編集部記事

歯肉炎の原因〜日頃の生活習慣や病気が原因となる可能性がある〜

歯肉炎の原因〜日頃の生活習慣や病気が原因となる可能性がある〜
戸原 玄 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...

戸原 玄 先生

山口 浩平 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...

山口 浩平 先生

目次
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歯肉炎は、歯周病の段階のひとつであり、歯肉に腫れや出血が見られる症状です。進行すると歯周炎になって最終的に骨(歯槽骨)が溶けてしまうこともあります。

歯肉炎の原因の多くはプラーク(歯の表面についた細菌の塊)ですが、プラークができる原因にはさまざまなものがあります。本記事では歯肉炎の原因と、原因ごとの対処法を詳しく解説いたします。

歯肉炎のほとんどがプラーク性とされています。

プラーク性の歯肉炎は、主に口内環境の悪化によって歯肉と歯の間にプラークがたまってしまうことによって引き起こされます。

口の中には300〜400種類もの細菌が存在するとされ、その中で歯肉炎(歯周病)に関連する細菌は10〜30種類程度です。歯肉炎は特定のある一つの菌でかかるわけではなく、数種類の菌が一緒になってプラークを作るといわれています。

プラーク性の歯肉炎が起こる、または歯肉炎が悪化する原因は以下の通りです。

プラークは、歯についた食べ物のカスに細菌が繁殖したものです。歯磨きを十分に行わないとプラークができ、歯肉炎の原因となることがあります。

プラークは食後8時間程度でできるとされているため、食事を終えた後は早めに丁寧なブラッシングをする必要があります。

生理、妊娠もしくは閉経期のホルモンバランスの変化などが歯肉炎の発症原因や炎症悪化の原因となることがあるとされています。

妊娠中は、ホルモン変化以外にも歯肉炎の原因が潜んでいます。たとえば、唾液の分泌が減ることやつわりで歯磨きがしづらくなる、回数が減るといったことにより口内環境が悪化しやすくなります。

特にビタミンCの不足は、歯肉炎の原因になることがあります。ビタミンC不足になると、体内のコラーゲンの構造が弱くなって毛細血管から出血し、壊血病につながることがあります。壊血病の初期症状として歯肉炎を発症することがあり、歯肉などから出血を起こします。

タバコを吸う人は、吸わない人に比べて3~8倍も歯肉炎にかかりやすいとされています。

タバコの成分や煙は粘膜や歯茎から吸収され、血管を縮ませてしまいます。すると、歯茎の血流量が少なくなって歯茎に酸素が行き渡らなくなり、歯周病の原因菌が繁殖しやすくなるとされています。

また、タバコによる血管収縮によって炎症が抑えられ、歯茎からの出血などが気づきにくいという特徴もあります。さらに、吸わない人に比べて治療効果が低いともいわれているため、歯周病の予防、治癒のために禁煙が推奨されています。

ストレスによって免疫機能や回復機能などが低下してしまうため、歯肉炎の原因となるとされています。

歯肉炎(歯周病)と関連するとされている病気がいくつかあります。糖尿病、心臓血管疾患、呼吸器疾患、骨粗しょう症白血病、AIDSなどです。

これらの病気では、抵抗力や免疫力が低下するため、歯肉炎にかかりやすくなると考えられています。

また、歯肉炎(歯周病)は糖尿病の合併症のひとつとみなされており、糖尿病が歯肉炎の原因となるだけでなく、歯肉炎が糖尿病の発症リスクを上昇させるとも考えられています。さらに、重度の歯周病を伴う糖尿病患者は、他の糖尿病患者に比べて腎臓疾患による死亡が3倍程度も多いとされています。

歯肉炎は歯科医院や、大学病院などの“歯周病科”といった専門の診療科で治療をします。

まず進行度を検査し、進行度合いによって治療方針が決まります。通常はまず歯磨き指導と歯石除去が行われ、これだけで歯茎の状態が改善されることがあります。

しかし、歯磨きや歯石除去だけでは歯周ポケット(歯と歯茎の境目の溝)が深いままである場合には、外科治療(手術)、歯周組織の再生を促すような再生治療が行われることもあります。

また、痛みや炎症や細菌の増殖を抑える内服薬、腫れや出血などを緩和する外用薬が処方されることもあります。

歯周病の原因の項目で解説したように、歯肉炎の原因はプラークであるため、こまめな歯磨きによって口内環境を良好にしておく必要があります。また、ビタミン不足やタバコなども原因となるため、生活習慣の見直しもするとよいでしょう。

歯肉炎の原因は、口内環境の悪化、ホルモンバランスの変化、ビタミン不足、タバコ、ストレスなど、多岐にわたります。また、免疫力を低下させるような病気が原因となっている場合もあります。

歯肉炎には市販薬(市販の歯槽膿漏薬)もありますが、市販薬では治らない、一度治っても症状が繰り返されるといった場合には医療機関の受診を検討するとよいでしょう。

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  • 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授、東京医科歯科大学病院 摂食嚥下リハビリテーション科 科長

    戸原 玄 先生

  • 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 講師

    山口 浩平 先生

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