腰部脊柱管狭窄症という病名を聞くと、症状として腰の痛みを想像される方もいらっしゃるかと思いますが、それ以外にも特徴的な症状が現れることがあります。では、どういった症状を自覚したら腰部脊柱管狭窄症を疑い、病院を受診すべきなのでしょうか。
本記事では、腰部脊柱管狭窄症の原因や症状、検査などについて解説します。
腰部脊柱管狭窄症とは、脊髄神経の通り道である脊柱管が狭くなる病気です。高齢者の10人に1人が腰部脊柱管狭窄症を患っていると考えられています。
腰部脊柱管狭窄症の主な原因は、高齢・加齢・体質です。元々脊柱管が狭い発育性狭窄の場合には、大人になってから腰部脊柱管狭窄症の症状が強く出やすいとされています。
また、腰部脊柱管狭窄症はほかの病気を合併する場合もあります。
元々、腰部脊柱管狭窄症の症状があった方は、ほかの病気をきっかけに腰部脊柱管狭窄症の症状が悪化する場合があります。次では、腰部脊柱管狭窄症と関連する主な病気について見ていきましょう。
椎間板ヘルニアとは、脊椎と脊椎の間にあるクッションの役割を担う椎間板が脊柱管に飛び出してきてしまい、腰痛や下肢の痛みなどが生じる病気です。元々、腰部脊柱管狭窄の症状があった方では、椎間板ヘルニアをきっかけにより強く狭窄が現れる場合もあります。
腰椎変性すべり症とは、腰椎がずれて下肢の痛みやしびれが生じる病気です。“腰椎変性すべり症=腰部脊柱管狭窄症を生じる”というわけではないですが、腰椎のぐらつきが強くなり、そのぐらつきを抑えるために靱帯が分厚くなっていきます。その影響で、徐々に狭窄が進行していく場合が多くなっています。
狭窄の箇所や人によっても現れる症状は異なります。主な症状を見ていきましょう。
腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状としては、間欠跛行が挙げられます。間欠跛行とは、歩行時や起立時には足に痛み・しびれが生じるが、立ち止まって少し休むと比較的また歩けるようになるという症状のことです。
下肢の痛みやしびれ、腰痛が現れる場合もあります。
狭窄が非常に強くなると、尿もれや尿閉(頑張っても尿が出ない、または出にくい状態)などにつながることもあるため注意が必要です。
症状や患者さんの状況によって適切な検査を行う必要があります。主に行われる検査をご紹介します。
MRIでは、どの部分が狭窄しているかを視覚的に捉えることが可能です。また、神経のみを強調して撮影することもできるため、腰部脊柱管狭窄症の診断においてMRIは欠かせません。
また、MRIは脊髄造影検査と異なり入院の必要がありませんので、患者さんの負担も少ないといえます。
脊髄造影検査とは、脊髄の外側の膜である硬膜の中に造影剤を注入したうえで、X線やCT撮影を行う検査です。
ペースメーカーを入れているためMRI検査ができない方や、インプラントが入っていてMRIでは影ができてしまう方などは、脊髄造影検査を行う場合があります。なお、脊髄造影検査は入院を伴うことに加え、造影剤のアレルギーやさまざまな合併症が現れる恐れがあるため、検査を検討している場合は事前に医師と相談しましょう。
間欠跛行の症状がある場合には、足関節上腕血圧比(Ankle Brachial pressure Index:ABI)を実施します。間欠跛行は腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状でもありますが、動脈硬化などの血管性の病気でもみられます。その特定のために四肢の血圧と脈拍を測り、その差を見て病気の確定をします。
神経根ブロックは、痛みやしびれの原因箇所を特定する検査としても行いますし、痛みを和らげる治療にも用いられます。
狭窄が複数箇所ある場合には、痛みやしびれなどの症状の原因となっている箇所を見極めるため神経に注射針を添えます。その際、いつも感じている痛みが現れたならば造影剤が入ったのを確認した後、ステロイドと局所麻酔薬を注入していきます。
お尻から足にかけてのいずれかの箇所で痛みやしびれの自覚症状がある方は、一度検査を受けることをおすすめします。腰部脊柱管狭窄症は、必ずしも腰の痛みがあるわけではないので、その点は自覚症状の対象から外しましょう。
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