大阪府の北東部、枚方市にある枚方東整形外科病院。1983年に高井病院として開院して以来、整形外科を柱とした診療を続けてきた病院です。40周年を迎えた翌年(2024年)に病院名を現在の枚方東整形外科病院へと改め、より充実した医療を提供しています。
そんな同院が担う役割や今後の展望について、理事長である高井 亮輔先生にお話を伺いました。
当院は私の父である高井 澄男が“高井病院”として開設しました。当時はこの辺りに整形外科を専門にする病院がなかったそうで、整形外科やリハビリテーション科を柱に内科的な病気にも対応するなど、地域密着型の医療を行うことが当院の役割でした。「整形外科なら、高井病院」。地域の方々にそう言っていただけることを目指して、夜間の診療にも積極的に取り組んでまいりました。
2023年に開院40周年を迎えた当院は、翌2024年1月1日に病院名を“枚方東整形外科病院”と改めて新たなスタートを切りました。この背景には、「当院が整形外科領域の包括的な治療を行っていることを広く知っていただきたい」という思いがありました。新しい病院名からは病院の所在地と得意な診療科が一目で分かりますので、専門性をさらに高めることによって多くの患者さんに“選ばれる病院”へと成長したいと考えています。
整形外科では骨、筋肉、関節、神経などの運動器に関わる疾患や外傷の治療を担当します。診療範囲が幅広く全身に及ぶため、病院ごとに得意とする領域が限られてしまうことも少なくありません。これに対して当院は手、肩、肘、股関節、膝、足、脊椎など各部位に専門の医師が在籍しているため、全身の整形外科疾患や外傷の治療が当院にて完結します。また、体への負担が少ない低侵襲手術や個々の患者さんに合わせたリハビリテーションを行うことにより、早期離床・早期復帰をサポートいたします。
整形外科手術は年間の手術件数が700件以上になりますが、このうち80件ほど*は人工関節手術です。変形性関節症だけではなく、さまざまな変性疾患が原因で手術が適応となる患者さんが老若問わず増えています。ですが、不安を感じ手術に踏み出せない患者さんも少なくないでしょう。
そのような方に、リハビリテーションやPRP療法**など“手術をしない”保存治療をご提案することができるのも当院の強みです。ですが、症状が進行してしまえば選択肢が狭まってしまうので、早めの診察をおすすめします。
いずれにしても、当院では外来で診察させていただくなかで信頼関係を築き、患者さんの理解と納得のもとに治療をお選びいただけるようお手伝いしたいと思いますので、お気軽にご相談ください。
*年間手術件数(2023年)……772件(うち人工関節手術:73件)
**PRP療法……自身の血液を使用して行う治療で、自費診療となります。費用/関節外:16,500円(税込)、関節内:33,000円(税込)治療効果には個人差があります。
思いがけないけがをして救急車で運ばれてくる方、私たちのことを選んで足を運んでくださる方など受診の理由はさまざまですが、当院の患者さんには「できるだけ多くの治療選択肢をご用意したい」との思いから、これまで診療体制の充実に努めてまいりました。2024年4月に新たに導入した手術支援ロボット・Mako(メイコー)も、より安全で正確な手術をご提供するための1つの選択肢として欠かせないものだと考えています。
Makoは、加齢などによって傷んだ関節を人工関節(インプラント)に置き換える人工関節置換術をサポートしてくれるロボティックアーム手術支援システムです。手術前には患者さんのCT画像をもとに入念なシミュレーションを行い、あらかじめ人工関節を設置する位置や深さなどを決めておきます。そして当日はナビゲーションの指示に沿ってロボティックアームで機械制御をかけながら手術を行うことで、削りすぎや周辺組織への損傷などのリスクを低減し人工関節を設置することが可能になります。
Makoを活用することで従来よりも正確で安全性の高い手術を目指せると同時に、手術後の痛みや合併症リスクの低減につながります。さらに当院はこのMakoを使用し、股関節の人工関節置換術に対する”前方アプローチ”という手法を導入しております。前方アプローチは傷口が小さく済むだけでなく、筋肉や靱帯などを温存できるため、術後の早期回復が期待できます。また、従来の方法(後方アプローチ)では少なくなかった“脱臼”のリスクを大幅に低減することができます。
骨粗しょう症は加齢などに伴って骨の量が減り、骨がもろくなる病気です。このためご高齢の方はちょっとした転倒やけがでも骨折しかねません。骨粗しょう症に起因する骨折のなかでもよくみられる大腿骨頚部骨折は、関西より西の地域で発生率が高い“西高東低”だといわれており、その背景には“骨粗しょう症検診の受診率の低さ”が挙げられます。そこで当院は地域の自治会などと連携して骨粗しょう症予防のための啓発活動を行っています。
また、従来はコルセットによる保存治療が行われていた脊椎圧迫骨折に対して、BKP(経皮的椎体形成術)をご提案できることも当院の強みです。BKPは1cmほどの傷口から特殊なセメントを注入して骨を固定する手術であり、手術に要する時間はおおむね20分程度です。痛みさえ取れれば翌日の退院も可能ですから、肉体的な負担や金銭的な負担を抑えることができます。
当院では“翌日から動ける手術”を基本にしておりますが、認知症をはじめとした病気をお持ちの高齢患者さんについては急がず、特に慎重に術後管理を行うようにしています。その際は筋力や認知機能の低下に十分な配慮をし、できるかぎり患者さんの回復をサポートできるよう努めています。
当院では新しい技術や機器を積極的に導入し、治療選択肢を増やすことで患者さんに納得して治療をお選びいただけるよう務めています。毎月行っている院内のミーティングでは、医師たちに「1年に1つは新しい技術を身につけよう」と話しています。幸いにも当院は大学病院などと違って規模が小さいですし、若いスタッフも多いためフットワークが軽いです。誰かの努力がほかのスタッフに刺激を与え、全体のレベルアップにつながるといった好循環が生まれることも多くあります。
また、当院のことを身近に感じていただきたいという思いから、サッカーやバスケットボールなどのプロスポーツクラブと連携してイベントを開催しています。私自身も学生時代はずっとバスケットボールをしていました。
私は人と話をすることが好きですし、何よりも“患者さんに喜んでいただきたい”という気持ちで日々の診療にあたっています。患者さんがたとえ小さなお子さんでも、できるかぎり本人と話をするなど積極的にコミュニケーションを取るようにしています。患者さんの中には“こんなこと相談していいかな?”と迷ったり、遠慮したりしてしまう方がいらっしゃるかもしれません。しかし、わざわざ時間をつくって受診してくださり、診察までお待ちになっているのですから、気になっていることは何でもお話いただきたいというのが私の思いです。
当院は手、肩、肘、股関節、膝、足、脊椎など全身の運動器の疾患やけがに対応していますので、何かお困りのときには遠慮なくご相談ください。
*診療科や医師、提供している医療の内容等についての情報は全て2024年8月時点のものです。