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唇が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

唇が痛い

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 我慢できない痛みがある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 腫れ、痛みなどがある
  • できもの、ひび割れなどがある
  • 小さい水疱が複数できている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

聖マリアンナ医科大学皮膚科 教授

門野 岳史 先生【監修】

唇は皮膚が薄く非常にデリケートな部位です。また常に外界に晒されており、ダメージを受ける機会が多いうえに、飲食物の刺激なども加わるためトラブルが生じやすい部位でもあります。特に、唇の痛みは発生頻度の高い症状であり、原因は多岐にわたります。

  • 唇の皮が剥けてヒリヒリとした痛みがある
  • 唇や唇の周りに痛みを伴う水疱(すいほう)ができた
  • 下顎から唇にかけて、時折非常に強い痛みが電撃のように走る

これらの症状が見られる場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

唇はさまざまな刺激を受ける機会が多く、皮膚が薄くデリケートなためトラブルが生じやすい部位です。中には痛みを引き起こすものもあり、その原因はさまざまです。特に問題とならない痛みもありますが、思わぬ病気が潜んでいることもあるため注意が必要な症状のひとつでもあります。

唇の痛みを引き起こす病気には以下のようなものが挙げられます。

唇の痛みは唇自体に生じる病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

口唇炎

唇を形成する皮膚に炎症が生じる病気で、原因には日焼け、食生活の乱れ、ストレス、睡眠不足などの生活習慣が関与するものから、何らかのウイルス感染やアレルギーなど、さまざまなものが挙げられます。一般的には唇の皮膚に炎症が生じることで、ただれや発赤、腫れなどが生じ、悪化すると湿疹を形成することも少なくありません。痛みやかゆみを伴うことが多く、飲食もままならないほど強い症状が現れることもあります。

口唇炎
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接触皮膚炎

特定の物質が肌に触れることで、その部位を中心に皮膚に炎症が生じる病気です。いわゆる、かぶれと呼ばれるもので、飲食物や食器の金属、化粧品などに触れやすい唇は接触皮膚炎が発症しやすい部位でもあります。原因となる物質が触れた直後からヒリヒリとした痛みやかゆみを生じ、皮膚の発赤、腫れなどを引き起こします。また重度な場合には、唇に“びらん”や水疱を形成するケースも見られます。

接触皮膚炎
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ヘルペス、帯状疱疹など

単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルスに感染することによって発症する病気です。いずれも初感染の際には非常に強い痛みやかゆみを伴う水疱が形成され、発熱や倦怠感(けんたいかん)などの症状を生じます。そして症状が軽快した場合でも、ウイルスは神経節の中に感染し続けることが特徴で、体調不良などで免疫力が低下するとウイルスが再活性化して再発を繰り返します。

ヘルペスの場合には、唇やその周辺に痛みを伴う水疱を形成します。一方、帯状疱疹はウイルスが潜む神経節の支配領域に関する部位に広く水疱が形成され、痛みやかゆみを引き起こします。重症の場合は水疱が治ってからも長い間痛みが持続しますので、早期治療が大切です。

ヘルペス
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帯状疱疹
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口角炎

ビタミン不足やステロイド・抗菌薬の乱用などが原因となって、カビの一種であるカンジダや皮膚常在菌が口角に炎症を引き起こす病気です。口角がカサカサに乾燥して亀裂が生じやすくなり、裂傷を繰り返すことで口角部が化膿することも少なくありません。痛みを伴うのが特徴で、重症化すると開口が困難になるケースも多々あります。

口角炎
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唇の痛みは、唇以外の部位に生じる病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

口内炎

ウイルス感染や熱傷、物理的なダメージによって口腔粘膜に炎症が生じ、白い偽膜で覆われた潰瘍(かいよう)を形成する病気です。非常に強い痛みを伴うことが多く、唇に近い部位に生じると唇にまで痛みが放散することがあります。

口内炎
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三叉神経痛

脳神経の一種である三叉神経が拡張した血管や腫瘍(しゅよう)などの病変によって圧迫されることで非常に強い痛みを引き起こす病気です。三叉神経は三本に枝分かれし、主に顔面に分布します。その中のひとつである下顎(かがく)神経は、下顎部の感覚を支配しているため、三叉神経痛では下顎から唇にかけて突発的に非常に強い痛みが走ることがあります。

三叉神経痛
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唇の痛みは発生頻度の高い症状であるため、軽く考えられがちです。唇が痛いからといって病院を受診する人は少ないでしょう。しかし、唇の痛みは思わぬ病気が原因で引き起こされていることもあります。痛みが続くときは病院を受診して適切な治療を受けることが大切です。

特に、唇やその周辺に水疱を伴う場合、唇が荒れてただれているような場合、耐え難い激烈な痛みを繰り返す場合は、なるべく早めに病院を受診しましょう。

受診に適した診療科は皮膚科ですが、びりびりとしびれる神経痛のような痛みがある場合には、脳神経内科や脳神経外科などで診てもらうのもひとつの方法です。受診の際には、いつから痛みがあるのか、痛みの誘因、随伴する症状、現在罹患(りかん)している病気や既往歴などを詳しく医師に説明することが大切です。

唇の痛みは日常生活上の好ましくない習慣が原因で引き起こされることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下のとおりです。

唇は常に外界に晒されているため、紫外線や空気の乾燥などの刺激を受けやすく、炎症による痛みを引き起こしやすい部位でもあります。

唇を環境的な刺激から守るには

外出時にはUVカット・保湿効果のあるリップクリームなどを使用して唇に加わる刺激を防ぐことが大切です。また、リップクリームは飲食や会話などによって取れやすいため、こまめに重ね塗りするようにしましょう。

空気が乾燥しやすい秋から春にかけては、唇もカサカサと乾燥しやすいため、唇を頻繁になめる癖がある人がいます。特に学童期に多く見られる癖ですが、唾液が唇に刺激を与えて炎症を引き起こし、痛みの原因となることがあります。

唇をなめないためには

意識的に唇をなめないよう注意することも大切ですが、日頃から保湿効果のあるリップクリームや、唇にも使用できる保湿クリームなどを使用して唇の乾燥を防ぐようにしましょう。

唇は非常に皮膚が薄いため、ほかの部位よりもデリケートです。一方、唇は口紅などの落ちにくい化粧品を塗り重ねる部位でもあり、日常的に多くの化粧品や洗顔料などに触れています。このため、肌質に合わない化粧品を長期間にわたって使用すると、炎症を引き起こして痛みの原因となることがあります。

唇に優しい化粧品とは

使用した際に唇にピリピリとした刺激が加わる化粧品の使用は避け、万が一唇に付着した場合は、しっかりとぬるま湯などで洗い流すようにしましょう。また、初めて使用する化粧品や洗顔料は、少量を手の甲などに付け、刺激の有無を調べてから使用するとよいでしょう。

日常生活上の対処法を講じても症状がよくならない場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性があります。早急に治療を開始した方がよいケースも少なくありませんので、看過せずにそれぞれの症状に合わせた診療科を受診するようにしましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。