院長インタビュー

連携の取れた医療で地域に貢献する新潟医療センターの取り組み

連携の取れた医療で地域に貢献する新潟医療センターの取り組み
吉澤 弘久 先生

新潟県厚生農業協同組合連合会 新潟医療センター 病院長

吉澤 弘久 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年04月19日です。

新潟県厚生農業協同組合連合会 新潟医療センターは、新潟市西区に病院を構え、お子さんからご高齢の方まで、地域で暮らすさまざまな年代の方に対する医療提供を行っています。同院は、診療科の垣根を越えた医療提供や、地域の医療機関との連携強化に努め、地域の方からのさまざまな医療ニーズに応える体制を整えています。

診療科の垣根を取り除く同院の体制により、患者さんはどのような医療を受けることが可能になるのでしょうか。病院長である吉澤弘久先生にお話を伺いました。

病院外観 外観

病院外観 外観

当院は、幅広い診療科をそろえ、地域の方の求める医療を提供できる環境を整えています。よりいっそう高齢化の進む地域で必要とされる医療を提供できるよう、当院では、診療科の垣根を越えて複合的な治療に取り組んでいます。

その取り組みのひとつとして、内科と外科の診療科を含め、幅広いスタッフで構成されたセンターを立ち上げました。以下では、診療科を横断する各センターの治療提供やチームで取り組む医療についてご説明いたします。

脳神経センターは、脳梗塞脳卒中などの治療に対し、脳神経内科と脳神経外科で連携を取り治療を行う目的で設立されました。脳神経センターでは、特に認知症治療に力を注いでいます。

認知症治療は大別して、薬物治療と手術治療可能なものに分けられます。脳神経内科では、薬物治療が有効なアルツハイマー型認知症などに対して治療を行います。また、脳神経内科において正常圧水頭症など手術による治療が可能な認知症と判断した場合、脳神経外科に連絡を取り手術治療を行います。

両科でスムーズな連携を取ることで、患者さんに適した治療の提供に努めています。

当院では、術後のせん妄(意識障害)や認知症などへの対応力を強化するために、せん妄・認知症ケアサポートチーム(DST)を立ち上げました。DSTは、対象の病気を専門とする医師、日本看護協会が認定する精神看護専門の看護師、医療ソーシャルワーカーなど、幅広い職種のスタッフで構成されています。ここでは、せん妄や認知症だけでなく、うつ症状など精神症状にも対応しており、体の治療だけでなく、心のサポートにも力を入れています。

消化器病センターでは、消化器内科と消化器外科が協力し、横断的な診療を行っています。特に、胃や大腸など、消化器がんの早期発見・早期治療を目指し、検査から治療までをスムーズに行える体制を敷いています。消化器内科の医師が内視鏡検査を行い、がんが発見された場合には、すぐに消化器外科に情報を共有し、早期に治療を開始します。消化器外科には、日本消化器外科学会認定の消化器外科専門医がおり、体への負担が少ない低侵襲な腹腔鏡手術を積極的に実施しています。

また、消化器内科では、胃がんの予防治療として、ピロリ菌の除菌療法を行っています。ピロリ菌は胃の粘膜に住みつく細菌で、感染した状態を放置してしまうと、慢性胃炎や胃がんを発症する恐れがあります。そこで、消化器内科では、内視鏡検査でピロリ菌感染が確認された患者さんに対し、内服薬による治療を実施し、ピロリ菌を除菌します。

これからも消化器病センターは、早期発見・早期治療・予防治療の3本柱に地域の方の健康支援に取り組んでいきます。

小児アレルギーには、アトピー性皮膚炎、気管支喘息食物アレルギーなどがあります。その中でも当院の小児科では、食物アレルギー治療に力を入れています。

以前主流とされていた食物アレルギー治療とは、アレルギーのある食品はいっさい食べないという食事療法でした。しかし現在では、食事療法でも、症状が出ない範囲で少しずつ摂取するほうがよいといわれています。そのため、どの範囲までならば食べてもアレルギー反応が出ないのかを正しく診断することが重要になります。

小児科では、アレルギー専門の医師による診断と治療を行います。食後、お子さんに発疹や咳などの症状が出た場合には、ご相談ください。

年齢を重ねると、痰や飲食物をうまく飲み込めなくなる誤嚥(ごえん)が増えます。誤嚥は、加齢と共に口の周りや喉の筋力が低下することで生じる、接食・嚥下障害の徴候のひとつです。重症化すると、誤嚥性肺炎につながることもあるため、予防対策を取ることが重要です。

歯科・口腔外科では、予防対策として呼吸トレーニングや食事の指導、口腔内を清潔に保つケアを行っています。また、リハビリテーション科と共に、摂食・嚥下機能が低下した患者さんの食べる機能を取り戻す訓練を行い、生きる喜びを感じていただけるよう努めています。

糖尿病は、さまざまな合併症を引き起こす万病のもとといわれています。そこで、糖尿病の方やご家族の方を対象に、糖尿病教室を実施しています。管理栄養士からの食事療法の指導や、理学療法士からのご自宅で可能なリハビリなどについてお話しします。

また、個別に管理栄養士に栄養相談をすることもできます。ご自宅での食事の摂り方に関するお悩みなど、ぜひお気軽にご相談ください。

地域連携センターは、地域の方に医療・福祉・介護において切れ目のないサービスを提供するため、病院・福祉施設・介護施設の紹介、地域の方のご相談の窓口などの役割を担っています。地域の医療機関からご紹介いただいた患者さんの受け入れや、当院からの紹介する患者さんの受診状況を文書でお知らせする業務のほか、当院の広報誌「菜の花たより いきいき」の制作や、ホームページでの広報活動などを行い、地域の方へ情報発信をしています。

緩和ケア病棟は、がんによる体の痛みや心の苦しみを取り除くことを目的とした病棟です。患者さんが療養中も自分らしく過ごせることを大切にしており、ご家族がいつでも面会できるよう面会時間の制限を設けておりません。当院以外で治療を行っている方も入院の受け入れをしておりますので、お気軽にご相談ください。

若手医師の方には、患者さんに求められる医師を目指していただきたいです。そのためには、医師としての技術や知識を身につけ、専門性を高めることが重要です。技術面に関しては、新潟大学医歯学総合病院や西新潟中央病院とも協力体制を敷いており、当院では取り扱っていない診療科についても学ぶことが可能です。

また、医師は、技術面を磨くだけではなく、患者さんへの配慮ができる人間性も身につける必要があります。ぜひ、私生活の充実を図るなど、パーソナルな面でのご自身の幸せも追求していってください。当院には、24時間利用できる院内保育所も設けているため、育児中の医師でも安心感を持ちながら、医師として成長することができます。家庭を持つ医師に限らず、当院では若手医師の皆さんが、一個人としての医師としての成長と人間的成長を両立できるよう、サポートしていきたいと考えています。

吉澤先生

当院は、地域の方の声に応える医療の提供を使命としています。そのために、病院内外問わず連携の取れた医療の提供に励んでいます。院内では、診療科の壁を取り払って総合的な治療の提供に努め、院外では、切れ目のない医療を提供するため病診連携を強化しています。それらの取り組みは、ひとえに患者さんの求める医療を提供し、地域の方に尽くしたいという思いからです。

そのためにも、地域の方の声に耳を傾け、真摯に応える病院となれるよう、職員一同、励んでまいります。

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  • 新潟県厚生農業協同組合連合会 新潟医療センター 病院長

    吉澤 弘久 先生

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