微熱:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

微熱

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 微熱の他に何らかの激しい症状がある(痛み・息苦しさなど)

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • くしゃみ、咳、喉の痛みなど風邪のような症状があり辛い
  • 微熱が長期間続いている、繰り返している

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

発熱の定義はさまざまですが、一般的には普段の状態と比較してやや体温が高い状態を微熱と呼ぶことが多いとされています。

  • 咳や鼻水、全身倦怠感とともに微熱がある。
  • 腹痛と微熱が続いている
  • 屋外で運動をした後、熱っぽくなった

微熱の場合、治療を受けずに治ることもあるかもしれません。しかし、ときには治療を必要とする病気である場合もあります。

平熱は人によって異なります。日本人の平熱の平均は36.7〜8℃とされており、運動や食事、気温、女性の月経周期などによって変動しています。

通常1℃程度であれば自然に1日の中で上下し、早朝が最も低く夕方がもっとも高くなります。また、口の中、耳(鼓膜)、腋窩(えきか)など測定する部位で体温は異なりますので、なるべく同じ部位で測定するようにしましょう。そうすることで、日頃から自分の平熱を把握しておくことができます。

平熱がどのくらいであるのかによって微熱があるのかそうでないのかも変わってくるため、自分の平熱を知っておくことは大切です。

発熱する病気すべてが、そこまで体温が上昇せずに微熱にとどまる可能性があります。なかでも、微熱のまま経過することが比較的多いものには以下のような病気があります。

感染症は微熱の原因としてよくみられるもののひとつです。

いわゆる風邪などの感染症

感冒(かんぼう)(風邪)などの感染症では、発熱に加え、喉の痛み、咳、(たん)などの症状がみられます。インフルエンザなどでは突然の高熱が出ることがありますが、感冒では微熱のまま経過することもあります。感冒の炎症が耳や鼻、肺などにひろがり、中耳炎副鼻腔炎肺炎などを引き起こして、感冒がよくなったあとも微熱が続くことがあります。

また、膀胱炎など尿の感染症で発熱がみられることもよくあります。

かぜ症候群
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インフルエンザ
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中耳炎
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副鼻腔炎
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肺炎
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膀胱炎
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蜂窩織炎(ほうかしきえん)など皮膚の感染症

皮膚の感染から炎症が広がり、微熱が出現することがあります。代表的な皮膚の感染症として蜂窩織炎が挙げられます。この病気では、腕や足などの皮膚が感染を起こして赤く腫れ、程度によっては高熱が出ることもあります。

蜂窩織炎
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肺結核

微熱が続くことが代表的な症状となっている感染症に肺結核があります。昔の病気と思われがちですが、近年、感染者数が増加している注意の必要な病気です。また、昔かかった人が高齢になって抵抗力が落ちたときに発病することもあります。結核になったことがある人やその家族は特に注意が必要です。肺結核では、体重低下や微熱が続き、咳、痰(ときに血痰(けったん))が認められます。咳、痰が出る場合には他人に感染する可能性が高くなります。

肺結核
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感染症のほかにも、内臓の病気、自己免疫疾患、悪性腫瘍、ホルモンの影響などでも微熱がみられることがあります。

何らかの炎症疾患

虫垂炎胆のう炎など、体のどこかで炎症が起こっている場合にも微熱がみられることがあります。熱にともなう症状は原因によって異なりますが、腹痛など微熱以外の症状が強いときには早めの受診が必要です。

虫垂炎
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胆のう炎
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自己免疫疾患

自己免疫疾患は、本来であれば異物を排除する役割である免疫系が正常な細胞や組織を攻撃してしまう状態です。このために体のあちこちで炎症が起こった状態となり、微熱につながることがあります。

悪性腫瘍

悪性腫瘍は、異常に増殖するようになった細胞(腫瘍)が周囲の正常な組織に悪影響をおよぼし、結果全身に影響を与えるものです。症状は、その発生部位によって異なりますが、全身への影響のひとつとして微熱が現れることがあります。

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群とは、健康に生活していた人にある日突然、原因不明の全身倦怠感が出現するものです。日常生活に影響をあたえるほどの倦怠感に加え、微熱、頭痛筋肉痛、脱力感がみられ、思考力の低下や気分の落ち込みが現れることもあります。

熱中症

熱中症では頭痛や吐き気、微熱が現れ、重症の場合には意識障害がみられます。屋外の高温環境下で運動や作業をしていたり、屋内でも室温が高いと熱中症になる危険があります。高齢者は暑さをあまり感じない傾向があり、汗をかく機能も低下しているため体温を下げづらいため、特に注意が必要です。

熱中症
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ホルモンの異常によるもの

甲状腺などのホルモンを産生する臓器の異常により微熱が現れることもあります。代表的な甲状腺機能亢進症では、微熱以外に動悸、疲れやすさ、下痢、体重減少などの症状が現れることがあります。

甲状腺機能亢進症
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生理周期によるもの 

月経前には黄体ホルモンが分泌されます。このホルモンには体温を上げる作用があるため微熱を感じることがあります(高温期)。月経が起こるとホルモンのバランスが変動し、元の体温(低温期)に戻ります。ふつう、低温期と高温期の体温の変動幅は0.3℃以上あるとされています。

微熱以外にどんな症状があるのかが重要です。微熱以外に特に症状がなくても、数日以上持続する場合には、かかりつけ医などに相談しましょう。受診時には体温変動の経過を記録しておくと便利です。

感冒などの場合には自然に治る場合もありますが、ほかの病気では治療が必要となることがあります。受診時には熱の程度や経過も重要ですが、微熱以外の症状とその経過を伝えることがより大切です。そのほか、回りに同じような症状の人がいないかどうか、家族に微熱が長く続く病気や肺結核になったことのある人がいないかどうか、最近旅行(特に海外旅行)に行ったりしていないか、普段内服している薬や持病などについても伝えるようにしてください。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。