二次性高血圧は原因疾患の治療によって治る可能性があること、そして放置すると本態性高血圧よりも血管合併症が重症化しやすいという点において、早期に診断をつけて治療を開始することが大切です。高血圧治療ガイドラインの見直しによって、二次性高血圧の評価がますます重要な位置づけになっています。二次性高血圧の検査と診断について、国際医療福祉大学三田病院 内科部長・副院長の佐藤敦久先生にうかがいました。
日本高血圧学会による高血圧治療ガイドラインは2000年に発表され、2014年の第4版が最新版となっています。この中で二次性高血圧の重要性が示されるようになってきたことによって、漫然と高血圧の治療を続けるのではなく、最初から二次性高血圧の可能性を念頭に置いて診断・治療にあたるべきという考えが医師の間に浸透してきました。
高血圧と診断されたすべての患者さんについて、二次性高血圧のスクリーニングを行います。基本的に特殊な検査は必要なく、外来で簡単に行える血液検査と尿検査だけでも十分診断が可能です。
特に原発性アルドステロン症は、臨床症状だけをみると本態性高血圧と区別がつかないため、検査によるスクリーニングの方法が確立されたことによって、多くの患者さんを見つけ出すことができるようになりました。
二次性高血圧の原因としてもっとも多く見られる腎実質性疾患(慢性腎臓病)を診断する場合には、血液検査と尿検査に加えて腹部エコー(超音波検査)が有効です。また、血液検査で腎機能をみるときに重要な項目として、eGFR(推定糸球体濾過量)というものがあります。
腎臓が血液をきれいにする濾過(ろか)機能を評価するための指標として、従来は血清クレアチニン値が用いられていました。しかし血清クレアチニン値は年齢や体重などの要素を考慮すると、腎臓の濾過機能を正確に反映しているとはいえません。そこで、日本人に合わせた補正を行う方法が開発され、現在では血清クレアチニン値を測定すると自動的にeGFRが算出されるようになっています。慢性腎臓病はこのeGFRの値が60ml/分/1.73m2未満と定義されています。
ほとんどの場合、前項で述べた検査によって二次性高血圧を見つけ出し、正しく評価することができます。しかし、以下のような特徴に当てはまるケースについては、慎重を期してより注意深く見極める必要があるといえます。
これまで血圧の異常がなく、普段から血圧を測る習慣がない方の場合、短期間での急激な血圧上昇に気づくことはなかなかありません。そのため、二次性高血圧を見つけ出すうえで特に重要なのは3.と4.になります。
まず高血圧の基準ですが、診察室での収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg 以上、これが別の日に2回以上出た場合が高血圧となります。さらに重症度によってI〜III度に分類されるのですが、前述の3番目の特徴はIII度相当の重度高血圧ということになります。
本態性高血圧はゆっくりと進行するため、ほとんどがI度かII度です。はっきりと重症高血圧を呈している患者さんの場合は二次性高血圧である可能性が高くなりますので、何か見逃していることがないかということを考えます。
もうひとつ重要なのは4番目の特徴です。これは別の言い方をすれば治療抵抗性もしくはコントロール不良の高血圧ということになります。本態性高血圧の患者さんでは通常、異なる2剤を組み合わせて使用することで血圧が下がり始めることが多いのですが、利尿薬を含む3剤を組み合わせても血圧をコントロールすることができないものは、治療抵抗性高血圧であると定義されています。治療抵抗性高血圧の患者さんは二次性高血圧の頻度が高く、2〜3割が二次性高血圧であるとされています。
国際医療福祉大学塩谷病院 病院長
国際医療福祉大学塩谷病院 病院長
日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医・内科指導医日本高血圧学会 高血圧専門医・高血圧指導医日本腎臓学会 腎臓専門医・腎臓指導医日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医・内分泌代謝科指導医日本消化器病学会 会員日本感染症学会 会員
新潟大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部内科、水戸赤十字病院内科を経て、現在は国際医療福祉大学付属三田病院で副院長を務める。内科一般のエキスパートであり、臨床試験などから得られたエビデンスに基づいた治療を日々行っている。十分な話し合いを行い、両者の合意により治療方針を決定することで、多くの患者から高い信頼を得ている。
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