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連載髙久史麿先生厳選 世界の医療情報

音楽は心も心臓も癒やす?

公開日

2021年02月05日

更新日

2021年02月05日

更新履歴
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2021年02月05日

掲載しました。
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公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長

髙久 史麿 先生

音楽が心血管障害の"薬代わり"になるかもしれないという研究「Music Might Help Soothe Ailing Hearts(音楽は心臓の不調を和らげるかもしれない)」が2020年5月28日のHealth Dayで報告されていたのでご紹介したい。

イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのPier Lambiase教授がリーダーである。この研究では、軽い心不全のためにペースメーカーをつけている3人の患者にクラシックピアノ演奏会を鑑賞してもらい、ペースメーカーの電極を通じて演奏のテンポ、音量、リズムの大きな変化があった際の心臓の電気的活動を調べた。

測定の結果、同じ音楽のフレーズを聴いたとき、ある人はリラックスし、別の人は興奮したりストレスの原因になったりするといったように、心臓の活動は個人によって反対に動くことがあるというデータが示された。

共同研究者でフランス国立科学研究センターのElaine Chew主任研究員は、「我々は個々人の心臓がどう反応するかを理解し、望む方向への反応を引き出すためにしつらえた音楽による介入を計画している」と述べている。この研究は欧州心臓病学会のバーチャル会議で発表された。

リーダーのLambiase教授は、音楽を聴かせることによって、副作用の危険性がある薬剤の投与なしに血圧を下げたり不整脈を正常化させたりすることができるのではないかと期待し、患者の数をさらに8人に増やして研究を続行するとのことである。

不眠は動脈硬化のサイン?

もう1つ、心血管障害に関する研究を紹介したい。よく眠れないことに血管の動脈硬化が関連しているという研究が2020年6月12日のHealth Dayに「Are Hardened Arteries a Risk Factor for Poor Slumber?(動脈硬化は睡眠不足の原因か?)」として報じられている。

睡眠不足が心血管障害の危険因子であるといわれ、睡眠障害はさまざまな炎症因子、特に血球数、その中でも好中球数が関係することが知られている。一方で、動脈硬化は成人期の初期に始まるが、ある程度進むまでは本人が気付かないこともしばしばある。今回の研究結果から、睡眠障害は動脈硬化の早期発見に役立つのではないかと考えられている。

睡眠の質を上げれば、心血管障害の危険因子を減らすことができるかもしれない。記事では睡眠の質を改善する方法として、

  1. 一定の時間に就寝し、一定の時間に起きる
  2. 眠る前にスマートフォン・コンピューターを使わない、テレビを見ない
  3. 毎日体を動かす
  4. 日光を浴びる(特に午前中)
  5. 夜に喫煙・アルコール飲用をやめる
  6. 医師に相談して、認知行動療法(cognitive behavioral therapy)を受ける

――ことなどを記載している。

私自身はあまりよく眠れないほうであるが、上記の1)と3)に加え、睡眠誘導剤を飲んでいる。あまり面白くない記事であるが、私自身寝つきがよくないので、あえてご紹介した次第である。
 

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公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長

髙久 史麿 先生

公益社団法人地域医療振興協会 会長 / 日本医学会 前会長。1954年東京大学医学部卒業後、シカゴ大学留学などを経て、自治医科大学内科教授に就任、同大学の設立に尽力する。また、1982年には東京大学医学部第三内科教授に就任し、選挙制度の見直しや分子生物学の導入などに力を注ぐ。1971年には論文「血色素合成の調節、その病態生理学的意義」でベルツ賞第1位を受賞、1994年に紫綬褒章、2012年には瑞宝大綬章を受賞する。