院長インタビュー

ロボット手術も行う地域密着型の鳥取赤十字病院

ロボット手術も行う地域密着型の鳥取赤十字病院
西土井 英昭 先生

鳥取赤十字病院 院長

西土井 英昭 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年03月25日です。

1915年に創立し100年以上の歴史を持つ鳥取赤十字病院は、2018年5月に新病棟や設備を構えた新体制の病院としてグランドオープンしました。

鳥取県東部を中心に地域密着型の二次救急病院として活躍する同院は消化器疾患の治療に力を注いでおり、大腸がん胃がんの腹腔鏡手術にも取り組んでいます。今後は消化器がんの予防医学にも目を向けたいとおっしゃる鳥取赤十字病院院長の西土井英昭先生に、同院の強みや地域との連携体制についてお話しいただきました。

鳥取赤十字病院外観
鳥取赤十字病院外観

当院では消化器疾患の治療に特に力を注いでおり、内科(消化器内科)での一般診療や内視鏡検査、外科(消化器外科)における腹腔鏡手術を行っています。

内視鏡センターは、上部・下部内視鏡検査および内視鏡治療に特化した施設です。

当センターでは通常の内視鏡検査のみならず、カプセル内視鏡による小腸の検査も実施しています。カプセル内視鏡とは、カプセルほどの大きさの小型内視鏡のことです。このカプセルを飲み込み、消化管を通過させながら消化管内部を撮影して検査する方法です。経口ならびに経鼻内視鏡と比べて侵襲性が低く、従来の内視鏡では届かなかった部分も撮影できることが特徴です。

この他には、電子内視鏡システムを用いた腸管の拡大観察による早期大腸がんの検査および診断を行い、早期がん治療につなげています。

2019年2月現在、カプセル内視鏡検査は小腸からの消化管出血にのみ保険適用です

手術風景
手術風景

当院の外科では胃がん大腸がんを中心に、肝・胆・膵疾患(肝臓・胆道・膵臓の病気)や腸閉塞、鼠径ヘルニア、肛門疾患などの消化器外科疾患に対する手術治療および化学療法を行っています。

当院はがん治療に積極的に取り組んでいます。がん相談支援センターや緩和ケアを設置して患者さんを支えています。当院では、特に胃がんおよび大腸がんを治療することが多いです。手術には開腹手術と腹腔鏡下手術があります。当院では、患者さんの肉体的負担が少ない腹腔鏡手術を積極的に導入しています。ただし、胃がんや大腸がんに対する腹腔鏡手術は難易度が高いため、安全性と根治性を第一に考えて開腹手術を適応する場合もあります。本年1月よりダヴィンチを消化器外科に導入して直腸がんの手術に適用を開始しています。今後は胃がん手術にも適用させたいと考えており、準備を進めている段階です。

手術後に化学療法が必要ながん患者さんは、外科で経過観察をしながら化学療法を行っています。

腹腔鏡手術

胆のう結石や胆のう炎といった胆道疾患に対する腹腔鏡手術を行っています。また、病変部の小さな肝臓がんにも、胸腔鏡・腹腔鏡手術またはラジオ波焼灼療法が適応される場合があります。

鼠径ヘルニアによる痛みや違和感が自覚される場合、手術治療を選択する場合があります。

鼠径ヘルニアの術式には鼠径部を切開する方法と腹腔鏡下での方法の2種類があります。当院では両方の術式を症例に応じて使い分けています。

直腸脱における腹腔鏡手術のほか、ろう、肛門狭窄肛門周囲膿瘍の手術を積極的に行います。

鳥取県は高齢化が深刻な状況で、高齢の方の転倒事故が絶えず発生します。このため当院の整形外科に来院する高齢の患者さんは、転倒による大腿骨頸部骨折を筆頭に外傷が原因であるケースが多いです。骨折以外の病気では、変形性膝関節症変形性股関節症腰部脊柱管狭窄症などが多数みられます。

患者さんが早期に自分で歩く力を取り戻し、在宅に復帰してもらうために、当院は近隣の病院と連携して術後のリハビリテーション医療の提供をスムーズにしています。こうした地域医療連携は、患者さんが早くご自宅に戻れるようになるために重要なことだと考えます。

私は、魅力的な病院とは「患者さんが満足できる医療を提供する」施設だと考えます。診療そのものはもちろん、病棟内ですれ違ったときの挨拶の有無や、道に迷ってしまったときの案内の仕方など、スタッフの対応によって満足度は変わってくるでしょう。

当院は、医師をはじめ看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、臨床工学技士などさまざまな専門性を持つスタッフがチーム一丸になって日々の診療にあたり、一人ひとりの患者さんに満足いただける医療を目指します。

病院内の待合室
病院内の待合室

当院は鳥取県の地域医療に貢献するために、公開研修会や講演会、人員育成プログラム、医療フォーラムなどの活動を行っています。

公開研修会は医療従事者向けの勉強会で、地域の診療所で活躍する方々に向けて座学や体験学習などの講座を実施します。2017年には透析看護や皮膚・排泄ケア、糖尿病教育基礎講座、NST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)臨床実地研修などを行いました。

NSTは多職種で構成されるチームであり、患者さんの栄養管理を主に担当します。患者さんの栄養状態が良好に保たれれば、治療がスムーズに進むだけではなく、合併症予防や早期在宅復帰にも期待が持てます。近隣病院と合同でNST研修会を行うことで、地域一体型のNSTを目指しています。

当院は、消化器内科および消化器外科の分野で特に地域の方々に頼りにされています。

今後はさらにこれらの診療の幅を伸ばしていきたいと考えています。

私が今後力を入れて取り組みたいと考える分野は、消化器疾患に対する予防医学です。鳥取県はがん患者の数が多く、死因の約3割に上ります。また、75歳未満のがん年齢調整死亡率は2015年に84.1を記録しました。これは全国で3番目に高い結果です。*

第3次鳥取県がん対策推進計画より(https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/817793/H30gaiyou00.pdf

この原因は、がん検診を受ける方に偏りがあり、がんの早期発見・早期治療が遅れてしまうためだと考えています。そこで当院で消化器疾患における予防医学を導入・発展し、県全体のがん死亡率を改善させていきたいです。

西土井先生

当院は、消化器疾患を中心に急性期から慢性期まで幅広い病気の診療を行う地域密着型の病院です。地域住民の方々が困ったとき、地域と連携して街全体で患者さんに医療を提供できるような病院を目指して努力を重ねています。健康面で少しでも心配なことがある場合、お気軽に相談にいらしてください。

なお当院は多種多様な症例の診療を行っているため、医師にとっても新しいことを学ぶ場に適しているでしょう。常に患者さん目線であることを忘れず、向上心をもって研修や臨床に取り組んでいただきたいと考えます。

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