
健康診断などで胆道がんの精密検査を勧められ、どのような検査が行われるのか不安に思われる方がいるかもしれません。この記事では、胆道がんの診断のために行われる検査について、検査の流れや種類などを解説します。
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胆道がんは胆汁の通り道に発生するがんで、発生部位によって胆管がんや胆嚢がんなどに分類されます。初期の胆道がんでは自覚症状はほとんどなく、黄疸などが現れて発見されることが多いといわれています。
胆道がんは、肝臓で作られた胆汁を十二指腸まで運ぶ管である“胆道”に発生するがんの総称です。発生する場所によって、胆管がん、胆嚢がん、十二指腸乳頭部がんに大別されます。
国立がん研究センターによれば、2021年に日本で新たに“胆嚢・胆管がん”と診断された人の数(罹患数)は約2万人でした。
胆道がんでは、特徴的な症状として、胆管が塞がれることで生じる黄疸が挙げられます。黄疸では、以下のような体の変化が現れます。
黄疸のほか、右の脇腹の痛み、体重減少、食欲不振、全身の倦怠感などがきっかけで発見されることもあります。しかし、初期の段階では自覚症状がないことも少なくありません。
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胆道がんの検査は一般的に、体の負担が少ない検査から段階的に進みます。血液検査や腹部超音波検査で胆道がんが疑われた場合、CT検査・MRI検査で精密に調べ、内視鏡検査などで確定診断に至ります。

自覚症状や健康診断の結果から胆道がんの疑いを指摘された場合、まずは血液検査と腹部超音波検査が行われます。
肝臓や胆道の状態を示す酵素(ALTやγ-GTPなど)や、胆汁の黄色い色素(ビリルビン)の数値を調べます。また、診断の補助として腫瘍マーカーであるCA19-9などを測定することもあります。
お腹に超音波を発する器具を当てて、体内の様子を観察します。胆管が狭くなっていないか、あるいは胆汁が溜まった部分が太くなっていないかなどを確認する、体への負担が少ない検査です。
血液検査や腹部超音波検査で胆道がんの可能性がある場合、より詳しく調べるためにCT検査やMRI検査といった画像検査が行われます。十二指腸乳頭部がんが疑われるときは、これらの検査に加えて上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が行われる場合もあります。
X線を使って体の断面を撮影します。がんの位置、大きさ、周辺の臓器や肝動脈などといった血管への広がりの有無などを短時間で調べることが可能です。
磁気の力を利用して体を撮影します。特にMR胆管膵管造影(MRCP)という方法では、胆管の末端(胆管枝)を含めた胆管や膵管全体の形を詳しく確認し、がんの位置を明らかにすることが可能です。
画像検査で胆道がんの存在が見つかった場合、がんの広がりをより精密に調べるために、口から内視鏡を挿入する検査が行われます。
内視鏡の先端に超音波装置がついており、胃や十二指腸の壁を通して、すぐ隣にある胆道を観察します。がんが壁のどの深さまで食い込んでいるか(深達度)を調べるのに特に有用な検査です。
内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP検査)は、診断を確定させるための中心的な検査です。内視鏡を十二指腸まで進め、胆管に細いチューブを入れて造影剤を注入し、胆管の狭くなっている部分などをX線で撮影します。このときに、組織の一部を採取する生検や、細胞をこすり取って調べる細胞診を行い、がん細胞の有無を顕微鏡で調べることで、確定診断に至ります。
このほか、ほかの臓器やリンパ節への転移の有無を詳しく調べるために、PET検査、PET-CT検査などが行われることもあります。
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ERCP検査の後、まれに膵炎が起こることがありますが、膵炎が生じないように予防策がとられています。また、内視鏡検査の苦しさは鎮静薬などで軽減できる可能性があります。
ERCP検査は診断や治療に有用な検査ですが、まれに偶発症*が生じることがあります。その中で最も頻度が高い病気がERCP後膵炎で、ERCP検査の後に腹痛や発熱などが生じる病気です。発生率は3.5~10%と報告されています。
ERCP後膵炎には、以下の危険因子(患者側因子と手技側因子)が関係している可能性があるといわれています。
*偶発症:検査や治療に伴って生じる症状。検査・治療と症状の間には因果関係がない、あるいは不明である。
ERCP後膵炎を予防するため、一時的膵管ステントや直腸内非ステロイド性抗炎症薬などが用いられています。
検査によって膵液の流れが悪くなるのを防ぐため、一時的に細く短いチューブ(ステント)を膵管に留置します。
検査前または検査直後に、抗炎症薬の坐薬を使用する方法です。炎症を引き起こす物質の産生を抑えることで、ERCP後膵炎の発生率を低下させることができます。
内視鏡検査は苦しいというイメージがあるかもしれませんが、検査中の苦しさを和らげるために鎮静薬を使用できる場合があります。鎮静薬の使用によって、眠っているようなリラックスした状態で検査を受けることができます。
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近年、がん細胞の遺伝子情報を調べるがんがんゲノム遺伝子パネル検査が保険適用になりました。この検査により、胆道がんのゲノム医療を受けることができる可能性があります。
胆道がんでは、標準治療が終了、あるいは終了見込みの場合に、がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)が行われる可能性があります。
この検査では、ERCP検査などで採取された組織を使い、100以上のがん関連遺伝子を一度に解析します。2019年から一部が保険適用となり、胆道がんではFGFR2融合遺伝子(細胞などの増殖や分化にかかわる遺伝子の融合異常)の検査で適用できるようになりました。
この検査により、標準治療終了後にゲノム医療*を受けることができる可能性があります。しかし、検査を受けても遺伝子変異が見つからないことや、変異に対応した治療薬がないこともあります。
*がんのゲノム医療:がんのゲノム(遺伝子を含む全ての遺伝情報)を解析し、遺伝子の変異や体質などに合わせて行われる医療。
A.費用は検査内容や公的医療保険の負担割合などによって大きく異なります。たとえば、腹部超音波検査自体の費用は3割負担の場合、約1,500~2,000円が目安です。どのような検査が必要で、どの程度の費用がかかるのかは医療機関に確認しましょう。
A.CT検査やMRI検査、超音波内視鏡検査などは外来(日帰り)で行うことが可能です。一方、ERCPでは、検査後の状態観察やまれに起こる偶発症に備えるため、一般的に数日間の入院が必要です。
A.胆嚢内にできる胆石(胆嚢結石)は胆嚢がんの危険因子の1つとされています。特に、大きな胆石や症状があり、胆石がある期間が長い場合などは危険因子となります。ただし、無症状の胆石では胆嚢がんの発生率は低いとされています。
この記事では、胆道がんの検査について、標準的な流れから新しい選択肢まで解説しました。
胆道がんの検査は、体への負担が少ない血液検査や画像検査から段階的に進みます。実際の検査内容は、患者さんの状態などにより医師が判断します。もし不安なことや疑問がある場合は、よく相談して検査に臨むとよいでしょう。
新潟大学 大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野 教授
新潟大学 大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野 教授
日本消化器病学会 財団評議員・消化器病専門医・消化器病指導医日本消化器内視鏡学会 社団評議員・消化器内視鏡専門医・消化器内視鏡指導医日本肝臓学会 理事・評議員(代議員)・肝臓専門医・肝臓指導医日本内科学会 評議員・認定医日本肥満学会 評議員・肥満症専門医・肥満症指導医日本再生医療学会 常務理事・代議員・再生医療認定医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医日本消化管学会 胃腸科専門医・胃腸科指導医International Society for Cell & Gene Therapy(ISCT) International Exosome committee・Gastrointestinal committee日本高齢消化器病学会 理事日本肝癌研究会 幹事日本肝がん分子標的治療研究会 世話人
2003年11月非代償性肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法を世界で初めて実施(臨床研究 PhaseI)。
2015年新潟大学赴任後は、肝硬変症に対する他家脂肪組織由来間葉系幹細胞投与の企業治験(PhaseI,II)、医師主導治験(PhaseII)、再生誘導医薬品レダセムチドの医師主導治験(PhaseII)を実施、現在解析中。
また、細胞外小胞(エクソソーム)を用いた診断や治療法についての実用化に向けた開発のほか、現状治療法が確定していない病気や診断のつきにくい病気に取り組んでいる。
2024年4月には日本再生医療学会”細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス”を座長として作成し、公開された。
寺井 崇二 先生の所属医療機関
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