おりものが黒い:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
おりものは、膣や子宮内でつくられる分泌物であり、適度な粘性があることで膣内に潤いを与えています。また、膣や子宮への細菌などの侵入を防ぐ自浄作用を担います。
通常、おりものは透明~乳白色ですが、さまざまな原因で色調に変化がみられることがあります。黒いおりものがみられる原因は多岐にわたります。
これらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。
おりものは無色~乳白色の色調ですが、古くなって酸化した血液が混入すると黒っぽくなることがあります。なかには、以下のような病気が原因のこともあるため注意が必要です。
黒いおりものは子宮や膣に生じる病気が原因のことがあります。原因となる主な病気は以下の通りです。
子宮頸部や子宮内膜に良性腫瘍であるポリープが形成される病気です。
自覚症状はないことがほとんどですが、ポリープが大きくなると性交後などに出血を生じることがあり、黒いおりものの原因になることがあります。
また、子宮内膜ポリープは大きくなると着床障害による不妊症を引き起こすことも少なくありません。
30歳以上の多くの女性が発症していると考えられている病気であり、子宮の平滑筋に発生する良性腫瘍です。
女性ホルモンの作用によって大きくなり、腹痛や不正(性器)出血、過多月経を引き起こします。出血量が多くなるため、慢性的な貧血に陥ることも多々あり、不妊症を引き起こすケースもみられます。
また、不正出血が続くことで、子宮内にたまった血液があとから排出されると黒いおりものを生じることがあります。
子宮の筋肉内に子宮内膜組織が増殖する病気です。子宮が硬く大きくなり、月経痛の悪化や月経量の増加がみられるようになります。また、月経時以外にもダラダラとした出血が生じることもあり、黒いおりものの原因になることもあります。
子宮頸部や子宮体部に発生するがんです。いずれも不正出血を引き起こすことが多くあります。
進行すると腹痛や腹部膨満感などの症状がみられるようになり、周囲の組織や臓器と癒着して性交痛などを引き起こすこともあります。
一方、不正(性器)出血以外の症状が出にくいケースもありますので、早めの検査が有効な場合も多くあります。
黒いおりものは、子宮や膣以外の病気によって引き起こされていることもあります。原因となる主な病気は以下の通りです。
白血病や血小板減少症、肝機能障害などによって、止血作用を持つ血小板や凝固因子が減少することで出血が起こりやすくなることがあります。
その結果、不正出血が生じやすくなり、黒いおりものの原因となることがあります。
閉経前後5年間で、女性ホルモンの急激なバランス変化によって生じるさまざまな症状のことを更年期障害と呼びます。
自律神経の乱れによる動悸や発汗などの身体症状や、抑うつ気分、イライラ感などの精神的な変調をきたします。
また、女性ホルモンのバランスが乱れることで不正出血を起こしやすくなり、黒いおりものが分泌されるきっかけとなることがあります。
黒いおりものは、少量であれば特に問題視しない人も多いでしょう。
しかし、黒いおりものは思いもよらない病気が潜んでいる可能性があります。早急に治療を始めなければならないものもあるため、注意が必要な症状のひとつといえます。
特に、黒や赤のおりものがダラダラと続く場合、妊娠の可能性がある場合や腹痛などの症状を伴う場合は、なるべく早めに病院を受診するようにしましょう。
受診に適した診療科は婦人科ですが、全身に何らかの症状がある場合はかかりつけの内科などで相談することもひとつの方法です。受診の際には、いつから黒いおりものが出るようになったのか、随伴する症状、妊娠の可能性などを詳しく医師に説明するようにしましょう。
また、基礎体温の記録がある場合は持参すると診療がスムーズに進むことがあります。
黒いおりものは日常生活上の習慣が原因になっている場合があります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下の通りです。
過剰なストレスの蓄積は女性ホルモンのバランスを乱し、不正出血による黒いおりものを引き起こすことがあります。
自分に合ったストレス解消法を身につけ、適度にストレスを発散するようにしましょう。また、十分な睡眠や休息時間を確保することも大切です。
月経などの出血は、子宮が強く収縮することによって膣を通して体外に排出されています。腹部の冷えは子宮の収縮力を弱め、血液がたまりやすくなることがあります。その結果、時間が経過してから子宮内の血液が排出され、黒いおりものとなることがあります。
月経中などは温かい服装をしたり、腹巻などを着用したりすることで下腹部を温めるようにしましょう。寒い時期の外出には、貼るカイロなどを腰やお腹に使用することでも効果が期待できます。
日常生活上の対処法を講じても症状が改善しない場合は、思いもよらない病気が潜んでいる可能性があります。軽く考えずに、それぞれの症状にあった診療科を早めに受診するようにしましょう。