院長インタビュー

“掖済”の精神で、長きにわたり地域医療に貢献する神戸掖済会病院

“掖済”の精神で、長きにわたり地域医療に貢献する神戸掖済会病院
島津 敬 先生

公益社団法人 日本海員掖済会 神戸掖済会病院 名誉院長

島津 敬 先生

目次
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公益社団法人日本海員掖済会 神戸掖済会病院(以下、神戸掖済会病院)の歴史は、1914年に船員に対する医療を提供する病院として設立されたことに始まります。法人名にも含まれる“掖済”とは、“救い助ける”という意味の言葉です。戦後は船員のみならず、広く地域住民に門戸を開いて診療にあたっていますが、掖済の理念はそのままに地域の医療と福祉の充実に貢献しています。

今回は、同院の診療体制や地域医療への考え方などについて、名誉院長の島津 敬(しまづ たかし)先生にお話を伺いました。

神戸掖済会病院 外観(病院外観)
神戸掖済会病院 外観

当院は、救急、急性期医療の提供を病院の軸としています。神戸市第二次救急病院協議会の病院群輪番制に参加し、垂水区と西区の救急患者さんを中心に搬送を受け入れています。

また、地域に高齢の方が増えていることを受けて、地域包括ケア病棟を開設するなど、治療を終えた患者さんのケアとリハビリテーションにも力を入れています。

地域連携室を中心に、地域の医療機関との病診、病病連携も強化しています。地域全体で患者さんを支えていくという地域包括ケア構想の推進のためにも、各医療機関の得意分野を生かした機能分担に努めています。

院内を彩るステンドグラス
院内を彩るステンドグラス

骨折脱臼などの一般外傷に加え、リウマチなどの関節疾患、脊椎疾患、スポーツ障害などに対する治療を行っています。また急性期疾患以外でも、骨粗しょう症などの加齢による整形外科疾患にも対応しています。

関節疾患に関しては、人工関節置換術を行っており、肩の腱板断裂、反復性脱臼、膝関節の半月板断裂、靱帯断裂に対しては関節鏡視下手術で治療しています。

当院で急性期治療を終えた後、できるだけ早く元の生活に戻れるよう、地域包括ケア病棟や近隣の病院、クリニックとの連携を図りながら、機能回復のサポートを行っています。

脳梗塞脳出血くも膜下出血、頭部外傷などの急性期疾患を中心に、脳腫瘍水頭症三叉神経痛顔面けいれんなどに対応しています。薬物療法や外科的治療に加えて、血管内治療を行うことも可能です。

当院は、特に救急、急性期医療に力を入れていることもあり、脳神経外科でも積極的に救急搬送を受け入れています。具体的には、月曜から土曜日のうち週に5日間、脳神経外科の医師が当直を担っています。

脳神経外科に運ばれる患者さんの中には、脳卒中など対応の早さが予後に大きく影響する病気の方もいらっしゃいます。そうした患者さんを可能な限りいつでも受け入れ、迅速に治療に入れるように努めています。

心筋梗塞狭心症高血圧大動脈瘤など心臓を中心とする循環器の治療を行っています。近年は、不整脈に対するカテーテルアブレーション治療に力を入れていることも特徴のひとつです。

また、リハビリテーション科との協力のもと、病気で下がってしまう心機能や運動機能の維持回復のための心臓リハビリテーションを導入しています。主に急性期リハビリを取り入れ、治療と同時にリハビリも行うことで再発防止と社会復帰の後押しをしています。

2017年6月に、54床の地域包括ケア病棟を開設しました。この病棟では、急性期治療が終わり症状は安定したものの、自宅や施設などで、元の生活を送るには不安がある患者さんが療養したり、回復期リハビリテーションを受けたりすることが可能です。

医師や看護師、リハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカーたちが協力して、在宅復帰までをお手伝いします。さらに退院室とも連携して、患者さんとそのご家族が前向きに退院に向かえるように、さまざまな相談に応じています。

ICUで働くスタッフの皆さん
ICUで働くスタッフの皆さん

当院は、基幹型初期臨床研修病院として初期研修医を受け入れています。大学病院のように特殊な症例を経験できるケースはまれですが、当院は地域の急性期医療を支える病院のひとつであることから、一次から二次救急までの初期治療に関しては、特にしっかりと学べる環境が整っていると思います。

さらに、内科をはじめとした多数の診療科では、学会専門医や認定医を目指す後期研修医も受け入れています。

職員がプライベートと仕事を両立できるように、さまざまな支援を行っています。具体的には、当直、日勤のみの勤務や時短勤務など、相談のうえで個人の事情に合わせた働き方を選択してもらっています。

また病棟勤務を希望する医師については、副主治医制を導入しています。それにより、主治医が院内にいないときでも、副主治医が患者さんに対応可能であり、医師一人ひとりの負担軽減につながっています。

島津先生

 

医師として、自らの専門性を高めることはもちろん重要です。しかし、臨床の現場では医学的視点よりも、患者さん一人ひとりと向き合って治療を行うことを大切にしてください。

また、高齢の患者さんは、受診のきっかけとなった病気のほかに合併症を併発していることがあります。そうした患者さんのニーズに応えるためにも、自分の専門分野だけでなく患者さんの全身を総合的に診られる力も身に着けていってください。

当院は、地域の皆さんの健康と生命を守るため、日々努力しています。健康に関して何か困ったことがあれば、いつでもご相談に来てください。

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  • 公益社団法人 日本海員掖済会 神戸掖済会病院 名誉院長

    島津 敬 先生

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