院長インタビュー

船橋市の医療を牽引し続ける船橋市立医療センター

船橋市の医療を牽引し続ける船橋市立医療センター
丸山 尚嗣 先生

船橋市立医療センター 病院長

丸山 尚嗣 先生

この記事の最終更新は2018年06月14日です。

船橋市の人口は2017年に63万人を突破しました。街の成長に伴い医療に対するニーズも、より質が高く密度の濃いものへと変化しています。

船橋市立医療センターでは、大学病院と同等と認められた急性期診療機能を十分に発揮すべく、院長の丸山尚嗣先生総指揮のもと、さまざまな改革に取り組んでいます。本記事では船橋市立医療センターの概要や強み、将来像についてお話を伺いました。

船橋市立医療センターよりご提供

船橋市立医療センターは、船橋市と医師会をはじめとする関連機関による綿密な協議と連携により、1983年10 月に開院しました。船橋市にお住まいのみなさんから寄せられる期待と信頼に対して、当院の理念である【相互信頼の医療】「私たちは、患者さんに信頼される医療を目指します」にもとづき、急性期医療、がん治療やその他の高度医療を提供することにより、地域のニーズに応え続けています。

2018年4月現在、当院は449病床、29診療科[注1]を有するまでに成長しました。開院当初から、当院の医師と患者さんのかかりつけ医が協同して診療(入院治療)するオープンベッドシステムを導入しています。

当院では医療連携・患者支援センターを開設して、電話による患者紹介を受けられるようにしました。地域の開業医の先生との連携をより強めることで、患者さんそれぞれに適した医療を提供して、地域での生活にスムーズに戻っていただけるような仕組みづくりを進めています。

[注1] 記事中でご紹介する従業員の人数や配置状況は、現在の実態とは異なる可能性があります。ご了承ください。

2009年4月に地方公営企業法[注2]の全部適用を受け、病院事業管理者による病院管理や意思決定が可能となりました。当院ではマンパワーの強化、新たに地域医療支援病院の指定承認を受けるなど、より専門的な医療を提供できる体制を整えました。

[注2]地方公営企業法: 地方公共団体が経営する企業の組織、職員の身分等について規定する法律

2017年に「自治体立優良病院」の1つとして総務省大臣から表彰されました。自治体立優良病院とは、健全な経営や地域医療への貢献など一定の水準を満たす自治体病院のうち、特に「経営の健全性」「経営努力の状況」「地域医療に果たしている役割」について総務省から高い評価を得ている医療機関のことです。

自治体病院の経営状況は厳しく、2017年の調査では全国自治体病院の9割近くが赤字経営です。当院が健全な経営を維持できているのは、当院を信頼して受診してくださる患者さん、日々の診療や病院運営に携わる職員の努力のおかげです。

厚生労働省は、急性期医療病院(DPC病院)の診療実績を4つの判断基準[注3]によって、大学病院本院群、DPC特定病院群、DPC標準病院群の3群に分類しています。当院は2018年度から、大学病院と同等の機能を有するDPC特定病院群(旧Ⅱ群)に指定されています。

[注3]4つの判断基準:診療密度、医師研修の実施、高度な医療技術の実施、重症患者に対する診療の実施

1984年に救急病院の指定を受け、1994年5月に三次救命救急センターを発足しました。以来、船橋市、鎌ケ谷市、習志野市、八千代市の4市約110万人の三次救命救急医療を支えています。2017年度では4,083台の救急車を受け入れました。

当院では北米型ERシステムを導入しており、自分で直接来院される患者さん、他院からの救急診療依頼そして三次救命医療まで、可能な限り受け入れて診療しています。

船橋市立医療センターよりご提供

当院では全国に先駆けて、船橋市消防局・船橋市医師会と連携して船橋市救急車医師同乗システム(ドクターカー事業)を運用しています。これは救命救急センター開設とほぼ同時期の1993 年に導入した制度で、病院敷地内に併設された救急ステーションが、船橋市消防局の救急指令室からの要請を受け次第、特別な訓練を受けた医師が同乗して直ちに現場に向かいます。2017年度の出動件数は1,473件にのぼりました。

ドクターカーによる迅速な処置が功を奏し、船橋市における心肺停止者救命率と搬送後の社会復帰率は全国平均を上回る良好な成績を維持しています。ドクターカーが治療成績に与える影響について、学会等でも積極的に発表してきました。

船橋市立医療センターよりご提供

地域がん診療連携拠点病院として、患者さんが元気でいられる日を1日でも伸ばせるような治療方法を一緒に考え実践できるよう努力しています。

2018年度には、体にメスを入れる面積を極力減らし、かつ繊細な手術操作を可能とした手術支援ロボットと、複雑な形の腫瘍にも放射線の集中照射が可能な強度変調放射線治療(IMRT)を導入することにより、ご提案できる治療方法がさらに増えました。

船橋市立医療センターよりご提供

2009年に開設した心臓血管センターでは、循環器内科や心臓血管外科をはじめとする関連部門のスタッフがハートチームを結成して、密に連携して診療を行なっています。冠動脈インターベンション(PCI)、アブレーション、ステント留置術などが実施可能な専門の医師と設備が揃っており、多くの患者さんが集まっています。

また、心臓リハビリテーションも併設しているため、診療から社会復帰までシームレスな対応が可能なことも当院の特長です。

乳がん罹患率上昇を受け、乳がん治療にも力を入れています。最近の主流となっている乳房温存療法において、当院では手術時にがん細胞を取り残さないよう病理医が迅速診断でチェックする体制、手術後に再発予防を目的とした放射線治療を実施する体制が万全です。

また、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会による「乳房再建エキスパンダー実施施設」及び「乳房再建用インプラント実施施設」の認定を受けており、乳房を全摘出された方に対しても健康なときの乳房に近いかたちを再建できるよう、乳腺外科と形成外科が連携して取り組んでいます。

脳卒中には脳梗塞脳出血があり、いずれも発症してからいかに早く治療を開始できるかが、回復と社会復帰の鍵を握っています。緊急度の高い脳卒中に対し、当院では24時間365日体制で最善の治療を実施しています。2017年度では213件の手術と、107件の血管内手術を実施しました。

これまでのノウハウ蓄積に加え、脳神経内科の医師が着任するなどマンパワーが充実したことを受け、2018年4月に脳卒中センターを開設して診療体制の強化を図りました。

当院は1997年より臨床研修病院に指定され、病院全体で研修医を育てる体制作りを推進しており、NPO法人卒後臨床研修評価機構(JCEP)による認定を取得して更新(2017年)を続けています。プライマリ・ケアのスキルと医療者としてふさわしいマインドを兼ね備えた医師の育成を目指す当院のスタンスが評価されて、全国から多くの研修医が集まっています。

船橋市立医療センターは多くの方々にご利用いただいていますが、開院から35年を経過し建物の老朽化や狭隘化も目立つようになってきました。そういう中でも高度な医療、最新の医療、よりよい患者サービスが提供できるよう、日々努力し、さまざまな改革に取り組んでいます。そして船橋市が進めるメディカルタウン構想の中核として、2023年には新病院の開設計画が進んでいます。

船橋市には、東京で働き仕事が終わると千葉県の自宅に帰ってくる、いわゆる「千葉都民」と呼ばれる方も大勢いらっしゃいます。一人でも多くの方に当院の診療内容や取り組みを知っていただき、「地元で良い医療を受ける」という選択肢を持っていただければ幸いです。

当院の理念でもある【相互信頼の医療】は、当院を選んでくださった患者さんの権利を尊重して十分な説明と安全な医療を提供できたうえではじめて成立します。そして地域医療構想の実現に向けて、地域で医療を完結させるためには、近隣病院や開業医の先生方からの信頼も欠かせません。

相互信頼の医療を実現すべく自己研鑽に努めると共に、より良質なチーム医療を提供できるよう、職員それぞれが患者さんのために何ができるかを考えていきましょう。

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