されます。以下では肌荒れの際に処方される主な治療薬について、塗り薬などの外用薬と飲み薬の内服薬に分けてお伝えします。

保湿剤

乾燥やかゆみの症状がある場合、治療薬として保湿剤が処方されます。軟膏・クリームタイプ・ローションタイプなどがあり、乾燥が気になる箇所に塗ります。

ステロイド外用薬

かゆみや発疹の症状がある場合に処方されることがあります。肌の炎症を抑え、かゆみを和らげる効果があります。

抗ヒスタミン剤

かゆみの症状がある場合、かゆみを緩和する効果がある抗ヒスタミン剤が処方されることがあります。

抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬

皮膚が炎症を起こしており、その原因が菌・真菌・ウイルスによるものであった場合には、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬などの薬が処方さることがあります。

ビタミン剤

皮膚が炎症を起こしている場合には、抗皮膚炎ビタミン剤などのビタミン剤が処方されることがあります。

肌荒れでは漢方薬が処方されることもあります。漢方薬の処方は皮膚に現れている症状を改善する“標治”と肌荒れの原因となる体質を改善する“本治”に分けられます。

以下では、それぞれの治療方法で処方される主な漢方薬についてお伝えします。

皮膚の症状を改善する漢方薬

  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)……かゆみ・赤み・炎症などを取る効果があります。
  • 温清飲(うんせいいん)……かゆみを和らげる効果があります。
  • 白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)……赤みなどを和らげる効果があります。

体質を改善する漢方薬

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)……虚弱体質の人の体質を改善します。
  • 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)……冷え性などの体質を改善します。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)……虚弱体質・生理不安定による肌荒れを改善します。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)……更年期障害による肌荒れを改善します。

肌荒れを改善する市販薬として保湿剤や外用薬、ビタミン剤などが販売されています。一時的な乾燥やかぶれなどは市販薬で改善できる可能性があります。市販薬を試したいという人は薬剤師に症状を伝え、適した市販薬を紹介してもらうのもよいでしょう。

ただし、当初からステロイド外用薬を使用することはかえって肌荒れを長引かせてしまうこともあります。市販薬を使用しても症状が改善されない、悪化したという場合には皮膚科専門医を受診して適切な治療を受けることを考えましょう。

肌荒れは病院を受診するほどではないと考えてしまう人もいます。しかし、ときには治療を行うことで大きな改善が見込めます。そのため乾燥・かゆみ・痛みなど、肌荒れの症状が治まらない場合には皮膚科の受診を検討し、自分の症状に合わせた治療薬の処方を受けましょう。

なお、肌荒れの治療薬の中には長期的に服用して体質改善効果を期待する薬もあります。そのため、治療薬は自己判断でやめたりせず皮膚科の専門医の指示に従って服用するようにしましょう。

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