茶色の痰が出る:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

茶色の痰が出る

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 強い息苦しさ、胸痛、高熱などがある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 茶色の痰が続いている
  • 咳が2週間以上続いている
  • 微熱、体重減少がある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 鼻血が出たあとなど原因がはっきりしており、すぐによくなる

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

チョコレートやコーヒーなどを飲食した後に茶色い痰が出るような心配のいらないものもありますが、何のきっかけもなく突然茶色い痰が出た場合には注意が必要です。

  • 風邪っぽい感じが続いていて、ある日突然、咳と一緒に茶色の痰が出た
  • 急に激しい胸の痛みに襲われ、咳をしたら茶色の痰が出た
  • 体に異常はないけど咳が増えて、たまに茶色っぽい痰が出る

こういった場合には、どのような原因が考えられるでしょうか。

痰に混じった茶色いものは、血液である可能性もあります。この場合、気管支や肺などの病気が考えられ、これらの臓器からの出血が痰とともに排出されます(血痰(けったん))。

気管支や肺などの上気道からの出血では、一般的に痰に混じる血液は鮮紅色ですが、血液が少量であったり、古い血液であったりする場合には茶色や赤サビのような色に見えることがあります。

突然茶色い痰が出た場合には、のど、気管支、肺などで少し出血を起こしている可能性があります。血液の塊が出るような喀血(かっけつ)でなければ出血量は多くはなく、ほとんどが風邪などの気道感染症に伴うものなので、過度の心配はいりません。

しかし、中には注意が必要な場合もあり、気管支や肺などで出血を起こす病気としては、以下のようなものが挙げられます。

肺結核

結核菌という細菌が肺に感染して起こる病気です。咳によって人から人に感染し、感染した後に発病する人は約10%といわれています。

肺結核では咳が生じ、痰や血痰もよくみられます。また、胸の痛みや発熱、体のだるさ、冷や汗、体重減少などの症状を伴うこともあります。3~4週間以上咳、微熱、だるさなどが続く場合には医師に相談しましょう。

肺結核
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肺がん

肺に発生する悪性腫瘍(がん)の総称で、肺から発生したものを原発性肺がん、他の臓器などから転移したものを転移性肺がんと呼びます。

肺がんの種類や発生部位、進行度などによって現れる症状は異なりますが、咳や痰、胸の痛み、息切れ、声のかすれ、体のだるさ、体重減少などが代表的です。また、茶色や赤サビ色、鮮紅色の血痰が出ることもあります。

肺がん
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肺炎

細菌やウイルスなどが肺に感染して炎症を起こす病気です。

症状は、咳や痰、(のう)性痰((うみ)を含む痰)、血痰、発熱、息苦しさ、胸の痛み、動悸などがよくみられます。

肺炎
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非結核性抗酸菌症

結核菌以外の抗酸菌が肺に感染する病気です。

主な症状は咳や痰、血痰、体のだるさ、発熱、寝汗、体重減少などです。自覚症状がないことや、症状が軽く気づきにくいことも少なくありません。

非結核性抗酸菌症
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気管支拡張症

何らかの原因で気管支が広がる病気です。

主な症状は咳や痰で、進行して肺機能が低下すると息苦しさが現れるようになります。また、気管支の血管が傷ついて血痰が生じる場合もあります。

肺の感染症や副鼻腔(びくう)炎を合併することがあり、肺の感染症を合併すれば発熱や呼吸状態の悪化、副鼻腔炎を合併すれば鼻水や鼻づまりなど鼻に関連した症状が現れることがあります。

気管支拡張症
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肺アスペルギルス症

自然界に広く存在している真菌(カビ)の一種であるアスペルギルスが肺に感染することで起こる病気です。過去に肺結核に罹った方や胸部の手術を受けた方、間質性肺炎肺気腫気管支拡張症のような肺疾患をもった方で、数週間以上下記のような症状が続く場合に疑われます。

初期には咳や痰、喘鳴(ぜんめい)(ゼーゼーという呼吸音)などの症状がみられることが多く、重症化すると血痰や息苦しさなどが現れる場合もあります。

肺アスペルギルス症
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心不全

何らかの原因によって心臓のポンプ機能が低下し、血液の循環がうまくいかなくなる状態です。機能の低下が短期間のうちに急激に起こるものを急性心不全、徐々に起こるものを慢性心不全といいます。急性心不全では、激しい息苦しさや咳、胸の痛み、動悸、顔・手足の皮膚の蒼白、冷感、足のむくみなどの症状が短期間のうちに現れ、慢性心不全では息苦しさや咳、動悸、疲れやすさ、手足の冷え、足のむくみなどが徐々に現れます。

いずれも血痰を伴うことがあり、色が薄く泡立ったような痰が出ます。

心不全
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梗塞(こうそく)

足や下半身にできた血栓(けっせん)(血のかたまり)が血流に乗って肺の血管に詰まる病気です。広義では肺塞栓(そくせん)症やエコノミー症候群と同じ病気で、長時間座っている状態が続いた後に急に立ち上がったときなどに起こりやすいとされています。症状は、主に突然の胸の痛みや息苦しさ、咳、血痰で、重症の場合には意識障害がみられたりショック状態に陥ったりすることもあります。

茶色や赤サビのような色の痰が長く続く場合、このような痰が一時的でも咳や胸の痛みや、とくに動いたときの息苦しさなど他の症状がある場合には、病院への受診がすすめられます。

気管支や肺の病気であれば呼吸器内科、心不全など心臓の病気であれば循環器内科が専門の科目となります。ただし、自分自身でどこに原因があるのかを判断することは難しいため、まずは近くの内科やかかりつけの医療機関で相談するのもよいでしょう。

診察時には、茶色っぽい痰はいつ出てどのくらい続いているか、上で挙げた病気を患っている人が周囲にいるか(同じ症状の人が周囲にいるか)、他の症状はあるか、などについて医師に具体的に伝えるとよいでしょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。