インタビュー

高血圧の症状と検査〜高血圧は心筋梗塞や脳卒中を引き起こすの?〜

高血圧の症状と検査〜高血圧は心筋梗塞や脳卒中を引き起こすの?〜
上條 由佳 先生

医療法人社団善仁会 中田駅前泉クリニック 院長、医療法人社団ときわ 理事、横浜市立大学腎臓高血...

上條 由佳 先生

石橋 由孝 先生

日本赤十字社医療センター 腎臓内科部長

石橋 由孝 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

この記事の最終更新は2015年10月08日です。

日本人の40歳以上の2人に1人が高血圧であるといわれています。まさに日本の「国民病」ともいえる高血圧ですが、高血圧になるとどのような症状・合併症が出るのでしょうか? また、高血圧の診断はどのように行なうのでしょうか? 日本赤十字医療センターの上條由佳先生にお聞きしました。

高血圧には、特有の症状がほとんどありません。そのため、定期的に血圧を測定していなければ発見することは困難です。また、早期に発見されたとしても放置されることが多く、気づかないうちに進行して、脳卒中や心臓病などの合併症を引き起こす(合併症については後にご説明します)ので、高血圧は「サイレント・キラー」とも呼ばれています。

高血圧には特有の症状はありませんが、進行したまま放置しておくと様々な合併症を引き起こします。脳出血は有名ですが、それ以外の合併症として以下のとおりです。

血管が刺激されることにより動脈硬化が起こります。そしてこの動脈硬化により、脳梗塞や脳出血などの脳卒中狭心症心筋梗塞などが起こります。

血液を全身に送り出すため、心臓は強力な筋肉で出来ています。血圧が高いとそれだけ全身に送り出す力が必要なため、心臓は筋トレをしているようなものです。長い間高血圧が続いている患者さんでは、筋肉モリモリの心臓となり、しなやかさが失われます。このような状態を「心肥大」といい、心不全の原因の一つです。

腎臓は尿を作り、体内の水分量の調整、老廃物の除去、塩分・カリウムの調節などの働きをしていますが、腎臓は細かい血管の塊であるため、血圧が高い状態が長い間続くと腎臓に負担がかかります。高血圧の方は、腎臓の機能が低下して慢性腎臓病、さらには末期腎障害になりやすくなります。長期間収縮期血圧が10mmHg上がるごとに、将来末期腎障害になるリスクが30%前後上昇するといわれています。

また、降圧剤のみで血圧を管理しても減塩を行わないと腎臓への負担が続くことになります。まずは減塩を中心した生活習慣への修正を行いましょう。
参考記事:慢性腎臓病とは

高血圧で怖いのは、これらの合併症です。ふだん自覚症状がなかったとしても、突然これらの合併症が起こることがあるので注意が必要です。

では高血圧はどのように検査・診断するのでしょうか?

実は血圧の測定方法には、診察室で測定する「診察室血圧」と、診察室以外の場所で測定する「診察室外血圧」の2種類があります。

まずは、診察室血圧についてご説明します。診察室血圧とは診察室で測定される血圧のことで、以下のように測定を行います。

  • 静かで適当な室温の診察室で、脚を組まずに座って数分安静にした後測定します。また、測定前に喫煙、飲酒、カフェイン摂取などを行ってはいけません。
  • 1〜2分の間隔をあけて少なくとも2回測定します。
  • 安定した値(差が5mmHg未満)を示した2回の測定値の平均が最終的な測定値となります。

また、高血圧の診断は、少なくとも2回以上の異なる機会における測定値に基づいて行われます。

診察室血圧
診察室血圧

この診察室血圧が収縮期血圧140mmHg・拡張期血圧90mmHg以上であった場合、高血圧と診断されます。

診察室血圧の基準

次に、診察室外血圧についてご説明します。診察室外血圧とは、診察室以外の場所で測定される血圧のことで、“家庭血圧”と“自由行動下血圧”があります。この診察外血圧は、診察室血圧と同等かそれ以上に大事であるとされています。

家庭血圧とは家で測定される血圧のことで、以下のように測定します。

家庭血圧
家庭血圧

また、診察室血圧と家庭血圧に診断の差がある場合は、家庭血圧による診断を優先します。例えば、「診察室血圧では高血圧の基準を満たさないが、家庭血圧では高血圧の基準を満たす」といった場合には、家庭血圧による診断が優先されますので、高血圧と診断されます。(家庭血圧の診断基準については後ほどご説明します。)

24時間自由行動下血圧の測定では、図のような持ち運びができる自動血圧計を身につけて、24時間普通の生活を行いながら、15~30分間隔で血圧を測定します。

自動血圧計(素材提供:PIXTA)

家庭血圧の診断基準は以下の表のようになっています。

家庭血圧の基準

家庭血圧では、収縮期血圧135mmHg・拡張期血圧85mmHg以上で高血圧と診断されます。自由行動下血圧は、図のように時間帯によって診断基準が異なります。

腎不全 本

受診について相談する
  • 医療法人社団善仁会 中田駅前泉クリニック 院長、医療法人社団ときわ 理事、横浜市立大学腎臓高血圧内科 客員研究員

    上條 由佳 先生

  • 日本赤十字社医療センター 腎臓内科部長

    石橋 由孝 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が10件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「高血圧症」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    高血圧症

    Icon unfold more