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連載髙久史麿先生厳選 世界の医療情報

関節リウマチと心臓病の関係―病気を防ぐヒントは「葉酸」?

公開日

2021年02月01日

更新日

2021年02月01日

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2021年02月01日

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公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長

髙久 史麿 先生

関節リウマチだと心疾患による死亡率が高いのはなぜ?

これは、関節リウマチ(RA:Rheumatoid Arthritis)患者の心疾患に関する研究である。2020年3月2日のHealth Dayに「Rheumatoid Arthritis Low Folate Levels Raise Heart Risks(関節リウマチ:血中葉酸値が低いと心臓のリスクが高まる)」と報道されている。

従来から関節リウマチ患者は心疾患で死亡する割合が60%高いことが知られていたが、そのメカニズムについては明らかになっていなかった。ここで紹介する研究を行ったのはKalyani Sonawane氏で、彼女はテキサス大学健康科学センター公衆衛生学部の助教授である。

この研究では、683人の関節リウマチ患者を血中葉酸値によって3群(血中葉酸値が4.3ng/mL未満、4.3~8.2ng/mL、8.2ng/mL以上)に分けている。研究が行われた17年間で、258人が心疾患で死亡していた。上記の参加者のうち、血中葉酸値が4.3ng/mL未満の患者は心疾患による死亡率が50%高いことと関連があると示されている。

葉酸の「可能性」とは?

この研究を指導したテキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMaria Suarez-Almazor教授によると、血中葉酸値は関節リウマチ患者が心血管障害で死亡する危険度を判定する有用な指標であるが、血中葉酸値の低下が直接心血管障害を起こすことを示したものではないという。しかし、この研究を推進することによって葉酸と心血管障害との関係がより明らかになれば、関節リウマチ患者に葉酸サプリメントを投与することが心血管障害を防ぐ手頃な手段になるであろうと考えられる。

葉酸は細胞の新生に必須であり、血中ホモシステイン(アミノ酸の一種)の値を下げるようにはたらく。血中ホモシステイン値が高いと、心疾患の危険度が高まることが知られている。関節リウマチ患者では血中ホモシステイン値が上昇しており、その原因は関節リウマチ患者の治療によく使われるメトトレキサートという薬が血中葉酸値を下げるようにはたらくからであるとされている。

なお、葉酸は卵、ブロッコリー、柑橘類、葉菜類に含まれており、関節リウマチ患者はこれらの食物を取るように心がけたほうがよいと思われる。

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公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長

髙久 史麿 先生

公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長。1954年東京大学医学部卒業後、シカゴ大学留学などを経て、自治医科大学内科教授に就任、同大学の設立に尽力する。また、1982年には東京大学医学部第三内科教授に就任し、選挙制度の見直しや分子生物学の導入などに力を注ぐ。1971年には論文「血色素合成の調節、その病態生理学的意義」でベルツ賞第1位を受賞、1994年に紫綬褒章、2012年には瑞宝大綬章を受賞する。