原因
めまいの原因はさまざまですが、大きく分けて耳、脳、その他の部位の3つに分けられます。
耳の病気
耳の病気はめまいの主な原因の1つです。耳の奥にある内耳や平衡感覚をつかさどる器官(三半規管)に問題が生じてめまいを引き起こします。代表的な耳の病気は以下のとおりです。
良性発作性頭位めまい症
良性発作性頭位めまい症は、頭の位置を変えたときに突然短い間めまいが起こる病気です。起き上がる、上下を向く、しゃがむなどの動作により、数秒から数十秒のめまいが生じます。内耳の耳石器*にある小さな結晶(耳石)が剥がれ落ち、三半規管に入り込むことが原因と考えられています。頭を動かすと、この耳石が三半規管内で動き、それが異常な刺激となってめまいを引き起こします。
*耳石器:内耳に存在し、平衡感覚をつかさどる重要な器官。耳石器にある耳石が動くことで体の傾きを感知し、脳に伝達している。
メニエール病
メニエール病とは、周囲がグルグル回って見える回転性めまいの発作が生じる病気です。めまいのほか、耳鳴り、耳閉感、難聴の症状を伴う発作を繰り返すのが特徴です。内耳にリンパ液が過剰にたまる”内リンパ水腫”を起こすことが原因で発症します。発症の引き金としてストレスや過労、睡眠不足などが考えられています。
前庭神経炎
前庭神経炎は、突発的に吐き気や嘔吐を伴う激しい回転性めまいが起こる病気です。体のバランス維持に関わる前庭神経に炎症が起こることで発症します。主な原因はウイルス感染といわれていますが、詳細は明らかになっていません。めまいは1日以上~数日間と長時間続くことが多く、難聴や耳鳴りなどの聴覚症状は伴いません。めまいの後にふらふら感を伴う歩行困難がしばらく続くことがあります。
めまいを起こす脳の病気
めまいは脳の病気が原因で起こることがあります。主な病気としては、脳の血管が詰まる脳梗塞や脳の血管が破れて出血を起こす脳出血やくも膜下出血があげられます。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が詰まる病気です。血管が狭くなる動脈硬化や脳や心臓でできた血栓(血の塊)が脳の血管を塞ぐことが原因となります。血管が詰まると、その先の脳細胞に十分な血液が届かなくなり、酸素や栄養を受け取れなくなります。これにより、脳の一部が死滅し、脳の機能に障害が生じます。高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症などが危険因子となります。症状は突然現れることが多く、めまいのほか、体の片側の麻痺、言葉が出にくくなる、視野が欠けるなどの症状が現れることがあります。
脳出血
脳出血は、脳の血管が破裂して出血する病気です。主に高血圧が原因で起こり、血管壁が長期間の圧力に耐えきれずに破裂します。出血により脳組織が圧迫されると脳の機能に障害が生じます。突然の激しい頭痛やめまい、意識の消失、麻痺などの症状が現れます。
くも膜下出血
くも膜下出血は、脳の表面を覆うくも膜と軟膜にある隙間(くも膜下腔)に出血が起こる病気です。主に脳の血管にこぶが形成される脳動脈瘤が原因で発症します。なぜ脳動脈瘤ができるのかは分かっていませんが、高血圧や動脈硬化などの病気が関与しているといわれています。突然の激しい頭痛、めまい、嘔吐、手足の麻痺、視力の異常、意識の消失などの症状が特徴的です。
その他の部位の病気
血圧に異常が生じたり、脳の血流が低下したりする場合もめまいの症状が起こることがあります。具体的な例は次のとおりです。
など
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