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連載髙久史麿先生厳選 世界の医療情報

寿命を延ばしたければボランティアを!

公開日

2021年03月26日

更新日

2021年03月26日

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2021年03月26日

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公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長

髙久 史麿 先生

社会活動には、高齢者の認知機能の低下予防を含めてさまざまな利点があることが知られている。それに関連して、ボランティア活動が寿命を延ばすかもしれないという研究結果が、2020年6月13日のHealth Dayに「Want Added Years? Try Volunteering(寿命を延ばしたい? ならボランティアに取り組んで)」として報告されているのであらためて紹介したい。

この研究を行ったのはアメリカ・ボストンのハーバード大学公衆衛生学部社会行動科学・健康と幸福センター主任研究員、Eric Kim氏らである。U.S. Health and Retirement Study(全米健康と退職研究)に参加した50歳以上の約1万3000人を対象に、2010~2016年の間で各個人を4年間にわたって観察している。

その結果、1年間に100時間以上(1週間2時間以上)ボランティア活動に参加している人たちは、活動をしていない人に比べて観察期間中に死亡や体が不自由になる割合が低く、その結果として身体活動が高く幸福感も増加したとのことである。

この結果は2020年6月11日のAmerican Journal of Preventive Medicineにオンラインで掲載されている。

Kim氏は、ボランティア活動に参加することが社会に貢献するだけでなく、他人との関係を深め、自身の生きる目的を見出し、孤独感や抑うつ、失望感から我々を守ってくれるなどの利点があると上記ジャーナルのニュースリリースで述べている。

一方で、ボランティア活動と高血圧、糖尿病、脳卒中、がん、心疾患、肺疾患、肥満症、神経性疼痛(とうつう)など身体的な病気の改善との関係は明らかにならなかった。

この研究は新型コロナウィルス感染症がパンデミックになる前に行われたものであるが、ポストコロナ時代には上述の考え方がより重要になるであろうとKim氏は述べている。

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公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長

髙久 史麿 先生

公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長。1954年東京大学医学部卒業後、シカゴ大学留学などを経て、自治医科大学内科教授に就任、同大学の設立に尽力する。また、1982年には東京大学医学部第三内科教授に就任し、選挙制度の見直しや分子生物学の導入などに力を注ぐ。1971年には論文「血色素合成の調節、その病態生理学的意義」でベルツ賞第1位を受賞、1994年に紫綬褒章、2012年には瑞宝大綬章を受賞する。