院長インタビュー

地域に根差した大学病院として、信頼され、愛され、選ばれる病院を目指す――名古屋市立大学医学部附属西部医療センター

地域に根差した大学病院として、信頼され、愛され、選ばれる病院を目指す――名古屋市立大学医学部附属西部医療センター
大原 弘隆 先生

名古屋市立大学医学部附属西部医療センター 病院長

大原 弘隆 先生

目次
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名古屋市北区にある名古屋市立大学医学部附属西部医療センター(以下、西部医療センター)は、名古屋市内の2つの市立病院が2011年に合併し、名古屋市立西部医療センターとして診療をスタートしました。2021年には名古屋市立大学医学部の附属病院となり、よりいっそう充実した医療を提供しています。

そんな同院が担う役割や今後の展望について、病院長である大原 弘隆(おおはら ひろたか)先生にお話を伺いました。

外観(提供)
病院外観

当院は、城西病院(1936年開設)と城北病院(1941年開設)という2つの市立病院を統合する形で2011年に誕生しました。その後2021年に市立病院から大学病院となり、名古屋市立大学医学部附属西部医療センターとして新たなスタートを切りました。

地域における小児と周産期の医療を柱に設立された経緯がある当院は、現在は小児周産期医療、がん医療、脊椎医療を中心に幅広い診療を行っています。名古屋市内には当院を含めた5つの大学病院がございますので、それぞれが連携することによって高度急性期から回復期医療までを含めた国策でもある地域包括ケアを推進し、市民の皆さまの健康維持・増進をしっかりと支えていきたいと考えています。

乾癬治療センター(提供)
乾癬治療ケアセンター

最近のトピックスとしては、2024年4月に開設した“乾癬(かんせん)治療ケアセンター”があります。生活習慣の多様化などにより患者数が増加傾向にある乾癬は、一部が難病に指定されるなど“治りにくい病気”として知られています。また糖尿病脂質異常症などさまざまな合併症が生じる可能性があるため、当院では診療科の枠を越えた集学的な治療を行える体制を整えています。治りにくいとされる乾癬も、治療薬の進歩によって症状をコントロールできるケースが増えておりますので、慢性的な症状にお困りの場合はぜひ一度ご相談いただきたいと思います。

地域に根差した大学病院である当院では、地域の課題ともいえる高齢者医療にも力を入れています。脳神経内科ではもの忘れ外来に加えて新たに“DMTメモリー外来”を開設し、アルツハイマー病に対してレカネマブを用いた治療を行っています。

当院はWHO・UNICEFから“赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital)”の認定を受けています。また愛知県より地域周産期母子医療センターに指定されており、24時間体制でハイリスク出産に対応しています。NICU(新生児集中治療管理室)やGCU(新生児回復室)などを備えているのはもちろん、できるだけリラックスして出産していただけるようにと考えて、硬膜外分娩*(いわゆる無痛分娩)を行っています。

人工授精や体外受精などの生殖補助医療が保険適用となったことを受け、2023年9月には新たに生殖医療センターを立ち上げました。少子化対策の一環として女性不妊男性不妊不育症の診療を行うほか、公認心理士によるカウンセリングも実施しています。

*硬膜外分娩……出産費用に合わせ硬膜外麻酔費用として145,000円が加算されます(2024年11月時点)。

当院は、地域がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療連携病院などに指定されており、がんに対する専門的な診療を行っています。がんゲノム医療連携病院の指定を受けた2020年よりがん遺伝子パネル検査を実施しておりましたが、2024年6月に新たにエキスパートパネル実施可能がんゲノム医療連携施設の指定を受けました。これにより、従来よりもスピード感を持ってがん患者さんを診療することが可能になっています。

陽子線入り口
陽子線治療センター入口

2013年に開設した名古屋陽子線治療センターは、陽子線治療*の保険適用が広がりを見せるにつれて患者数を伸ばしています。2023年度の治療件数は881件となり、全国の陽子線治療施設の中でも特に多くの実績を重ねています。今後もより多くの皆さまに「痛みがなく、からだにやさしい」先端のがん治療を受けていただけるよう努めてまいります。

【陽子線治療の保険適用について】

下記疾病に対する陽子線治療については、公的医療保険の対象となっています(2025年2月時点)。陽子線治療に係る費用、診察や検査、投薬、入院に係る費用は、国が定めた診療報酬に対し、患者さんは一部負担(3割など)となります。

◆保険診療となる疾病
前立腺がん:転移のない限局性・局所進行性のもの
・頭頸部悪性腫瘍:口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く
骨軟部腫瘍:手術による根治的な治療が困難なもの
小児がん:限局性の固形悪性腫瘍のもの
肝細胞がん:長径4cm以上の手術による根治的な治療が困難なもの
肝内胆管がん:手術による根治的な治療が困難なもの
・局所進行すい臓がん:手術による根治的な治療が困難な局所進行性のもの
大腸がん術後再発:直腸がんやS状結腸がんなどの大腸がん術後の再発で、手術による根治的な治療が困難なもの
肺がん:早期肺がん(Ⅰ期~ⅡA期)で、切除不能のもの

*陽子線治療が先進医療にあたる場合は、自費診療(保険適用外)となります。

・費用(税込):陽子線治療費/2,883,000円(1つの治療部位につき)※入院・検査料等には健康保険が適用されます

・リスク・副作用:陽子線の照射で痛みや熱さを感じることはありません。副作用は照射部位によって異なりますが、X線に比べて軽度なことが多いとされています。

詳しくはこちら

整形外科では腰痛や手足のしびれなどをもたらす脊椎脊髄(せきついせきずい)疾患に対して、顕微鏡を用いた低侵襲(ていしんしゅう)手術を行っており、側弯症や後弯症の矯正手術を含めた脊椎の手術は年間400件以上となっています。

高齢化の進行とともに脊椎脊髄疾患の患者数も増加傾向にありますが、当院では糖尿病をはじめとした生活習慣病、循環器や呼吸器の病気、骨粗しょう症の有無などを確認したうえで適切な治療をご提供しています。

当院は小児周産期医療、がん医療、脊椎医療を中心に、地域の中で質の高い医療をご提供しています。また地域に根差した大学病院として、優れた医療者の育成、地域の医療機関との連携体制構築にも力を注いでいます。

一方で名古屋市北区の“きたきた健康福祉フェスタ”を開催するなど、地域の皆さまとの交流も大切に考えています。医療に関する情報を発信する講演会なども実施しておりますので、ぜひご参加ください。今後も“地域に根差した大学病院”との理念のもと、地域の皆さまに信頼され、愛され、選ばれる病院を目指して取り組みを進めてまいります。

*写真提供……名古屋市立大学医学部附属西部医療センター

*診療科、医師、提供している医療の内容および本文中の数字は全て2024年11月時点のものです。

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