肌あれ:医師が考える原因と対処法|症状辞典

肌あれ

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

肌が赤い、カサカサしているなど、いわゆる肌あれは身近な症状で、感じたことのある方も多いのではないでしょうか。自然とよくなることも多くありますが、なかなか治らない、よくなったり悪くなったりするときには受診が必要なこともあります。

  • 肌があれていて、お手入れを気をつけてもよくならない
  • 肌あれがひどく、かゆみ・水がしみるなどの症状がある
  • 肌にできた吹き出物のようなものがなかなか治らない

このような症状が見られた場合、どのような原因が考えられるでしょうか。

肌あれは食事や喫煙、ストレスなど日常での生活習慣が原因となっていることもあります。

肌は眠っている間に修復されるので、睡眠が不足すると日中に受けたダメージを修復しきれずに肌あれを生じることがあります。

生活リズムを整えるために

いつも規則正しい時間に眠ることで体内時計が整い、肌の健康を維持する成長ホルモンが分泌されやすくなります。就寝前にスマートフォンやパソコンなどの光を見ないようにして、質のよい睡眠を目指しましょう。

また、ほどよく運動することも良質な睡眠にも役立ちますし、血流がスムーズになって肌に栄養が行き渡るので、肌あれの予防につながります。

食事のバランスが悪いと健康な肌を作り出すために必要な栄養素が摂れないため、肌あれを引き起こすことがあります。

栄養バランスのよい食事とは

毎日バランスのとれた食事をとることが大切です。特に、ビタミンB群など、ビタミン類を積極的にとると肌あれの予防や対策になります。

ビタミンB2は肌をつくるタンパク質や脂質、糖質の代謝をサポートするので、健康な皮膚をつくるのには欠かせません。うなぎやレバー、青魚、アーモンド、納豆、卵、乳製品などに多く含まれます。

ビタミンB6は、豚肉やハム、うなぎ、海苔や豆類、小麦胚芽などに含まれ、皮脂の分泌をコントロールするはたらきがあります。

ビタミンB群は体に蓄積されづらいため、できるだけ毎日摂取するように心がけ、難しい場合はサプリメントなどを使用することもよいでしょう。

合わせて、柑橘類や野菜などに多く含まれコラーゲン生成に役立つビタミンC、卵などに含まれ美肌を維持するパントテン酸、抗酸化作用のあるビタミンA、血行促進作用のビタミンEなども積極的にとりましょう。

ストレスがたまると血行が悪くなり、肌が栄養不足を起こしたり、老廃物がうまく排出されなかったりして肌あれを起こしやすくなります。また、ストレスにより、細胞を傷つけて免疫力を低下させる活性酵素も発生しやすくなることも肌あれの要因です。

ストレスが強いときは

ストレスを感じたら、趣味や軽い運動などの自分が心地よいと感じる行為でストレスを解消しましょう。また、ビタミンB群を補給することも神経緩和にはたらくので効果が期待されます。

日光に含まれる紫外線を浴びると日焼けして皮膚が炎症を起こすだけでなく、細胞の遺伝子やコラーゲンが破壊される、肌機能の正常なはたらきを妨げる活性酵素を発生させるなど、肌には大きなダメージとなります。

上手な紫外線対策

帽子や日傘などで皮膚に届く紫外線をできるだけ減らし、日焼け止めをこまめに塗って肌を守りましょう。夏場や天気のよい日だけでなく、冬や雨、曇りの日も含めて一年中対策することもよいでしょう。

肌あれがいつまでたってもよくならないときには、一度病院を受診しましょう。意外な原因が隠れている場合もあります。

肌あれの原因となる病気には、加齢や特定の物質との接触を原因とするものから慢性の皮膚病まで、さまざまな種類があります。

皮脂欠乏症・老人性乾皮症

皮脂欠乏症とは、皮膚の表面の脂質の分泌が減少することにより、皮膚の水分が不足し、乾燥してしまう病気です。空気が乾燥する冬場に多くみられ、乾燥や角質のはがれ、かゆみなどが生じ、進行すると皮膚がひび割れたり、赤みや強いかゆみが出たりすることがあります。特に加齢によって起こりやすく、高齢者の約95%にみられ、高齢者の場合は老人性乾皮症ともいいますが、若い人でも生活環境の低湿化や入浴時の洗いすぎなどで皮膚の保湿機能が低下すると起こります。

乾皮症
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脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは、頭や顔、(わき)の下など、皮脂の分泌が多い部分に脂っぽい黄色いうろこ状のくずやフケが生じる病気です。皮脂分泌機能の異常やカビの一種が関与しているのではないかといわれていますが、原因はわかっていません。

乳児にも多くみられ、黄白色の脂っぽい厚いかさぶたが付着します。思春期以降では頭のフケが増え、皮膚が赤くなり細かい鱗屑(りんせつ)(角層がフケのように剥がれかかったもの)の付着がみられます。一般的に頭ではかゆみが生じますが、顔ではあまりかゆみを感じません。

脂漏性皮膚炎
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接触皮膚炎

接触皮膚炎とは、原因物質が皮膚に接触する刺激でアレルギー反応となってかゆみを伴う湿疹が出る病気で、俗にかぶれと呼ばれるような状態のことです。

人によりさまざまな物質が原因となり、たとえば化学物質(化粧品、洗剤、医薬品など)、金属(ネックレスやイヤリングなど)、植物、衣類などによって起こります。原因物質に接触した部分の皮膚が赤くなり、ひどくなると腫れや小さな水疱などが現れることもあります。

接触皮膚炎
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アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、アレルギー体質や皮膚のバリア機能が弱い人などにみられる、湿疹かゆみを繰り返し生じる慢性の皮膚炎です。乳幼児に多く、顔や首、胸、手足の関節の内側、おしりなどに赤みがあり、じゅくじゅくとしたかゆみを伴う湿疹ができて皮がむけたり、ごわごわと硬くなって盛り上がったりすることもあります。

大人になっても治らない場合や、大人になってから発症することもあります。遺伝的にアトピー体質を持っている人に多く、ハウスダストやダニなどが引き金になることがあります。

アトピー性皮膚炎
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乾癬(かんせん)

乾癬とは、免疫が活性化されることで健康な皮膚の10倍以上の速さで皮膚が生まれ変わって生産が過剰な状態になる病気です。主な症状は皮膚が赤くなる紅斑、皮膚が盛り上がる浸潤、銀白色のフケのようなものが付着する鱗屑(りんせつ)、それがポロポロとはがれ落ちる落屑(らくせつ)かゆみなどです。頭、膝、肘、腰などに多くみられますが、全身のどこにでも生じます。

原因は明らかになっていませんが、生活習慣病、遺伝、ストレス、薬剤などが影響すると考えられており、感染することはありません。

乾癬
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肌あれ症状が悪化した場合や、何度も同じ症状を繰り返すときには、一度病院を受診することを考えましょう。受診先は皮膚科が適切です。

医師には、肌の気になる症状(赤み、かゆみ、フケ、発疹、カサカサする、じゅくじゅくするなど)、いつから症状があるのか、症状が現れやすいタイミング(季節、気温、湿度、食事、日焼けしたときなど)、普段のスキンケア(使っている化粧水やクリームなど)などを伝えるとよいでしょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 赤み、腫れ、ヒリヒリした刺激感などがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 保湿などですぐに改善する
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。