【院長インタビュー】

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掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センターが手がける医療と未来に...
静岡県にある掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター(以降、中東遠総合医療センター)は、掛川市立総合病院と袋井市立袋井市民病院の統合によって2013年に開院しました。掛川市と袋井市及び周...
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掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センターが手がける医療と未来に向けた取り組み

公開日 2018 年 09 月 19 日 | 更新日 2018 年 10 月 04 日

掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センターが手がける医療と未来に向けた取り組み
宮地 正彦 先生

掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 企業長兼院長

宮地 正彦 先生

目次

静岡県にある掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター(以降、中東遠総合医療センター)は、掛川市立総合病院と袋井市立袋井市民病院の統合によって2013年に開院しました。

掛川市と袋井市及び周辺地域の医療を支えるべく、救命救急医療やがん診療などに注力しています。また医学生や研修医の受け入れや教育にも熱心です。

同院の取り組みについて、企業長兼院長を務めておられる宮地正彦先生にお話を伺いました。

中東遠総合医療センターの診療と特長

救命救急医療

中東遠総合医療センターよりご提供

掛川市と袋井市を中心に、中東遠地域における救急医療の一翼を担っています。

当院は「断らない医療」を合い言葉に、救命救急センター(救急部門)が中心となって、患者さんの病気に応じて他科の医師と連携しつつ、コメディカルなど関係スタッフと力を合わせて、24時間体制で救急搬送を受け入れています。

北西部からの病院外観(中東遠総合医療センターよりご提供)

救命救急センターは処置室、血管造影室、手術室とつながっており、治療後はICU(集中治療室)とCCU(冠動脈疾患に対応した集中治療室)で急変に備えながら早期回復を目指します。

循環器診療

心血管内治療センター(中東遠総合医療センターよりご提供)

循環器内科と心血管内治療センターで、心血管の異常の原因を調べたり治療したりしています。緊急度・重症度ともに高い病気を扱うことが多く、内服薬による治療、カテーテル治療、リハビリテーション、食事療法などを組み合せて症状改善を目指します。

当院では、鼠径部や胸部を切開して挿入したカテーテルをつうじてバルーンを操作したりステントを留置したりして血流の改善を狙う心血管インターベンション治療に注力しています。

脳神経外科

手術風景(中東遠総合医療センターよりご提供)

脳神経外科と脳血管内治療センターも緊急度・重症度の高い病気を扱う診療部門です。

早期治療が生存率やその後の後遺症の程度に大きく影響することから、発症から一定期間内の急性脳梗塞ではt-PA静注療法や緊急脳血管内手術、くも膜下出血では開頭脳動脈瘤クリッピング術や脳血管内手術による脳動脈瘤塞栓術などで積極的に治療します。

リハビリテーションも行っているため、診断、治療、社会復帰まで一貫したサポートを行えるのも、当院の大きな強みのひとつです。

神経内科

神経内科で扱うのは脳の機能や神経の異常によって引き起こされる病気で、代表的なものに認知症やパーキンソン病、てんかん、ALSなどがあります。

鮮明な画像診断が必要となることが多く、CTやMRIなどよく知られる医療機器以外に、SPECTやPET-CTなども活用しながら原因の特定や病気の診断を行います。

当院は、睡眠医療センターと認知症疾患医療センターとして、中東遠地域における神経内科診療を一手に引き受けています。

泌尿器科

泌尿器の病気は排尿などのトイレトラブルなどと関連していることも多く、患者さんが異常を訴えにくいです。高齢化進行の影響を受けて今後ますますニーズが増えることが予想されており、患者さんの体と心双方に配慮した診療を心がけています。

尿路結石、前立腺肥大症、前立腺がん、尿管がん、膀胱がんなどの診療を行っており、それぞれの治療ガイドラインを遵守しつつ患者さんの生活の質維持につながるような治療をしています。

中東遠総合医療センターの医療機器

ダヴィンチ

ダヴィンチによる手術風景(中東遠総合医療センターよりご提供)

ダヴィンチとはアメリカで開発された手術支援ロボットで、医師がモニターで体内の様子を観察しながら鉗子が取り付けられたアームを操作して、病巣の切除や縫合などを行います。

ダヴィンチを使用した手術では、通常の開腹手術に比べて体にメスを入れる量が少なく、手術に伴う出血量や傷口、痛みなどを最小限にとどめることができるため、早期の社会復帰を目指すことも可能です。また視野拡大によってより繊細な手術が行えるようになったため、血管や神経を傷つけるリスクが低減して排尿機能などを温存しやすくなったことも、ダヴィンチによる手術の大きな特徴です。

これまでダヴィンチの保険適用は、前立腺がんや腎臓がんなど一部に限られていましたが、2018年4月に子宮がんや胃がんなどにも拡大しました。当院では地域にお住まいのがん患者さんに向けて、体にかかる負担が少ない手術方法があることをお伝えしていきたいと考えています。

PET-CT

PET-CTを使用した検査の様子(中東遠総合医療センターよりご提供)

PETセンターではPET-CTによる画像検査を行っています。

PET-CTとは、体内のブドウ糖代謝と放射性物質の特性を活用した検査で、専用の検査薬を投与した後PETで撮影した画像とCT画像を組み合わせて体内の異常を探します。

PET-CTでは、がんなど悪性腫瘍、一部の心不全、てんかん、パーキンソン病、認知症などの検査で有用性が認められています。

トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)

トモシンセシス(中東遠総合医療センターよりご提供)

トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)は乳がん専用の検査機器であり、複数の方向から乳腺画像を撮影するため、乳腺の重なりで隠れてしまった異常や小さい石灰化なども探しやすいのが特徴です。

トモシンセシスとスタッフ(中東遠総合医療センターよりご提供)

乳がん患者さんは年々増加しています。病気からの回復や乳房温存には早期発見・早期治療が欠かせません。患者さんの心身の負担を軽減につなげられるよう、当院では乳がん発見に尽力してまいります。

中東遠総合医療センター独自の取り組み

がん診療体制の強化

敷地内にあるリハビリ庭園の様子(中東遠総合医療センターよりご提供)

がんと診断されたことで、地元から離れた遠方の医療機関で治療を受ける患者さんやご家族の苦労を、これまで多く目にしてきました。

地域におけるがん診療をリードする存在となることは、当院の使命であり目標でもあると痛感して、PET-CTとトモシンセシス導入による検査充実、ダヴィンチによる体の負担が少ない手術や肺がんなど呼吸器がん手術の実施、緩和ケアによる病気に伴う心身の苦痛軽減など、病気の発見から社会復帰までの一連のサポート体制を強化しました。

外来化学療法室(中東遠総合医療センターよりご提供)

「がん診療に強い病院」という認識が浸透してきたこともあり、少しずつではありますが、当院でがん診療を受ける患者さんの増加を体感しています。

外来中待合の様子(中東遠総合医療センターよりご提供)

「健康診断等でがんの可能性を指摘された」、「地元でがん治療を受けたい」、がんや治療への不安や疑問など、がんに関することはいつでも当院にご相談ください。担当医はじめスタッフがチームとなって、皆さんやご家族を支えます。

総合的に診療できる医師の育成

たとえば肺炎と診断されたとしても、その裏には糖尿病、慢性心不全、嚥下障害などさまざまな病気が隠れていることが多く、多角的な視線からの診療が必要なことが往々にしてあります。

そのため当院に所属する医師には、自身の専門性を深めつつ全身を診ることができる内科的なスキル習得をお願いしています。多方面の能力や知識を持ちあわせたゼネラリストは、高齢の方を診療するときに欠かせない存在であると同時に、医師不足が進行する地方の医療を回すうえで重要な役割を担っていくと考えています。

中東遠総合医療センターの採用教育体制

静岡県の医師不足と病院を挙げた人材育成

静岡県は人口に対する医師数が不足しており、地域の医療を支える人材の育成が喫緊の課題です。医師不足問題が取り上げられて久しいですが、当院のような地方の病院の存在と取り組みが大きな鍵を握っていると考えています。

当院は、複数の大学と提携することで医学生の臨床実習生を受け入れているほか、初期臨床研修医や後期研修医を積極的に採用して魅力的かつ実効性のある研修プログラムを展開するなどして、将来の医療を担う人材育成にも尽力しています。

研修体制について

受け身の研修とならないよう、必要に応じて各分野の先輩医師によるサポートを受けながら手術や救急対応を含めた臨床経験を積んでもらうほか、院内外の医師を講師とする勉強会に参加して、実践に即した知識を深めてもらいます。各診療科に臨床研修担当の医師を配置して、研修指導から評価フィードバックまで丁寧な指導を行っています。

研修後には、臨床研修担当の医師への評価やヒアリングなどを実施して、研修の課題点や改善策検討などのブラッシュアップを行います。

近隣地域の救急医療を多く受け入れるほか、がん診療を筆頭に多分野の診療を担っている当院には毎日大勢の患者さんが来ます。研修体制と症例が充実しているため、これほど有意義な研修先はないのではと考えています。

医学生と交わす2つの約束

病院を挙げて研修医教育に取り組むからこそ、当院での実習を志望される方に2つのお願いをしています。

一つは「当院で5年以上研修する」ことです。一般的な前期研修は2年、後期研修は診療科によって異なりますが、当院の研修医育成プログラムは5年スパンを想定しているため、どちらかのみでは全てを教えることができません。

もう一つは、「学生時代から一定以上の成績を維持し続ける」ことです。一人前の医師となるため、学生時代から勉学に励んで自己研鑽に努めてください。

限られた時間を有効に使って着実に診療スキルを身につけたい、より多くの症例を手がけて医療知識をより広く深いものにしたいなど、向上心と熱意と礼儀を持った方の応募をお待ちしています。

宮地正彦先生からのメッセージ

中東遠総合医療センターよりご提供

市立病院同士の統合によって誕生した比較的若い病院のため、医師の人数こそ少ないものの、さまざまなポテンシャルを秘めていると感じています。

地域の皆さんの医療と健康を守る病院として、医療の将来を担う人材を育成する病院として、多くの方に親しまれ頼られる存在であり続けるため、職員一同全力で取り組んでまいります。

岐阜県出身で、大垣市民病院、名古屋大学医学部、アメリカ ジョンホプキンズ大学などで、消化器外科を中心とした診療・研究・教育に従事。2009年には愛知医科大学医学部外科学講座特任教授に就任。2017年に掛川市・袋井市病院企業団の二代企業長に就任、中東遠総合医療センターの院長を兼務している。