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連載髙久史麿先生厳選 世界の医療情報

眼鏡着用が新型コロナから身を守ることも?

公開日

2020年12月22日

更新日

2020年12月22日

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2020年12月22日

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公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長

髙久 史麿 先生

この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2020年12月22日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

眼鏡をかけている人は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかりにくいという研究結果が2020年9月16日のHealth Dayに「Do ordinary eyeglasses offer protection against COVID-19?(普通の眼鏡にコロナ感染を防ぐ機能がある?)」として報告された。この研究は中国で行われたもので、JAMA Ophthalmologyの2020年9月16日号に掲載された。

報告によると、COVID-19で中国・湖北省の随州市曽都病院に入院した276人のうち、約6%の人が近視のため日常的に眼鏡をかけていた。一方、湖北省の住人の近視割合は約32%と、はるかに高い。報告した南昌大学第二附属医院のDr. Yiping Weiと共同研究者は「眼鏡をつけていると本人が手で目を触ることを防ぎ、その結果として手を介した新型コロナウイルスの感染を防いでいるのであろう。目は新型コロナウイルスの有力な侵入経路と考えられているが、眼鏡で防ぐことによって空気中のウイルスを含んだ飛沫が目に触れるリスクを減少させている可能性もある」と述べている。

ただ、眼鏡を常用していてもCOVID-19に感染・発症した人もいる。ジョンズホプキンス・センター・フォー・セキュリティーのDr. Amesh Adaljaは「これは観察研究であり断定的なことは言えない。しかし、いろいろな方法で目を守ることによって、COVID-19感染のリスクを減らす可能性があることを示している」と述べている。加えて、「さらなる観察研究や、フェイスシールドを使用するような正式な研究によって確認しなければならない。とはいえ、目の保護の重要性がますます注目されるようになった」と話している。

眼鏡で完全な防御は不可能

医療関係者は、眼鏡の効果についてどう考えているのであろうか。

マウントサイナイ・サウス・ナッソー病院の主任疫学者、Dr. Aaron Glattは「我々を含めて多くの病院は、感染防御のために医師や看護師、訪問者にマスクと同時にゴーグルやフェイスシールドを着用することを要求している。『眼鏡をかけているからそれで十分では?』と聞かれたら、Noと言うことにしている。普通の眼鏡もある程度防御的にはたらくが、その周りから粒子が入り込むため、目を完全に防御することはできない」と述べている。

一方、眼鏡で感染リスクが増大する可能性を指摘する意見もある。

ジョンズホプキンス・ヘルスシステム感染予防部門上級職のDr. Lisa Maragakisは、この論文についてJAMA Ophthalmologyに掲載された論説で「眼鏡をつけていると、つけたり外したり調整するときに目を触り、感染する危険性が増加する可能性がある」と述べている。

ただし、Dr.MaragakisとDr. Glattはともに「この研究は興味あるもので、科学的な根拠もある。しかし小規模な研究であり、将来もっと多くの人を対象にした研究を行うべきである」と述べている。

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公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長

髙久 史麿 先生

公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長。1954年東京大学医学部卒業後、シカゴ大学留学などを経て、自治医科大学内科教授に就任、同大学の設立に尽力する。また、1982年には東京大学医学部第三内科教授に就任し、選挙制度の見直しや分子生物学の導入などに力を注ぐ。1971年には論文「血色素合成の調節、その病態生理学的意義」でベルツ賞第1位を受賞、1994年に紫綬褒章、2012年には瑞宝大綬章を受賞する。