院長インタビュー

“人に寄りそう 命と向き合う”を合言葉に、地域医療を支える名鉄病院

“人に寄りそう 命と向き合う”を合言葉に、地域医療を支える名鉄病院
葛谷 雅文 先生

名古屋鉄道健康保険組合 名鉄病院 病院長

葛谷 雅文 先生

目次
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愛知県名古屋市西区にある名鉄病院は、名古屋鉄道健康保険組合が直営する病院です。“人に寄りそう 命と向き合う”を合言葉に2次救急病院として地域医療を支えており、地域住民の方から愛され、信頼されています。

そんな同院の地域での役割や今後の展望について、病院長の葛谷 雅文(くずや まさふみ)先生に伺いました。

病院外観
病院外観(提供:名鉄病院)

当院は名鉄電車の栄生(さこう)駅に直結した交通アクセスのよい病院で、1956年に名古屋鉄道健康保険組合の経営による病院として開設されました。1958年には総合病院の認可を受けると1968年には臨床研修病院に指定され、1989年に2号館、2001年に3号館が完成、2015年には老朽化した1号館の建て替えを行い発展してきました。

現在では、病床数373床を有する総合病院として地域の患者さんを数多く受け入れています(2024年1月時点)。

当院が位置する名古屋市西区は、2次医療圏としては名古屋と清須市をはじめとした尾張中部が含まれており、急性期の患者さんが多いといった特徴があります。今後、当院のあるエリアでは高齢の方の人数がさらに増えていくと予想しており、実際に救急車で搬送されてくる患者さんでは、高齢の方の発熱や感染症、意識障害、転倒による骨折などが多くみられます。こうした状況を総合的に考慮すると、この地域で当院が果たさなくてはならない2次救急(入院や手術を要する患者への救急医療)としての役割の重要度は、さらに増していくと考えています。

救急受け入れ件数は、年間で救急車が約5,600台、ウォークインを含めると1万1,000件を超えます*。当院の救急はそれほどに需要があり、また地域の皆さんからも認識され、必要とされていると日々実感しています。

だからこそ“断らない救急”を実現し、この地域のほかの急性期病院と連携や役割分担を行いつつ地域の医療ニーズに対応しなければなりません。専門の医師を常駐させて24時間365日の受け入れ態勢を整え、多くの院内の診療科と密に連携していくことで、地域住民の皆さんが我々に寄せる期待に応えていきたいと考えています。

*2022年度実績(救急車+ウォークイン):11,046件

当院の強みの1つである整形外科では、骨折脱臼といった外傷変形性関節症などの関節疾患、スポーツによる外傷や障害などの診断と治療を行っており、スポーツ選手の入院も受け入れています。

診療内容としては、内視鏡を関節内に挿入して行う関節鏡手術や、傷んだ関節の軟骨や骨を削って人工関節と取り替える人工関節手術などを行っています。また、関節鏡・スポーツ整形外科センターでは、上腕の専門的な知識を持つ医師を中心として、投球障害やスポーツによる外傷・障害の診断や治療、再発を防ぐためのリハビリテーションなどを行います。

たとえば投球による肩や肘の痛みは、筋肉に疲労が蓄積して投球フォームが崩れ、肩や肘に負荷がかかることで起こることがあります。そこで当院では、投球フォームの改善に取り組むなど、患者さん一人ひとりに合わせたメニューを用意して診療・リハビリテーションを行っています。

当院は2012年11月に、名古屋市から“認知症疾患医療センター”の指定を受けました。認知症疾患医療センターは、地域における認知症の保険・医療提供体制を構築する拠点として設置されている専門医療機関です。当センターの機能としては、認知症専門的医療機関として専門医療相談、鑑別診断の実施とそれに基づいた初期対応や合併症への急性期対応、認知症に関する情報の発信・普及、地域の専門職等を対象とした研修会の開催、認知症疾患医療連携協議会の設置や運営などがあります。

当院はこれらの機能を踏まえ、認知症のトータルケアを目指しています。

DST(認知症サポートチーム)カンファレンス
DST(認知症サポートチーム)カンファレンス(提供:名鉄病院)

耳鼻咽喉科(じびいんこうか)では、アレルギー性鼻炎の抗原検索や免疫療法、副鼻腔炎を改善するための鼻科手術、睡眠呼吸障害が疑われる方の入院検査など、さまざまな診療をしています。中でも特に注力しているのが耳疾患の診断と治療で、2020年4月には中耳サージセンターを開設し、子どもから高齢の方まで幅広い年齢層の患者さんの治療を行っています。

また、中耳サージセンターでは人工内耳埋込術を行う体制を整えました。人工内耳は音を電気信号に変換して脳に送る装置で、補聴器を使用してもほとんど聞き取ることができない難聴の患者さんに対する聴覚獲得方法です。難聴でお困りの方は気軽にご相談いただければと思います。

当院には、主に骨盤臓器脱腹圧性尿失禁を対象とした女性専門外来“女性泌尿器科・ウロギネセンター”を置いています。

女性泌尿器科・ウロギネセンターでは、骨盤臓器脱に対するTVM手術やLSC(腹腔鏡下仙骨腟固定術)、腹圧性尿失禁に対するTVT手術などを行っており、LSCにおいては毎月20~25件*の手術を行っています(2024年1月時点)。また、骨盤底筋体操教室や骨盤底筋体操個人指導外来などの手術以外の治療にも力を入れています。

ウロギネ相談外来の実施や多職種のスタッフをそろえるなど、患者さんが安心して通える環境づくりに努めていますのでお気軽にご相談ください。

*2022年度実績(腹腔鏡下仙骨腟固定術):319件

当院では、正確で迅速な診断と効果的で安全な治療を目指して、豊富な知識と経験を持つ各診療科を専門とする医師が、新しい医療機器を用いて診断や治療にあたっています。

その1つが手術支援ロボット“ダ・ヴィンチ(da Vinci)”で、前立腺がんなどの泌尿器科領域の手術や、最近では消化器外科手術にも導入しています。腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術や胸腔鏡手術は術者が助手に内視鏡の操作を口頭で指示しながら行う必要がありますが、ダ・ヴィンチは術者が自身で内視鏡を操作するため、手術を効率よく進めることができます。また、映し出される3D画像は10倍から20倍に拡大されているため、肉眼では認識できない細い血管や神経も確認できます。これにより出血が少なく、精度の高い手術を実現できるようになりました。

当院は2022年4月から老年内科(2024年4月からは老年・総合内科に名称変更)を加え、29の診療科になりました。2024年4月からは睡眠障害センターを開設し、睡眠時無呼吸症候群の専門診療を開始します。また、上に挙げた診療科、センター以外にも多くの特色を持った診療科やセンター(内視鏡センター、予防接種センターなど)が多数あります。今後も医療体制をさらに充実させ、幅広い患者さんを受け入れていきたいと考えています。

当院のキャッチフレーズは“人に寄り添う 命と向き合う”です。“その人らしさ”を尊重した患者さん中心の医療ときめ細かい医療を提供したいと、スタッフ一丸となって日々取り組んでいます。お困りのことがございましたら、来院された際に気軽にお声がけください。

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    葛谷 雅文 先生

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