院長インタビュー

どんなに難しい症状の患者さんでもとりあえず診る――地域医療を支える菊池中央病院の取り組み

どんなに難しい症状の患者さんでもとりあえず診る――地域医療を支える菊池中央病院の取り組み
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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熊本県菊池市にある菊池中央病院は1946年に信岡病院として開院し、1981年に現在の場所に新築移転したのにあわせて菊池中央病院となりました。救急から回復期医療、リハビリ、介護、看取りまで、地域に根付いた医療を提供し続けている同院の役割や今後について、理事長・病院長を務める中川 義久(なかがわ よしひさ)先生にお話を伺いました。

当院は1946年に信岡病院として開院しました。1981年に現在の場所に新築移転し、その際に名称を菊池中央病院に改めました。1995年には菊池市で初めてとなる老人病棟を開設するなど診療体制を充実させ、現在に至ります。目指しているのは地域の皆さんの“かかりつけ病院”になることで、急性期から亜急性期の医療、そして介護療養まで、地域に密着した医療を提供しています。

当院は“どんなに難しい症状の患者さんであっても、とりあえず診させていただくこと”をモットーに診療しています。診療科は一般内科・一般外科に加えて、脳神経外科や形成外科、皮膚科、整形外科などを開設して、専門性が求められる疾患の診療にもあたっています。多いのは内科系の患者さんで、全体の7割から8割を占めているのが当院の特徴です。

現在の病床数は102床です。急性期の患者さんを受け入れる一般病棟に加え、在宅復帰にむけたリハビリテーション・療養をする地域包括ケア病棟、脊椎(せきつい)損傷など重度の障害をお持ちの患者さんに入院治療を受けていただく特殊疾患病棟を備えています。また、患者さんが希望すれば看取りもしています。

救急においては、地域の2次救急(入院や手術を要する重症患者への救急医療)を担っています。当院はもともと外科の病院だったこともあり、当初は外科系の救急患者さんを数多く受け入れていました。現在、外科系の救急は市内の熊本赤十字病院に搬送されるケースが増えてきましたが、それでも地域の救急医療において重要な役割を担っていることに変わりはありません。救急で当院を受診された患者さんが一般病棟に入院し、その後にリハビリを受けるために地域包括ケア病棟に移っていただくなど、地域に根付いた医療を提供しています。

当院は先述のとおり、どんなに難しい症状の患者さんであっても、とりあえず診させていただくことを基本姿勢としています。しかし、高度な医療が必要になる患者さんや、診断が難しい患者さんもいることから、その際には速やかに後方支援病院へ紹介しています。こうした見極めをしているのが内科で、総合内科専門医(日本内科学会認定)の資格を持つ私と、同じく総合内科専門医を持つ芹川 聖章医師が中心となって外来診療を行っています。

特殊な分野では、私は呼吸器感染症を専門としており、芹川医師は消化器内科や血液内科などに精通しており大腸ポリペクトミーや骨髄穿刺なども手掛けています。そのため、私と芹川医師が助け合うことで多くの病気をカバーできるのが当院の強みで、救急医療から重症の患者さんまで、幅広い患者さんの診療が可能です。

地域医療を完結させるためには、地域の診療所・病院との病診連携・病病連携に加えて、特殊性のある診療領域においても診療できる体制を整えなければなりません。そこで当院では脳神経外科や皮膚科、整形外科なども開設して、幅広い症例の患者さんを診ています。

たとえば脳神経外科では、頭痛をはじめとしたさまざまな脳疾患を診ています。主な症状には頭痛やめまい神経痛てんかんなどがありますが、脳梗塞(のうこうそく)脳出血くも膜下出血、悪性脳腫瘍パーキンソン病などさまざまな症例を診療しており、正常圧水頭症の手術も積極的に行っています。また、整形外科では外傷による骨折をはじめとして変形性関節症などの一般的な整形外科診療を行っています。皮膚科では熊本大学からの週2日の非常勤医師により一般的な皮膚科疾患のみならず、難治性や稀な皮膚病に悩んでおられる患者さんの診療を行っています。

当院の診療スタンスは、受診された患者さん一人ひとりに対して“長きにわたって、最期まで診る”ことです。救急車で運ばれてきて一般病棟に入院し、リハビリが必要な方は地域包括ケア病棟に、状態が悪くなってしまい意識が回復しない方は特殊疾患病棟に移っていただくこともあります。また、2020年12月には、4階病棟全体を介護療養型医療施設から介護医療院へ転換し、施設名を介護医療院 菊池中央病院としました。介護医療院は、長期療養のための医療と日常生活上の支援を一体的に提供する介護施設で、夜間も医師や看護師が常駐して、ご家族の方々と連携しながら患者さんを見守っています。希望があれば看取りにも対応しており、地域の皆さんが必要としている医療と介護を新しいスタイルで提供しています。

地域の皆さんにいつまでも安心して暮らしていただけるよう、症状にかかわらずとりあえず診療することをモットーに取り組んできました。今後も垣根のない今の診療スタイルを貫いていく所存です。ご希望があれば遠方の方でも診療していますし、症状によっては高度な医療を提供している病院を紹介することもできますので、どのような症状でも構いません。まずは気軽に相談していただければと思います。

また、これからも救急からリハビリ、介護、看取りまで、地域の皆さんが必要とする医療の提供を通して地域に貢献してまいりますので、変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。

*病床数、診療科、医師、提供する医療の内容等についての情報は全て2024年10月時点のものです。

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