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インタビュー

白血病の検査と診断

白血病の検査と診断
園木 孝志 先生

和歌山県立大学医学部附属病院 血液内科学講座 教授

園木 孝志 先生

この記事の最終更新は2016年04月23日です。

白血病による血液細胞の異常は、通常の血液検査によってその徴候を認めることもありますが、詳しく診断するためには骨髄から組織を採取して検査を行うことが欠かせません。白血病や悪性リンパ腫など「血液のがん」を専門とされている和歌山県立大学医学部附属病院血液内科学講座教授の園木孝志先生に白血病の検査と診断についてお話をうかがいました。

なぜなら、白血病細胞が増えている場所は血液の中ではないからです。造血器と呼ばれる骨髄で増えた細胞が血液の中に出てきているわけですから、大元を知ることが重要です。

骨髄穿刺は針で刺して骨髄の組織を採取するため、多少の痛みを伴いますが、あっという間に終わる検査です。従来は胸骨(きょうこつ)から採っていましたが、やはり胸骨はその下に動脈などがありリスクが高いため、現在は腰にある腸骨からの採取が推奨されています。どうしても採取できない場合には胸骨から採取することもありますが、第一選択は腸骨です。

まずスミア(smear)標本と呼ばれる塗抹(とまつ)標本で顕微鏡検査を行います。それに加えて行っているのは染色体解析です。また、顕微鏡で見ただけでは急性骨髄性白血病かと思われたものが、実は急性リンパ性白血病だったということもあります。そこでリンパ球性なのか、リンパ球であればT細胞なのかB細胞なのか、あるいは骨髄性なのかということを判定するためにフローサイトメトリー(細胞を流して計数する技術)という検査を行うことも多くなっています。もちろん、可能な部分については遺伝子検査も行っています。

急性白血病の場合は白血球が極端に増え、他の赤血球や血小板は少なくなります。血液検査で白血球だけが非常に多いとき、しかも顕微鏡で見たときに、通常はみられないような芽球(がきゅう)が多数ある場合には急性白血病を疑います。

慢性白血病の場合は、最近では検診で見つかることも少なくありません。検診で採血を行った際、たまたま白血球・赤血球・血小板の数に異常があったということから見つかることがあります。

逆に白血球が少なくなるタイプもあります。汎血球減少(はんけっきゅうげんしょう)といいますが、血球も血小板もともに少なくなっている方の中から、白血病が見つかる場合があります。

急性白血病の場合、患者さんはだるさや鼻血、歯茎からの出血が止まらないなどの症状を訴えて来られます。ただ、今までに感じたことのあるだるさとは違い、ご自身でも「これはただごとではない」と思われるような自覚症状があるといいます。しかも急速に悪くなっていきますから、だるいと感じていたら次には発熱、その次にはポツポツと紫斑が出て食欲が落ちてくるなどの症状が次々とあらわれます。したがって、白血病の早期発見は難しいのです。

白血病は血球検査をすれば、ほぼ確実に診断できる病気です。かかりつけの病院や、あるいは検診などで白血球が多いと指摘され、そこで見つかる場合もあります。しかし、たとえば最初は風邪だろうと言われ、一週間ほど経ってもなかなか治らないということで再び受診したときに血液検査をしてみたら異常が見つかったということもしばしばあります。

患者さんにしてみれば、最初は風邪だと言われたのに、と思われるかもしれませんが、その段階でいきなり血液検査をするということはまずありません。また、診断が遅くなったからその後の経過に影響するのではないかというご心配があるかもしれませんが、多くの患者さんを診療してきた立場から申せば、そのようなことはないと考えます。

しかし、急を要する病気であることは事実です。もしも「白血病かもしれません」と言われて専門医の受診を勧められた場合には、意を決して怖がらずに血液内科の先生を受診してください。体の中の腫瘍細胞が多くなるほど治療は難しくなりますので、疑いがあると言われたらすぐに血液内科に行くことが大切です。

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