認知症は、アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症の大きく3つに分けられます。その中のレビー小体型認知症は、3つの認知症のなかで最も新しく発見された病気であり、研究が盛んに進められています。
このレビー小体型認知症に関する最新情報を共有する機会として、毎年「レビー小体型認知症(DLB)研究会」が開催されています。午前・昼には家族の会・サポートネットワークの活動に関する講演が行われ、午後にはレビー小体型認知症の最新知見についてのシンポジウムが開催されました。本記事ではシンポジウムの内容を中心に、レビー小体型認知症治療の最新知見を解説します。
今年のDLB研究会の話題の中心となったのは「レビー小体型認知症の診断基準の改訂案」についてです。
現在、レビー小体型認知症の診断をするときには、国際DLBカンファレンスが定めた「国際ワークショップ診断基準」を使うことが推奨されています。現在使われている診断基準は2005年に定められたものです。この基準が定められてから現在に至るまで、約10年が経過しており、近年、改訂を求める声が高まっていました。
そのような状況の中、2015年12月に国際DLBカンファレンスが行われ、改訂が求められていた「レビー小体型認知症の診断基準」について論議がなされました。診断基準の改訂は認知症患者さんの診断・治療に大きな影響を及ぼすので、非常に注目があつまる話題です。そのため「国際会議で一体どのような改訂が論議されたのか」が今年のDLB研究会でも話題の中心となったのです。
では一体どのような診断基準の改定が論議されたのでしょうか。検討された改訂案のなかでも大きなトピックスとなったのが「MIBG心筋シンチの重要性」についてです。MIBG心筋シンチとは、心臓をコントロールしている交感神経の状態を調べる検査です。この検査は「レビー小体型認知症」と他の認知症(アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症)の区別に役立ちます。
レビー小体型認知症は、アルツハイマ―型認知症との識別が難しい病気です。MIBG心筋シンチはこのふたつの疾患を見分けるのに役立ちますが、日本ではよく使われている一方、海外ではあまり一般的な検査方法ではありません。そのため、世界ではこの検査法の重要性があまり評価されていません。そのため、日本の医師たちはMIBG心筋シンチの研究を世界の先頭に立って進め、世界に向けて「MIBG心筋シンチの重要性」を訴求し続けてきたという背景があります。
そして2015年12月に行われた国際DLBカンファレンスでは、日本が進めてきたMIBG心筋シンチの研究成果が発表され、この検査法の重要性について論議が重ねられたのです。その結果、レビー小体型認知症の診断基準のなかにMIBG心筋シンチの検査結果を考慮していくとの方針が打ち出されました。
「レビー小体型認知症の診断基準の改訂」はまだ正式には発表されていませんが、診断基準改定は、今後論文として正式に発表される予定です。
また2015年の国際DLBカンファレンスでは、小阪憲司先生のこれまでの功績が表彰されました。小阪先生はレビー小体型認知症を発見された方であり、その後もレビー小体型認知症の病理や治療などの重要な研究に携わっています。このような功績が認められ、この国際カンファレンスでこれまでの成果が表彰されました。これからも日本が世界のリードをとりながらレビー小体型認知症の研究を進めていくことで、病気の早期発見に貢献していくことが期待されます。
今年は、レビー小体型認知症が日本で発見されてから40年、DLB研究会が開催されてから10周年という節目の年でした。レビー小体型認知症を日本が提唱した当時は、この病気の概念について、世界から理解を得られにくい状況がありました。しかし、日本の著名な認知症領域の先生方の取り組みによってレビー小体型認知症に対する世界の理解が深まっていきました。これからも日本をはじめ、世界中で病気の原因・症状・診断方法の研究が発展していくことが期待されています。
【参考書籍】
「パーキンソン病」「レビー小体型認知症」がわかるQAブック 原因のレビー小体は全身に』小阪 憲司/織茂 智之/著 メディカ出版 2011年6月刊行
横浜市立大学医学部 名誉教授
レビー小体型認知症の発見者として世界的に有名な認知症疾患のスペシャリスト。長年、認知症治療や研究の第一線で活躍し、レビー小体型認知症の家族会を開催するなど、家族のサポートにも力を注いできた。「認知症治療には早期発見と早期診断、さらには適切な指導と薬剤選択が欠かせない」とし、現在も全国各地で講演やセミナーなども行い、認知症の啓発活動に努めている。
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祖母の幻視について
1年程前から祖母に幻視が現れるようになりました。初めは草木が猫等の動物に見え、家族の誰かが確認しいないことを伝えると「そう、おかしいね」と言ってそれ以上は何も言わなかったのですが、一か月後には道路のポールが人間に見えるようになり、二か月後には一人だったものが複数人見えるようになりました。そのころから妄想のようなことも言うようになり家族に話して否定されるとむきになって正しいと言い張るようになりました。(例:本人は自宅にいるのに向かいの家の人の動きが見える、近視なのにめがねもかけずはっきりと100m先の物が見える、車の中で誰かが生活し子供が学校に行っている等)半年後には”隣人宅に誰かが侵入している”と隣家に電話をしたり、100m先にたい焼きが売っているからと買いに行き実際に行ったらなくなっていた、また自宅から200mほど離れた家で夜な夜な集会をやっているのはなぜか、などデイサービス(週2回)で職員さんや近所の方に話すなどし、周囲からちょっと最近おかしいのでは?と近所の方が教えてくださったこともあります。そして先月から幻視の人々が自宅の庭に現れるようになり寝泊りしており祖母にだんだん近くなってきているようで本人は怖がっています。また最近は被害を受けることが多くなり庭でいたずらをされているようです。見えるのは日中、本人が自宅に居る時のみで出先では見えません。またこの話をするときの祖母は人が変わったかのようです。 初めは目に問題があるのかと思い眼科に連れていきましたが年相応で特に異常なしだった為、内科で認知症のテスト(年相応で異常なし)とパッチを試しましたが効果なしでした。またMRIで小さな動脈瘤が見つかりましたが特に異常はなさそうとのことでした。 以上のことを踏まえて物忘れ外来に通っていますが精神科の先生曰く、認知症でも精神病でもまたレビー小体型認知症でもなさそうでわからない、と言われました。 今は精神科の先生のご指示通り祖母の話を否定も肯定もせず話題を変えて意識をそらし安心してもらうようにしていますが、本人は不安で怖い思いをしたままですし祖母の近くに住む母もどうしたらよいかわからずかなりストレスが溜まっており心配です。考えられる病気はありますでしょうか。また、何科を受診したらよいか等アドバイスを頂けたらと思います。 宜しくお願いします。
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認知症の症状がどんどん悪化していて心配です。治りますか?
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