白血病は一般に治療が困難な病気であると考えられていますが、その種類によっては非常によく効く薬剤があります。慢性骨髄性白血病に使われるチロシンキナーゼ阻害剤や、急性前骨髄性白血病に使われるオールトランス型レチノイン酸(ATRA)によって、白血病の治療は大きく変わってきました。しかし、今もなお白血病の薬物治療は抗がん剤を使ったTotal cell kill(トータル・セル・キル)による地固め療法が基本となっています。白血病や悪性リンパ腫など「血液のがん」を専門とされている和歌山県立大学医学部附属病院血液内科学講座教授の園木孝志先生に、白血病の薬物治療についてお話をうかがいました。
これを慢性骨髄性白血病やフィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病の治療に用います。それからもうひとつはオールトランス型レチノイン酸(all- trans retinoic acid:ATRA)です。これは急性前骨髄性白血病に使われています。他にもいくつかの薬がありますが、革新的、つまり白血病の治療にイノベーションを起こしたのはこの2つです。
治療前の患者さんの体では白血病細胞が非常に多くなっており、正常細胞は少ない状態です。そこへ強力な抗がん剤治療を行うと、正常な細胞も白血病細胞も一気に減り、その後回復して増えてきます。ところが回復のカーブは正常細胞のほうが早く立ち上がります。そしてまた抗がん剤治療を行うと、白血病細胞は正常細胞に比べると戻るのが遅いので、下図のようなカーブになります。これを繰り返すことによって、少しずつ白血病細胞が減っていきます。
このように、白血病細胞のほうが正常細胞と比べて回復が遅いという、その差を利用して正常造血をどんどん高めていくというのがTotal cell kill(トータル・セル・キル)の考え方です。
では、最終的にはどのようにして治癒に至るのでしょうか。これはまだ完全に解明されたわけではありませんが、最期には患者さん自身の免疫が白血病細胞を完全に殺してしまうのだろうと考えられています。おそらく正常な免疫細胞は白血病細胞を退治する能力を持っているのですが、白血病細胞があまりに多いと免疫細胞が効かないのです。ですから、白血病細胞がある程度少なくなるとおそらく免疫細胞の出番がやってくるのではないかと考えられています。このように、白血病細胞のほうが正常細胞と比べて回復が遅いという、その差を利用して正常造血のほうをどんどん高めていくというのがTotal cell kill(トータル・セル・キル)の考え方です。
正常な白血球が減ると感染症を起こしやすくなりますので、それに対しては抗生物質を適切に使うことが重要になります。また、正常な赤血球が減れば赤血球輸血、血小板が減れば血小板輸血が必要です。感染症を防ぐために無菌室に入っていただくなどの対応は、以前はかなり厳しく行っていましたが、現在ではかなり緩やかになっています。
移植といっても造血幹細胞を輸血のように点滴するだけです。この治療には移植片対宿主病(いしょくへんたいしゅくしゅびょう:GVHD)などといった多くの合併症があるので、この治療ができるかは年齢や体の状態をみて判断しています。
抗がん剤で治らなかった患者さんたちがこの治療で治ることも十分ありえます。
和歌山県立大学医学部附属病院 血液内科学講座 教授
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白血球数が多かった
先日。学校で健康診断があり、その結果が届いたのですが、白血球数と赤血球数が高く、特に白血球数が高かったので再検査にひっかかりました。そこで、白血球数について調べると白血病というのが出てきてとても不安になりました。それに今風邪のような症状が出ています。白血病には風邪のような症状が出る時もあるらしいのですが、大丈夫でしょうか、病院には来週行きます、なにかアドバイスなどありませんか?
耳下腺のしこり
耳下腺にできたしこりについてです。 数週間前からずっとあります。 皮膚の表面ではなく、内側にある感じです。 皮膚科でみてもらいましたが、分からないといわれました。その後耳鼻科に行き抗生物質をもらい飲みましたが治らないです。もう一度耳鼻科に行きましたが分からないといわれました。 そのまま放置しており、先日深夜に寝汗で起きました。今まで寝汗で起きる事が無かったので驚きました。また、今までにかいたことがない汗の量でした。 しこり、寝汗の2つをネットで調べたら白血病と出てきました。 翌日、心配で内科で血液検査をしてもらいましたが、特に異常がありませんでした。 まだ、白血病の可能性はあるのでしょうか? また、何科に行くと病名がわかるのでしょうか? この数週間ずっとしこりがあり不安でたまらないです。
ボシュリフの内服について
風邪のような症状が続き、少し長引いたので病院で検査した結果、まさかの慢性骨髄性白血病でした。 精密検査と薬の副作用管理の為に入院をしましたが、来週退院できる予定です。今はグリベックを飲んでいます。これよりもボシュリフが効果があると聞いたのですが、どうでしょうか?
骨髄検査をしました
昨年からの不明熱(微熱で37℃~38℃)が続き、年末から血液内科に紹介され受診しています。これまでは、皮膚科、婦人科などのクリニックに行っていました。その都度、血液の細胞が大きいと言われていました。 何度か採決を繰り返し、慢性骨髄性増殖性疾患のどれかになるかと思います。とのことで、骨髄に腫瘍があるかの検査を行いましたが、種類がたくさんあるようで、曖昧にしか言われていませんが、慢性の白血病や真性多血症やその他の分類不能なものまで様々可能性が大いにありますとのことでした。本日午後、200ミリ程度はしゃっけつしてもらい、少し頭痛など楽にしてもらえるようです。症状は、胃潰瘍気味、慢性の酷い下痢、微熱、倦怠感、関節痛、出血傾向、顔が赤くなったり、全身乾燥(強度のドライアイ、舌が乾燥、膣乾燥、体、顔も乾燥)(舌も黄色になったり、口内炎が多発します)一応、専門の専門医師に診てもらっているのですが。WBC6.4 RBC4.18 Hb 16.5 HCT 46.3 MCV 110.8 MCH 39.5 MCHC 35.6 RDW 11.9 PLT 218 MPV 9.6 pDW 10.8 Neut 69.6 Eosino 2.3 Baso 0.5 Lymp 20.9 Mono 6.7 CRP 0.1 これまでは、スーパー鉄欠乏性貧血でヘモグロビン7悪い時で6になり鉄剤を2年前まで服用していたので、びっくりです。因みに、身長152 体重38.5 喫煙はありません。高いところにも住んでいませんし、副流煙の環境も問題ありません。宜しくおねがいします。それからエリスロポエチンは正常で、そこは問題なく、JAK検査は問題なかったそうです。それでも真性多血症や血液系なのでしょうか?個人的に、シェーグレン症候群だったりしてと思ってしまいますが、膠原病の抗体が陰性だったので、どの病院に行けばよいのか分からず困っています
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