院長インタビュー

「常に『患者さん第一』を心がけて」札幌麻生脳神経外科病院

「常に『患者さん第一』を心がけて」札幌麻生脳神経外科病院
飛騨 一利 先生

札幌麻生脳神経外科病院  病院長

飛騨 一利 先生

この記事の最終更新は2017年08月31日です。

札幌市東区に位置する札幌麻生脳神経外科病院は、開院当初より脳神経外科を専門として診療を続けており、最先端の医療機器を揃え、新くよりよい治療方法を積極的に検討していくことで、より安全で患者さんの負担の少ない治療を実現してきました。こうして現在では、神経外科分野のなかの脳血管障害、脳腫瘍、脊髄脊椎、末梢神経疾患などの専門家による専門性の高い診断・治療が行われる環境が整っています。

また、こうした質の高い脳神経外科診療に加え、地域の急患を救う「救急医療」にも力を入れており、地域の方々が「安心してかかれる病院」を目指して常に前進し続けています。

札幌麻生脳神経外科病院では具体的にどのような治療が行われ、どのような理念で診療を続けているのか、本記事では同院 院長の飛驒一利先生に病院の特色や取り組みについてお話を伺いました。

当院は1985年に脳神経外科単科の専門病院として開院しました。開設当初より、脳神経外科領域の治療をよりよくするために「神経画像診断」の向上を目指しており、北海道で最初にMRIを導入するなど、医療機器の充実を進めることで専門的診断に力を注いできました。

2012年5月には、札幌市東区北22条東1丁目へと新築移転し、1.5テスラMRI3台に加え、新たに3テスラMRIを導入するなど医療設備をさらに充実させました。これにより高度な脳神経疾患の診断が可能となりました。

このように当院は開院当初より脳神経外科分野に高い専門性をもつ病院として歩んできた経緯があり、現在までに地域の患者さんが抱える脳血管障害、脳腫瘍、脊髄脊椎疾患といった病気を中心に、よりよい診断・治療が実現を目指してきました。

当院では「患者さんが安心してかかれる病院」を目指し、最新の医療機器を用いながら、侵襲の少ない(負担の少ない)、より安全な方法で治療を進めることを重要視しています。

たとえば、痛みが続く疼痛(神経障害性疼痛・難治性疼痛)などの治療では、脊髄刺激療法(SCS)という近年登場した治療法を行っています。この治療法は侵襲が少なく、短い時間で終了する手術であることから、患者さんへの負担が小さい治療法です。患者さんは、こうした負担の小さい治療で、長きに渡り苦しんできた痛みが大きく軽減され、満足できるようになった方が多くいらっしゃいます。

こうした脊髄脊椎疾患の治療以外の、脳血管障害、脳腫瘍などの分野においても、当院はより負担が少なく安心できる治療を目指して取り組み続けています。

当院では脳神経外科、放射線科、リハビリテーション科を診療科目としています。患者さんがかかられる外来としては、脳神経外科外来と、内科外来を設けています。さらに、もの忘れ外来や、脳ドックなども行っています。

ここでは当院のつよみである脳神経外科分野と、札幌市東区 北区の急患を担う救急医療についてご紹介します。

脳血管障害としては脳卒中脳梗塞脳出血)、くも膜下出血未破裂脳動脈瘤、などのメジャーな疾患から、脳動静脈奇形もやもや病などの特殊な疾患の診療にもあたっています。

くも膜下出血や重症の脳内出血など緊急性の高い開頭手術はもちろん、脳卒中を未然に防ぐための未破裂脳動脈瘤の治療も数多く行っています。とくに最近では、インドシアニン・グリーン(ICG)を用いた術中血管造影や運動誘発電位などの術中モニタリングを日常的に行ことで、リスクを早期に検出し精度の高い脳動脈瘤手術ができるようになりました。

当院では、神経膠芽腫(しんけいこうがしゅ)・悪性リンパ腫転移性脳腫瘍などの悪性腫瘍から、髄膜腫神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)・下垂体腺腫などの良性腫瘍など、多岐にわたる脳腫瘍を幅広く診療しています。

こうした脳腫瘍を適切に診断するためには、最新の医療機器が大きく役立ちます。当院では脳神経外科専門医および神経放射線専門医が1.5テスラ高解像度MRIなどを用いながら、より適切な診断を行えるように体制を整えています。さらに近年では新たに3テスラMRIを導入によるTractography, MRスペクトロスコピーなどより高度な診断技術が備わりました。

脳腫瘍の手術には、早期から導入した術中ナビゲーション・システムを使用して、よりリスクの少ない手術を行ってきました。病気は、基本的に患者さん一人一人違うものです。同じ診断名でも同じ治療になるとは限りません。当院ではそれぞれの診断名ではなく、検査データから得られた情報をもとに患者さんそれぞれにあった治療法を検討することで一人一人に最も合った治療を実践することをモットーとしています。

脳神経外科というと脳の病気を連想される方は多いと思いますが、脊髄脊椎や末梢神経に至るまでのすべての神経疾患を、当科で扱います。当院は開設当初から脊椎・脊髄、末梢神経疾患などを、脳疾患と同じくらい力を入れて診断・治療に取り組んできました。

手足がしびれる、力が入りにくい、歩きにくいなどといった症状は、脳の病気でも起こりますが、脊椎・脊髄の病気(椎間板ヘルニアなど)や末梢神経の病気でもみられる症状です。そのためそういった症状を調べるためには、脳~脊髄~末梢神経のどこに問題が生じて起こっているのかを調べることが必要です。そのためには、頭から手足の先まで全ての神経を詳細に診察していきます。

そうした詳細な検査でも、MRIなどの検査機器が役立ちます。最新の医療機器を用いて原因がどこにあるのかを評価していくことに力を入れています。

また冒頭でお話ししたとおり、治療においては脊髄刺激療法(SCS)などの治療選択肢を取り入れています。こうしたより患者さんの負担の少ない治療を目指すことで、より患者さんが安心する治療を提供していきたいと考えています。

開設当初より、札幌市の北区および東区を中心とした救急医療の一翼を積極的に担っており、1年間の救急車受け入れ台数は約900件に上ります。脳卒中などの緊急性の高い疾患に対しては緊急手術や血栓溶解療法などの迅速な対応を行うことで、脳梗塞超急性期治療による治療予後の改善を目指しています。

安全な治療のために欠かせないのが「しっかりと診察、検査を行うこと」です。当院ではこの検査のところを非常に重要視しています。

高齢な方では合併症を持つ方も多く、血糖値、血中脂質の量、そして血管の狭窄の有無などをしっかりと確認したうえで手術を行うことが重要になります。こうした検査によって事前にリスクを把握しておくことで、より安全な治療を組み立てることができます。

そのため必要があれば2泊3日、長い場合では3泊4日の入院をしていただき、検査を行います。安全な治療のためには準備が必要です。よりよい治療を進めるために、検査には重点を置いて取り組んでいます。

当院の理念は「常に患者さま第一を心がける」です。地域の患者さんが安心してかかることができ、より安全な治療で、治療後に笑顔になっていただくということを何より大切に考えています。

そして患者さんとお話する際に、患者さんの訴えをよく聞き、しっかりと病気について説明するということを心がけています。来院されて、病気や治療についての説明もそこそこにすぐ手術、となるのでは患者さんも戸惑ってしまうでしょう。まずはこういった治療で改善が見込まれるので安心してくださいと伝え、病気のこと、治療のこと、治療あとの経過のことを丁寧にお伝えしていくことがとても大事だと思っています。

こうして治療に納得されて、安全に治療が終えられ、症状が改善されれば、患者さんはとても安心されます。さらに当院での治療がよかったと感じていただけたときには、評判となって地域の方々に伝わっていきます。こうして「札幌麻生脳神経外科病院ではより安心できる治療をめざしている」ことが広まっていけば、地域の患者さんにより安心をお届けできると考えています。そのためにも当院では、より地域の方々が安心できる治療を、目指し続けていきたいと考えています。

当院は開設時より北海道大学病院の教育訓練施設となっており、現在では日本脳神経外科学会専門医訓練認定施設(A項)指定病院で、日本脳卒中学会認定研修教育病院としても認定されています。

年間600件以上の手術の実績があり、脳血管障害、脳腫瘍、脊椎脊髄疾患、末梢神経障害、頭部外傷など、脳神経外科の担当すべき領域をまんべんなく網羅しています。そして常に最先端の診断・治療を展開しながら、脳神経外科のみでなく、神経内科、麻酔科、放射線科、核医学、病理学講座等とも連携を密にしていますので、医師としての経験を積む場としてはよい環境だと思います。

結局のところ、病院のよさというのは設備ではなく、医師の質だと考えています。こういう先生がいるから、患者さんに来院しようと思っていただけるのだと思っています。若い医師の先生方には、そういった信頼のおける医師になっていくよう、ぜひ当院で腕を磨いていっていただきたいと感じています。

当院の看護部では、独自の看護プログラムを開発し、看護師育成に取り組んでいます。このプログラムでは「生活支援者」として患者・家族を支えるための看護を重要視しており、この取り組みは以前NHKの番組にも取り上げていただいたことがあります。

こうした取り組みによって当院の看護部の方々はレベルが高く、優しい方が多く、非常に質が高いと感じています。この看護部の研修を受けるために、遠くでは広島のほうからも参加される方がいらっしゃいました。当院の看護部は非常に充実していると感じています。

これからは病院の機能面としてリハビリの分野を充実させていきたいと考えています。当院の専門とする脳神経外科治療によって手術を受けた患者さんが、しっかりと回復していける場を充実させ、病院としてさらにリハビリテーションを担う役割を備えていくべきだと感じています。

さらに取り組みたいと考えているのが訪問診療です。訪問診療を充実させていくことでより地域に密着した医療を提供していくことができると考えています。また当院の医師や看護部などの医療従事者の方々はとても優秀な方が多く、定年で仕事を去られてしまうのがとてももったいないと感じています。そこで定年を迎えても健康で、働きたいという意思をお持ちの方には訪問診療やリハビリテーションのほうでぜひ活躍していただきたいと考えています。そうした体制が整えば、地域にとっても、働く方にとっても、病院にとってもメリットになるでしょう。そのための体制づくりをこれから考えていきたいと思います。

当院は脳神経外科に高い専門性をもつ病院ですが、専門性が高いからといって難しい疾患の手術だけを行うのではなく、外来での患者さんのアフターフォローなどにもっと力をいれていく体制を整えていきたいと考えています。外科医となると、手術が治療の中心となり、手術後のフォローを十分に行いきれていないところも出てくるかと思います。しかしその後のフォローというのは、病気の再発や、二次性の脳卒中などを予防するうえで非常に大切です。外科分野において、いかにフォローを充実させるかというところは、とても重要な点であると思います。そういったきちんとフォローできる施設を目指し、患者さんがより安心してかかれる病院にしていこうと考えています。

飛驒一利先生

ご紹介してきたように、当院は脳神経外科分野につよみをもち、札幌市北区の救急医療を担うことで、地域を支えていく病院です。当院には365日急患をみる医師が当直しておりますので、患者さんにとって「札幌麻生脳神経外科病院はいつでも安心してかかれる病院」であることをさらに知っていただけたらと思います。

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