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しみの種類によって異なる治療とは?〜レーザー治療以外に内服薬や外用薬が使用されることも〜

しみの種類によって異なる治療とは?〜レーザー治療以外に内服薬や外用薬が使用されることも〜
古川 福実 先生

高槻赤十字病院 名誉院長、同顧問/皮膚・形成外科センター長

古川 福実 先生

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しみとは一般的に肌にできる茶色の色素沈着のことを指し、紫外線を浴びることによって悪化します。一口にしみといっても紫外線によってメラニンが増加し沈着したしみ、そばかすなどの遺伝性のしみ、一時的なしみなどさまざまな種類があり、主に良性と悪性に分けることができます。いずれも、良性と悪性によって効果的な治療方法が異なります。

本記事では良性と悪性のしみの種類とそれぞれの治療法について詳しく解説します。

日光性色素斑とも呼ばれるもので、しみの中ではもっとも多く見られます。好発年齢は30歳代以降で、好発部位は主に顔、手の甲、前腕など、紫外線に当たる部分に発症します。しみの見た目は比較的濃い茶色、平たく崩れた円形で輪郭がはっきりしているという特徴があり、名前のとおり加齢や日光(紫外線)に(さら)されることで現れます。

治療法

主な治療法はレーザー治療です。最近では、あらかじめ2~3か月程度、内服薬(ビタミンC、ビタミンE、トラネキサム酸など)や外用薬(ビタミンC、トラネキサム酸、ハイドロキノンなど)で治療を行った後にレーザー治療を行うことが一般的です。

頬骨の上やおでこなどに左右対称に広がる薄茶色のしみです。境界がはっきりしているものから、ぼやけているものまでさまざまにあるのが特徴です。

紫外線が増悪因子となるため、夏季に悪化し冬季に改善することが多いです。好発年齢は30歳以降の女性とされていますが、原因の1つに女性ホルモンが関与しているため、妊娠中に発症したり色が濃くなったりすることもあるといいます。

治療法

肝斑では、主に内服薬(ビタミンC、ビタミンE、トラネキサム酸)、外用薬(ビタミンC、トラネキサム酸、ハイドロキノン)によって治療が行われるほか、紫外線予防も重要とされています。

なお、レーザー治療は色素を濃くすることがあるため禁忌とされてきましたが、最近は低出力であればレーザー治療を行っても構わないといわれることもあり、内服薬や外用薬で改善されなかった場合はレーザー治療が検討されることもあります。

雀卵斑は一般的に“そばかす”と呼ばれ、顔などの日光が当たる場所にできる円形で淡い褐色のしみです。原因は遺伝といわれており、3~5歳くらいで現れ10歳頃(思春期より少し前)に目立つようになります。

また、紫外線よって悪化するため夏は濃くなり冬は薄くなるという特徴もあります。

治療法

主にレーザー治療が行われ、1回の治療でそばかすが消えることもあるとされています。ただし、ダウンタイムが1週間程度あることも考慮して数回に分けて治療を行うこともあります。このほか、インテンス・パルス・ライト(IPL)が有効との報告もあります。

このような器機を用いた施術にあたっては、機種、施術者の経験、施術の季節等の影響もあり、注意が必要です。また、そばかすの再発防止のためには治療後も美白剤の外用やUVケアを行うことが大切です。

炎症後色素沈着とは、切り傷ややけど、ニキビなど、損傷や炎症の後に発生する色素沈着であり、発生に年代は関係ありません。炎症が起きることで生成されたメラニンが正常に排出されないことが原因で引き起こされます。また、ほかのしみに対するレーザー治療によって引き起こされることもあります。

治療法

炎症後色素沈着は一時的なもので徐々に改善していくとされていますが、場合によってはトレチノインやハイドロキノンを使った外用療法が行われます。

長年の紫外線曝露(ばくろ)によって生じる茶褐色の(いぼ)状のものです。平坦なものから隆起したものまでバリエーションがあります。主に顔面に見られます。病名のごとく、表皮細胞の病気ですが、表皮細胞の増生につれて色素細胞の増生やメラニンの生成亢進などを伴います。結果的にしみと区別がつきにくい状態になります。

治療法

治療法は主に液体窒素を当てる凍結療法や、組織を削る炭酸ガスレーザー治療が行われます。

良性のしみには以上の5つ以外にもさまざまな種類があり、治療法も異なることがあります。そのため、いずれもほかの病気と同様、皮膚科を受診して正確な診断を受けることが必要です。

また、しみ治療は主に美容目的となるため基本的には保険適用外となる点にも注意が必要です。ただし、脂漏性角化症で行われる液体窒素療法など、しみの種類によっては保険適用となるケースもあります。詳しくは担当医に質問するようにしましょう。

一方で単なるしみだと思っていたものが、皮膚がんなどの別の病気という場合もあります。見た目がしみなどと似ている皮膚がんには以下のようなものがあります。

表皮組織の基底細胞が増生したもので、増生につれて色素細胞の増生やメラニンの生成亢進などを伴います。これはがんに分類されますが、悪性度は低く転移もまれです。

一見、いわゆる“ほくろ”のようにみえるほか、初期にはしみにも見えます。典型的な場合は、ロウを塗ったような光沢がある黒色の皮疹で、やや盛り上がっています。顔面に多く発生するのが特徴です。

治療法

治療は、切除手術により根治することがほとんどです。多くの患者で、ダーモスコピーを用いた非侵襲性(ひしんしゅうせい)の検査で診断が可能となっています。

いわゆる“ほくろのがん”の初期病変です。大きさは、初診時には1cm以上あることが多く、色素病変の境界もはっきりしたところと不鮮明なところがあります。型も不規則で、色調にも濃淡さがあります。

初期病変は平坦ですが、進行してくると一部が疣状に盛り上がってくることがあります。ダーモスコピーでおおまかな診断が可能であり、すぐに皮膚科専門医を受診することが大切です。

治療法

治療は切除が基本です。進展している場合だと、化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、放射線療法などが選択されます。

なお、以上のような皮膚がんである場合の治療は、通常は保険適用となります。

悪性黒子などは非常に悪性ながんと考えられていますが、早期発見、早期治療によって治る可能性があります。そのため、1年に1回程度は全身のしみやほくろをチェックするとよいでしょう。以下の項目に2つ以上当てはまるものがある場合は、皮膚科の受診が必要です。

  • 形が左右対称性でない
  • まわりがギザギザしている
  • 色が均一でなく、濃淡がある
  • 直径が6mm以上ある

見た目はしみに見えても、まったく別の病気である可能性もあります。しみと言ってもさまざまな種類があるほか、しみだと思っていたものが病気である可能性もあり、これを自身で判断することは難しいです。そのため、気になる症状がある場合は、皮膚科専門医を受診し、医師の診断のもと適切な治療を受けるとよいでしょう。

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