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レビー小体型認知症 今話題のトピックスとは -DLB研究会フォーラム2016レポート

レビー小体型認知症 今話題のトピックスとは -DLB研究会フォーラム2016レポート
(故)小阪 憲司 先生

横浜市立大学医学部 名誉教授

(故)小阪 憲司 先生

この記事の最終更新は2016年12月06日です。

認知症は、アルツハイマー病、脳血管性認知症レビー小体型認知症の大きく3つに分けられます。その中のレビー小体型認知症は、3つの認知症のなかで最も新しく発見された病気であり、研究が盛んに進められています。

このレビー小体型認知症に関する最新情報を共有する機会として、毎年「レビー小体型認知症(DLB)研究会」が開催されています。午前・昼には家族の会・サポートネットワークの活動に関する講演が行われ、午後にはレビー小体型認知症の最新知見についてのシンポジウムが開催されました。本記事ではシンポジウムの内容を中心に、レビー小体型認知症治療の最新知見を解説します。

今年のDLB研究会の話題の中心となったのは「レビー小体型認知症の診断基準の改訂案」についてです。

現在、レビー小体型認知症の診断をするときには、国際DLBカンファレンスが定めた「国際ワークショップ診断基準」を使うことが推奨されています。現在使われている診断基準は2005年に定められたものです。この基準が定められてから現在に至るまで、約10年が経過しており、近年、改訂を求める声が高まっていました。

そのような状況の中、2015年12月に国際DLBカンファレンスが行われ、改訂が求められていた「レビー小体型認知症の診断基準」について論議がなされました。診断基準の改訂は認知症患者さんの診断・治療に大きな影響を及ぼすので、非常に注目があつまる話題です。そのため「国際会議で一体どのような改訂が論議されたのか」が今年のDLB研究会でも話題の中心となったのです。

では一体どのような診断基準の改定が論議されたのでしょうか。検討された改訂案のなかでも大きなトピックスとなったのが「MIBG心筋シンチの重要性」についてです。MIBG心筋シンチとは、心臓をコントロールしている交感神経の状態を調べる検査です。この検査は「レビー小体型認知症」と他の認知症(アルツハイマー型認知症脳血管性認知症)の区別に役立ちます。

レビー小体型認知症は、アルツハイマ―型認知症との識別が難しい病気です。MIBG心筋シンチはこのふたつの疾患を見分けるのに役立ちますが、日本ではよく使われている一方、海外ではあまり一般的な検査方法ではありません。そのため、世界ではこの検査法の重要性があまり評価されていません。そのため、日本の医師たちはMIBG心筋シンチの研究を世界の先頭に立って進め、世界に向けて「MIBG心筋シンチの重要性」を訴求し続けてきたという背景があります。

そして2015年12月に行われた国際DLBカンファレンスでは、日本が進めてきたMIBG心筋シンチの研究成果が発表され、この検査法の重要性について論議が重ねられたのです。その結果、レビー小体型認知症の診断基準のなかにMIBG心筋シンチの検査結果を考慮していくとの方針が打ち出されました。

「レビー小体型認知症の診断基準の改訂」はまだ正式には発表されていませんが、診断基準改定は、今後論文として正式に発表される予定です。

ディスカッションの様子

また2015年の国際DLBカンファレンスでは、小阪憲司先生のこれまでの功績が表彰されました。小阪先生はレビー小体型認知症を発見された方であり、その後もレビー小体型認知症の病理や治療などの重要な研究に携わっています。このような功績が認められ、この国際カンファレンスでこれまでの成果が表彰されました。これからも日本が世界のリードをとりながらレビー小体型認知症の研究を進めていくことで、病気の早期発見に貢献していくことが期待されます。

小阪先生

今年は、レビー小体型認知症が日本で発見されてから40年、DLB研究会が開催されてから10周年という節目の年でした。レビー小体型認知症を日本が提唱した当時は、この病気の概念について、世界から理解を得られにくい状況がありました。しかし、日本の著名な認知症領域の先生方の取り組みによってレビー小体型認知症に対する世界の理解が深まっていきました。これからも日本をはじめ、世界中で病気の原因・症状・診断方法の研究が発展していくことが期待されています。

 

【参考書籍】

パーキンソン病」「レビー小体型認知症」がわかるQAブック  原因のレビー小体は全身に』小阪 憲司/織茂 智之/著 メディカ出版 2011年6月刊行

 

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