自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、“自閉性障害”“アスペルガー障害”などを含む脳の発達障害の一種です。対人コミュニケーションの問題やパターン化した興味や活動といった特徴を有し、“自閉スペクトラム症”“自閉症スペクトラム”などと呼ばれることもあります。現段階では自閉症スペクトラム障害がなぜ発症するのか明らかになっていませんが、発症に関わる要因はいくつか挙げられています。そこで本記事では、現時点で考えられる自閉症スペクトラム障害の原因について解説します。
自閉症スペクトラム障害の原因はまだ特定されていません。
しかし、遺伝的な要因の関与は指摘されており、自閉性障害(いわゆる自閉症)にかかっている人の近親者では、発生頻度が高くなると考えられています。ただ、自閉症スペクトラム障害の遺伝的な要因は原因の一部にすぎません。また、遺伝要因と環境要因の複雑な相互作用が発生に影響を与えている可能性も指摘されています。両親とも定型発達(発達障害ではない人)であっても自閉症スペクトラム障害を持つ子どもが生まれることはごく一般的にあります。
なお、1960~1970年代頃は自閉症の原因は親の育て方であるという“自閉症心因論”が主流の考えでしたが、今ではこのような考えは否定されており、脳の構造・機能の障害により症状が出現していると考えられています。
遺伝要因は親から遺伝し、生まれ持った体質や特性などを指します。自閉症スペクトラム障害の場合、発症に複数の遺伝子が関与していると考えられていますが、具体的な原因遺伝子は今のところ分かっていません(2020年5月時点)。
一方、環境要因は環境化学物質や食事、社会的な要因など出生前後の外部的な要因を指します。自閉症スペクトラム障害の場合、今のところ環境要因としてはっきり特定されているものはありません。しかし、これまでの研究で以下のような要因が自閉症スペクトラム障害の発症に関わっている可能性が指摘されています。
繰り返しになりますが、これらの環境要因が本当に自閉症スペクトラム障害の発症に関与しているかどうかは今のところ明らかではなく、今後さらなる研究が必要とされています。自閉スペクトラム障害の遺伝的要因、環境要因は現在のところ解明されておらず、一つの要因で説明することは一般的に困難です。そのため、遺伝要因・環境要因について親が自分を責めることや、過度に心配することは避けるべきでしょう。
自閉症スペクトラム障害は、現段階では原因が明らかになっておらず具体的な予防方法はありません(2020年5月時点)。しかし、自閉症スペクトラム障害を疑う兆候が見られた際は、早期に専門家が介入し療育を行うことで行動の改善や発達の促進によい影響をもたらし、成人後の社会適応力を高めることが分かっています。療育とは発達障害などの障害を持つ人を、医療・教育など多方面から援助・支援することをいいます。したがって、子どもに気になる兆候や不安に思うことがあれば児童精神科、発達障害外来などの受診を検討しましょう。
自閉症スペクトラム障害では、療育プログラムにさまざまな種類があり、医師などの専門家と相談しながら患者の年齢・ライフステージにあったものを行います。具体的には患者の症状や今直面している問題に合わせて、薬物療法、行動療法、言語療法のほか、理学療法や作業療法などが検討されます。
前述のとおり、自閉症スペクトラム障害の原因はまだ明らかになっていません。しかし、過去のように親の育て方によるものと考えることは否定されています。遺伝要因・環境要因などが複雑に絡み合って脳の構造・機能の障害が生じている可能性がありますが、詳細については未解明です。
また自閉症スペクトラム障害を予防することは困難ですが、発症した場合には早期に療育を始めることでその後の日常生活を送りやすくなるといわれています。そのため、子どもに気になる兆候や不安に思うことがあれば一度専門医に相談するとよいでしょう。
昭和大学 発達障害医療研究所 准教授
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IQ検査の結果
5歳の息子が1歳半検診で指摘され結果、軽度知的障害と診断され、その後自閉スペクトラム症とも診断されました。 療育にも通い、4月から小学生になる事で療育でかかりつけのクリニックでIQの検査を受け結果IQ91でした。 同じ時期に療育手帳更新で、指定された子供センターでIQ検査をした所、IQ79でした。 IQに差がありすぎて混乱しています。 学校や保育園も境界知能か平均かで支援の仕方も変わってくるので、どちらを伝えたら良いのかも分かりません。 このように検査する場所で違った場合はどうすれば良いのでしょうか?
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不登校、聴覚過敏
小さい時から、爪かみをし、指の皮膚を噛んで指先がぼろぼろになったりしていました。10歳くらいから、対人関係(大人)で悩むことが多く、学校の先生に対しての対応かしにくく、自分が嫌と思う先生には口も開けないようになったりしていました。嫌なことがあったり、親の私が怒ったりすると自室にこもり、手首をカッターで軽く切るなど自傷行為もありました。この時、小児科から精神科、カウンセラーと話す機会がありましたが、本人は拒否して、親の私だけが通いました。成績はそれなりによく、中学も友達との関係は良好で過ごせました。中学の担任の先生は女性で理解があり優しい穏やかな方だったのでなんとかやり過ごせましたが、公立の高校に入り、生徒会にはいり頑張っていましたが、担任(女性)が嫌過ぎて二学期から学校に行かなくなりました。耳なりや、聴覚過敏を訴えたので耳鼻科に行くと、自閉症ではないかといわれました。 学校での立場は、彼女的には頑張っている自分が当たり前のようにしているので かなり疲れるのだと思います。 目がうつろで暗く落ち込んでいたのですが、学校に無理に行かなくても大丈夫と関わると穏やかに笑顔も見せるようになりました。自閉症スペクトラムかもと考えて様子を見ていくべきでしょうか?
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