手のひらの発疹:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
手のひらは乾燥しやすく、乾燥によって発疹が起こることがよくありますが、他にもさまざまな原因が考えられます。また、発疹に強いかゆみを伴うことが多く、掻きむしって発疹がひどくなったり、傷から細菌やウイルスが侵入して二次的に感染症を起こしたりするケースも珍しくありません。
こういった場合には、何が原因になっているのでしょうか。
日常生活上の原因で手のひらに発疹が起こることも多くあります。その原因と対策は以下の通りです。
毛穴には、皮脂腺と呼ばれる皮膚の表面にあぶらを分泌する腺がありますが、手のひらには毛穴も皮脂腺もありません。そのため、バリア機能のひとつである皮脂膜が皮膚の表面に作られにくく、手のひらは乾燥しやすい部位のひとつなのです。皮膚が乾燥すると外的刺激を受けやすく、炎症を起こすなどして発疹が現れるようになります。
手の乾燥を防ぐためには、保湿が何より重要です。手洗いや入浴後のほか、乾燥が気になるときに、ハンドクリームなどを使用して保湿を心がけましょう。
敏感肌や乾燥肌の場合、ハンドクリームは低刺激なものがよいですが、保湿力や持続性も重要なポイントになります。また、水に強いタイプのクリームを選ぶのもおすすめです。
水を使う機会が多いと、手のひらが乾燥して炎症が起こりやすくなります。また、洗剤など家事でよく使うものには化学物質が含まれ、これが皮膚への刺激となって発疹が現れる場合もあります。
乾燥を防ぐためには保湿することが大切ですが、乾燥の原因となる水や洗剤などを直接手に触れないようにするなど、皮膚への刺激を減らすことも大切です。洗剤を刺激の少ないものに変える、食器を洗う際にはゴム手袋を使用するなどして、対策をとるようにしましょう。
日常生活上の対策をとってもよくならない場合、治療が必要な発疹にまで進行しているか、他の原因によるものかもしれません。一度病院で診てもらったほうがよいでしょう。
手のひらの発疹は、さまざまな病気によって引き起こされます。代表的な病気には以下のようなものがあります。
何らかの物質による刺激やアレルギーによって起こる手の湿疹です。家事で水を使うことの多い主婦によくみられるため、「主婦湿疹」とも呼ばれています。
原因物質に触れ続けることで、手のかさつきやひび割れなどが起こり、進行すると炎症によって赤くただれたり、水疱ができたりします。通常、かゆみを伴います。
何らかの物質が皮膚に接触することで炎症が起こる病気で、一般的に「かぶれ」と呼ばれています。上で挙げた手湿疹は接触皮膚炎の一種です。原因物質には、金属やうるし、酸・アルカリ、虫の毒など、さまざまなものが挙げられ、このような物質が触れた部分にのみ発疹が起こるのが特徴です。発疹は赤くただれたり、水ぶくれを形成したり、かゆみや痛みを伴うこともあります。
全身または部分的に強いかゆみを伴う発疹が起こる慢性の病気です。顔や首、肘、膝裏などに起こりやすいですが、手のひらに起こることもあります。
皮膚が乾燥した状態から、皮膚が硬くゴワゴワしたり、ジクジクとしたり、皮膚にみられる変化はさまざまで、症状がよくなったり悪くなったりと繰り返すのが特徴です。
小水疱が生じる皮膚の病気です。主に手のひらや足の裏に数ミリ程度の水疱が多数現れ、強いかゆみを伴います。水疱が形成されてから3週間ほど経つと水疱の表面が剥がれ、赤みやかさぶたが残ります。この間に水疱が再発することも多く、これが繰り返し起こるケースもみられます。
膿を持った小水疱が手のひらや足の裏に多数みられる病気です。初めは赤みや小さな水疱が現れ、次第に膿を持った水疱へと変化します。水疱が破れた後にかさぶたを形成し、多くは繰り返し起こります。通常かゆみを伴い、水疱の出始めに特にかゆくなります。
広く知られている足の水虫は、白癬という真菌の感染によるものです。この菌が手に感染して起こるものが手白癬で、他の人に感染させる可能性のある病気です。
感染すると、手指の間が湿ってジュクジュクしたり、手のひらがカサカサしたり、小さな水疱を作る場合もあります。白癬菌が爪に感染した場合には、爪が厚くなって白濁し、進行すると黄褐色に変色してボロボロと欠けるようになります。
手足の甲、手のひら、足の裏なども皮膚が乾燥すると、皮膚がひび割れたり皮がむけたりします。この状態が悪化した病気を皮脂欠乏性湿疹といい、皮膚の乾燥に加えて、かゆみを伴う赤い発疹が起こるのが特徴です。乾燥しやすい冬に発症することが多く、高齢者によくみられます。
手のひらの発疹が徐々にひどくなっている場合、強いかゆみがあり掻きむしってしまう場合には、早めに皮膚科を受診したほうがよいでしょう。
また、感染症では人に移す可能性がありますし、原因によっては慢性化することで治りが悪くなることもあります。かゆみがないなど生活に支障をきたさないような場合でも、長く続くようなら一度皮膚科を受診するようにしましょう。
受診すると問診が行われますが、このときの情報が診断の助けになります。いつから・どのような症状があるのか、心当たりの有無などを医師に伝えましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。