手がかゆい:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

手がかゆい

受診の目安

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  • 粉ふき、赤み、発疹、痛み、ヒリヒリした刺激感などがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

手には、紫外線や乾燥などの環境的刺激、洗剤などの化学的刺激、摩擦や外傷などの物理的刺激が日常的に加わるため、さまざまな皮膚()トラブルを起こすことがあります。

手のかゆみの原因は、病気や生活習慣など多岐にわたります。

  • 手の甲が赤くガサガサし、強いかゆみを生じる
  • 手の甲に、かゆみや痛みを伴う湿疹が広い範囲に出ている
  • 特定の物質が手に触れると、その部位に発赤や()れ、かゆみを生じる

これらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

手のかゆみは年齢を問わず、日常的に起こりうる症状のひとつです。

軽く考えられがちな症状ですが、以下のような病気が原因で引き起こされていることもあるため、注意が必要な症状でもあります。

手のかゆみは、手の皮膚に生じる病気によって引き起こされることがあります。

接触皮膚炎

特定の物質に触れることで、その部位に発赤や熱感、かゆみなどを引き起こす病気です。一般的にはかぶれと呼ばれるもので、原因物質は、植物や化学物質、薬品など、さまざまなものが挙げられます。

接触皮膚炎
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乾皮症(かんぴしょう)皮脂欠乏性皮膚炎(ひしけつぼうせいひふえん)など

手の皮膚は外的な刺激にさらされやすく、乾燥しやすい部位です。皮膚が乾燥すると敏感肌になり、些細な刺激でかゆみが引き起こされるようになります。

また、さらに乾燥が進行すると皮膚に炎症を引き起こして強いかゆみや痛みを伴う湿疹や、ただれが形成される皮脂欠乏性皮膚炎を発症します。

皮脂欠乏性皮膚炎では、強いかゆみのために肌を掻きむしることで、さらに乾燥が強くなって症状が悪化するという悪循環を引き起こすこともあり、肌にできた傷に細菌感染を生じることもあります。

乾皮症
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手湿疹(主婦湿疹)

接触皮膚炎の一種であり、手に慢性的な刺激が加わり続けることで皮膚が肥厚(ひこう)し、強いかゆみや痛みを伴う苔癬(たいせん)水疱(すいほう)紅斑(こうはん)など、さまざまな形状の皮疹が生じる病気です。

家事や仕事で手に刺激が加わる機会が多い主婦や美容師、調理師などに発症しやすく、一度発症すると治療を行ったとしても治りにくいことが特徴です。

手湿疹
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手白癬(てはくせん)

カビの一種である白癬菌が手に感染することによって発症する病気で、一般的に手水虫と呼ばれます。

足や爪にも同時に感染していることがありますが、手には水疱は形成されず、角質が厚くなる鱗屑(りんせつ)がみられます。

手のかゆみは、手の皮膚()に生じる病気以外にも全身の病気が原因となることがあります。

胆石症、肝臓がん、膵臓()がんなど

肝臓では、脂肪を消化するための酵素が含まれる胆汁がつくられ、胆嚢(たんのう)に蓄えられたあとに胆管を通って十二指腸へ排出されます。

胆石症や肝臓がんなどによって胆汁が排出される経路に閉塞が生じると、胆汁がうっ滞(流れが悪くなり、とどこおってしまうこと)した状態となります。その結果、胆汁に含まれるビリルビンが体内に過剰蓄積し、黄疸(おうだん)(皮膚や目の黄染)とともに皮膚のかゆみを引き起こすことがあります。かゆみは全身に生じますが、手のひらに強く現れることがあります。

胆石症
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膵臓がん
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慢性腎不全

腎臓には、血液中の老廃物をろ過して尿とともに体外へ排出する仕組みがあります。

慢性的に腎臓の機能が低下する慢性腎不全では、体内に老廃物が蓄積しやすくなり、皮膚にかゆみを引き起こすことがあります。そのほかにも、むくみや息切れなどの症状がみられるようになります。

手のかゆみは日常的によく起こりうる症状であるため、発症したとしても病院を受診する人は少ないでしょう。しかし、皮膚()の病気や全身の病気問わず思わぬ病気がかゆみを引き起こしていることもあるため、決して軽く考えてはいけない症状ともいえます。

特に、皮疹や皮膚のただれなどを伴う場合、非常に強いかゆみで日常生活に支障をきたすような場合や再発を繰り返す場合、むくみや黄疸などの全身症状がみられる場合は、なるべく早めに病院を受診しましょう。

受診に適した診療科は皮膚科ですが、むくみや黄疸()などの全身症状がある場合は内科で診察してもらうこともできます。受診の際には、いつからかゆみが生じたのか、かゆみの誘因、随伴症状、現在罹患(りかん)している病気について医師に詳しく説明するようにしましょう。

手のかゆみは、日常生活上の習慣が原因となっていることがあります。かゆみの原因となる習慣とそれぞれの対処法は以下の通りです。

空気が乾燥しやすい秋から冬にかけては、手の皮膚()の乾燥しやすくなり、かゆみの原因となることがあります。

手を乾燥から守るには

季節を問わず、水仕事や外出など手の乾燥を引き起こすようなことをしたあとは、保湿効果の高いハンドクリームなどをこまめに使用するようにし、室内は加湿器や濡れタオルなどを用いて湿度を維持するようにしましょう。

また、寒い時期には外出時に手袋を着用することもよいでしょう。

手は比較的紫外線の刺激を受けやすい部位であり、思わぬ日焼けを生じることがあります。

日焼けは皮膚に炎症を引き起こすだけでなく、皮膚を乾燥させてかゆみの原因となることがあります。

手の日焼けを防ぐには

外出時や車の運転などをするときには、日焼け止めを使用しましょう。手は、手洗いなどによって日焼け止めが落ちてしまうことが多いため、長時間の外出時にはこまめに塗り直すことも日焼けを防ぐポイントです。

手には食器洗剤や掃除・洗濯用洗剤、シャンプーやリンスなど、さまざまな薬液が触れる機会があります。これらの薬液が肌質に合わない場合は、かゆみを引き起こすことがあります。

肌に合った薬液を使用するには 

新しい種類の薬液を使用する際には、皮膚の一部に薬液を少量塗り、かぶれが生じないかチェックしてから使用するようにしましょう。また、かゆみが生じた場合は水で薬液をしっかり洗い流し、使用を控えましょう。

日常生活上の対処法を講じても症状がよくならない場合は、思いもよらない病気が潜んでいる可能性もあります。見過ごさずに、それぞれの症状に合わせた診療科を早めに受診するようにしましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。