院長インタビュー

地域の“活きる”を支える――医療・介護・予防・教育をつなぐ古賀総合病院

地域の“活きる”を支える――医療・介護・予防・教育をつなぐ古賀総合病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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古賀総合病院(宮崎県宮崎市)は、戦後間もない1946(昭和21)年に診療所として誕生して以来、地域医療を支える中核的な病院として発展してきました。近年は健診センターやフィットネス施設、介護施設や看護専門学校などを運営する“同心会グループ”として、医療・介護・予防・教育を一体的に支える取り組みにも注力しています。

同院の院長を務める石川 哲憲(いしかわ てつのり)先生に、病院の特長や取り組みについてお話を伺いました。

外観
病院外観

当院の原点は、1946年に宮崎市本郷南方で開設された“古賀内科”です。その後、古賀病院へと発展し、1994年に古賀総合病院として現在の池内町へ新築移転しました。現在は27の診療科を有し、地域包括ケア病床やストレスケア病床も含め、362床の病床を運営しています。

当院は、宮崎市を中心に、東諸県郡や西都・児湯地域を含む広域の医療圏を担っており、地域医療支援病院および社会医療法人として、周産期・救急・へき地医療など多岐にわたるニーズに対応しています。また、初期・後期臨床研修指定病院として、宮崎大学や首都圏の病院とも連携し、若手医師の育成に取り組んでいることも特徴です。

さらに、クリニックや健診センター、メディカルフィットネスクラブ、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、看護専門学校などもグループ内に整備されており、医療から介護まで一貫した“トータルヘルスケア”の実現を目指しています。

当院では、腎センター(透析センター)をはじめ、甲状腺疾患に強みを持つ内分泌代謝内科、消化管内視鏡に注力する消化器内科など、特徴ある診療科が複数あります。

腎センターには56台の透析装置を備え、外来透析を中心にフル稼働しています。腹膜透析やシャントトラブル対応、腎生検にも対応しており、患者さんの生活に寄り添う体制を整えています。

内科
待合室

内分泌代謝内科では、歴代の医師による長年の診療経験が積み重なり、特に甲状腺疾患への診療実績が強みとなっています。甲状腺がん手術やバセドウ病の外科治療も行っており、内科・外科の連携体制が整っていることも特長です。

消化器内科では、年間4,000件以上の内視鏡検査を実施しており、出血症例などへの緊急止血術にも迅速に対応しています。また、循環器内科では心臓カテーテルやペースメーカー植え込み術、血液内科では大学病院との連携のもと、悪性リンパ腫白血病への化学療法も行っています。

そのほかにも、感染症などを中心に総合的な診療を行う総合診療科や、脳・脊髄・末梢神経などの病気に対応する神経内科、肝硬変肝炎脂肪肝肝がんなどに対応する肝臓内科も有しており、総合病院としてさまざまな病気に対応しています。

外科では、消化器がんを中心とした手術実績が多く、県内でも早期に腹腔鏡手術を導入しました。年間400件以上の手術を継続しており、低侵襲(ていしんしゅう)(体への負担が少ない)かつ高精度な治療を実践しています。また泌尿器科では、前立腺がんの患者さんが増えてきており、さらに手術支援ロボットを導入したことから近年特に力を入れている分野の1つです。

産婦人科では周産期・腫瘍・生殖・ヘルスケアを四本柱として、女性の健康をトータルサポートできるよう診療を行っています。また当院は、地域周産期母子医療センターの指定を受けており、通常の妊娠分娩管理はもちろん、ハイリスクな妊産婦の受け入れにも対応しています。

ダビンチ
手術支援ロボットによる手術

2024年11月より、当院では手術支援ロボット“ダビンチXi”を導入しました。民間病院としては宮崎県内初の導入となります。主に消化器外科および泌尿器科での手術に活用しており、3D映像と精密なアーム操作によって、従来の内視鏡手術よりも高精度かつ低侵襲な治療を可能にしました。

ロボット手術は、術者が遠隔操作でアームを動かしながら、視野の広い3D映像をもとに操作を行う仕組みです。手ぶれの補正機能や繊細な動きが可能なため、手術時間の短縮や合併症リスクの軽減が期待されています。導入からまだ日が浅いものの、今後はさらに症例数を増やし、精度の高い治療の選択肢として活用していく方針です。

リニアック
放射線治療装置(リニアック)

また、同年の12月には放射線治療装置(リニアック)の更新を行い、3Dファントムを活用した高精度放射線治療システムを導入しました。これは前立腺がん悪性リンパ腫などを対象に、短期間かつ高精度で照射治療を行えるものです。手術との併用も可能なため、泌尿器科・消化器外科・血液内科を横断して、患者さんごとにより適した治療方針を立てられるようになりました。

これらの設備強化により、低侵襲手術と精密放射線治療の両輪でがん診療を支える体制が整いつつあります。

Kogacafe
KOGA Cafe

当院では、QMS(Quality Management Sysytem)活動やTQM(Total Quality Management)活動といった組織横断型の改善活動を、長年にわたって継続してきました。

たとえば、寝たきりの患者さんをゼロにするプロジェクトや、病院全体でのエコ活動、リサイクルの推進、職員同士のコミュニケーション活性化を目指す“KOGA Cafe”など、部署を越えた多様なプロジェクトを展開しています。発案は職員からあがることも多く、理事長が強いリーダーシップで支援しながら、全体を牽引する体制ができています。

こうした取り組みの背景には、“心理的安全性の高い組織文化を育てる”ことへの意識があります。職員一人ひとりが自律的に考え行動できる環境づくりを重視し、働きやすさを整えることで、医療の質と安全性向上にもつながっています。

若い医師の方々にとっては、当院のような総合病院は、専門領域に加えて患者さんを全人的に診る力を養うことができる場だと思います。高齢者が多く、多疾患併存の方が多い現場では、診療科の枠を越えた幅広い視点が不可欠です。ぜひ、専門にこだわらず、視野を広く持って多くのことを学んでいただけたらと思います。

また、さまざまなバックグラウンドを持つ医師が集まる総合病院として、多様な診療や連携の機会に恵まれていることも、当院での研修の魅力の1つです。

当院は現在、地域医療支援病院としての機能を生かし、紹介元のクリニックや診療所と連携しながら診療を進めています。状態が落ち着いた方はかかりつけ医の元で経過観察を続けていただき、必要があれば再度ご紹介いただくという体制です。地域の皆さんにもぜひ当院の役割を改めて認識していただき、スムーズな受診につなげていただければと思います。当院でも、外来の待ち時間短縮などに力を入れ、少しでも快適に受診していただけるよう改善を進めています。

当院はビジョンとして「地域の“活きる”を創造し、社会に誇れる思いやりのある病院になる」と掲げています。患者さんはもちろん、病院を支えてくれている皆さんを中心に考え、自律的な組織文化を育みながら高品質で効率のよい医療提供を目指してまいります。

*写真提供……古賀総合病院

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