インタビュー

リウマチ膠原病のひとつシェーグレン症候群とは? 症状・原因を解説

リウマチ膠原病のひとつシェーグレン症候群とは? 症状・原因を解説
メディカルノート編集部 [医師監修]

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この記事の最終更新は2018年04月12日です。

目や口の乾きは、大きな病気でなくとも感じやすい症状のひとつです。ところが、これらの乾燥症状の背後にシェーグレン症候群と呼ばれる難病が潜んでいるケースもあります。診断に至っていない潜在患者も多いと考えられているシェーグレン症候群とは、一体どのような病気でしょうか。シェーグレン症候群の代表的な症状と原因について解説します。

シェーグレン症候群とは、涙腺や唾液腺などに異常が生じ、目や口に乾燥などの症状が現れる自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、本来異物を排除するために働く免疫反応が自分の体に対して働いてしまうことで、さまざまな症状が現れる病気のことです。シェーグレン症候群では、主に自身の涙腺や唾液腺などが標的となり、自身の免疫による攻撃を受けます。

シェーグレン症候群は、関節リウマチなどと同じリウマチ膠原病のひとつであり、国の指定難病にも指定されています。

なお、シェーグレン症候群という病名は、1930年にこの病気をはじめて発見した眼科の医師・Henrick Sjögrenの名に由来しています。

日本における患者数は、約66,300人とされています。

自己免疫疾患に関する調査研究班の報告より(難病情報センター)

ただし、診断に至っていないシェーグレン症候群の患者さんも非常に多いと考えられおり、その数は日本全国で10万~30万人にものぼると推測されています。

参考文献:菅井進.シェーグレン症候群, 最近の進歩.口咽科.15:2;149-157,2003. 149(推測されるシェーグレン症候群の潜在患者数は研究により異なります)

シェーグレン症候群には、発症しやすい年齢や男女比があります。報告には差があるため、ここでは「難病情報センター」が提供しているデータを紹介します。

年齢

発症のピーク年齢は50歳代とされています。ただし実際には、子どもから高齢の方まで幅広い年齢での発症がみられます。

性別

女性に発症しやすく、男女比は1:14といわれています。

人種

シェーグレン症候群の発症に人種差はないと考えられています。

同一家族内でシェーグレン症候群を発症する割合は約2%程度と報告されています。家族内にシェーグレン症候群の患者さんがいない場合と比べると高い数値といえますが、この数値により遺伝する病気であると考えることはできません。

シェーグレン症候群の症状は多様で、重症度にも幅があるため、病気の経過を一概にいうことはできません。難病情報センターのデータによると、約半数の患者さんは10年以上経過しても何らかの変化はなく、もう半数の患者さんは10年以上経つと検査異常や新たな異変がみられるとされています。

ドライアイ

最も生じやすい症状はドライアイ(目の乾燥)とドライマウス(口の乾燥)です。これらの症状は、涙腺や唾液腺に異常が生じるために起こります。目が乾燥することで、結膜や角膜に傷が生じ、結膜炎角膜炎を発症することもあります。また、目がゴロゴロするといった違和感を覚えたり、涙腺の腫れが生じたりする例もあります。

ドライマウス

唾液が分泌されにくくなり、喋りにくいと感じることがあります。口の乾燥症状が重い場合には、舌の表面がボコボコとした状態になります。このほか、唾液腺に腫れが生じる例もあります。

シェーグレン症候群では、涙腺や唾液腺だけではなく、全身の外分泌腺も障害されることがあります。

また、自分自身の免疫システムに異常が生じる自己免疫疾患であることから、以下のように多様な症状が現れる可能性があります。

乾燥の症状

女性の場合、膣の乾燥により性交時に違和感を覚えることもあります。

関節の症状

  • 関節痛
  • 関節の腫れ

甲状腺の症状

  • 良性の腫大(甲状腺腫)

呼吸器の症状

  • 呼吸の苦しさ
  • 声枯れ(嗄声:させい)

肝臓の症状

  • 肝機能の異常
  • 肝腫大

肝臓がある右上腹部に違和感を覚えることがあります。

消化管の症状

  • 胃痛
  • みぞおちの不快感

腎臓の症状

皮膚の症状

輪のような紅色の皮疹

  • 下肢の網状皮斑(もうじょうひはん)や紫斑(しはん)

足などを中心に生じる網目状の皮疹や出血斑

その他の症状

  • レイノー現象

寒冷刺激などにより、手足の血流が悪化して色調に変化が現れる現象

など

このほかにも、下図のようにさまざまな部位に症状が生じることがあります。

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シェーグレン症候群は原発性(一次性)と二次性に大別されます。原発性とは、他の病気を合併しておらず、シェーグレン症候群のみを単独で発症しているものを指します。

原発性シェーグレン症候群は、さらに腺型と腺外型の2タイプに分けられます。

・腺型:涙腺と唾液腺に関連した病変のみが現れるもの

・腺外型:臓器や血液など、全身の器官に病変が現れるもの

病変とは病気による変化のこと

二次性シェーグレン症候群は、他のリウマチ膠原病を合併しているものを指します。合併症としては、関節リウマチクレスト症候群などが報告されています。

関節リウマチ

関節に炎症が起こり、腫れや痛み、変形が生じる病気です。

クレスト症候群

体幹ではなく、指や手足(四肢)の皮膚が硬化する病気です。限局性皮膚硬化症とも呼ばれます。

シェーグレン症候群の発症に関するメカニズムは、完全に解明されているわけではありません。ただし、シェーグレン症候群の患者さんの体内では、特徴的な自己抗体(異物への対抗物質)が作られることがわかっています。また異常が生じている臓器にはリンパ球浸潤(しんじゅん)という、リンパ球の集合がみられます。このような特徴から、シェーグレン症候群を引き起こす原因因子には、免疫システムの異常があると考えられています。

ただし、シェーグレン症候群の発症に関わる因子は免疫異常だけではありません。遺伝的要因や環境的要因などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。
 

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