きしつせいせいしんしょうがい

器質性精神障害

最終更新日:
2024年11月05日
Icon close
2024/11/05
更新しました
2017/04/25
掲載しました。
この病気の情報を受け取るこの病気は登録中です

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

医師の方へ

概要

器質性精神障害とは、脳の組織に損傷や変化が生じた結果として起こる精神障害や、脳以外の部位の病気により、脳が二次的な障害を受けることによって起こる精神障害を指します。

精神障害というと、統合失調症双極性障害躁うつ病)、うつ病などの精神的な病気がよく知られており、これらは脳の機能性障害に分類されています。一方で脳の器質性障害とは、神経が変性する病気(神経変性疾患)や脳出血脳梗塞(のうこうそく)などの脳血管障害、脳腫瘍(のうしゅよう)、けがによる脳の損傷、脳以外の部位の病気など、脳が何らかの原因で障害され、うまくはたらかなくなることにより起こる精神障害です。たとえば、アルツハイマー型認知症レビー小体型認知症などは、神経変性疾患が引き起こす器質性精神障害の代表例として知られています。脳以外の部位の病気で器質性精神障害を引き起こしやすいものとしては、甲状腺などの内分泌に関する病気や糖尿病などの代謝に関わる病気、膠原病(こうげんびょう)などが挙げられます。

器質性精神障害は認知症以外にも、その原因などによって意欲・集中力の低下から幻覚、妄想まで幅広い症状が生じます。症状だけでは脳の機能性障害と区別することが難しく、機能性障害を疑って医療機関を受診したところ、背景にある器質的な異常が見つかったという例も少なくありません。

原因

器質性精神障害は脳の病気やけがによる脳の損傷、あるいは脳以外の部位の病気などが原因で発症します。

そのほか、女性が出産後に生じることがある褥期精神障害(さんじょくきせいしんしょうがい)、手術後に生じることがある術後精神障害、ステロイドやインターフェロン投与後に生じることがある薬剤性精神障害も器質性精神障害に分類されます。

 

 

 

 

 

症状

器質性精神障害の症状は、原因となる病気や患者の状況などによって異なりますが、主に認知症の症状、精神症状および神経症状、意識障害などがみられます。

認知症の症状

新しいことが記憶できない、過去のことを思い出せないなどの“記憶障害”、日時や場所、人を認識する力が低下する“見当識障害”、計画を立てて物事を進めることが難しくなる“遂行機能障害”、適切な判断や意思決定が困難になる“判断力の低下”などがみられます。

精神症状および神経症状

器質性精神障害では下記のような精神症状が現れます。

  • 幻覚……存在しないものが見えたり聞こえたりする
  • 妄想……現実とは異なる信念や考えを持ちそれを強く信じる
  • 抑うつ……理由もなく強い不安を感じたり気分が落ち込んだりする
  • 意欲低下……活動への興味ややる気が減少する
  • 人格変化……以前とは異なる性格や行動パターンがみられ、急に興奮したり攻撃的な行動をとったりする

など

また、脳や神経系そのものに直接的な損傷や異常が生じているため、精神症状だけでなくさまざまな神経症状が現れることがあります。神経症状は障害の原因や部位によって多様に表れます。

意識障害

意識障害の幅は広く、頭がぼんやりして集中力が低下する程度の方もいれば、刺激を加えても目を覚まさないような重度の障害が生じる方もいます。また、意識障害に伴って幻覚や妄想、興奮などの症状がみられる方もいます。特に意識障害が現れている例では、緊急治療が必要となる場合もあるため、速やかに医療機関を受診することが大切です。

検査・診断

前述したような器質性精神障害を疑う症状がみられる場合には、神経学的検査を含めた身体診察や血液検査に加えて、頭部CT検査や頭部MRI検査など脳の画像検査、脳波検査など、さまざまな検査を行い診断します。

症状所見のみでは、脳の機能性障害との区別が難しい例もあります。また、器質性精神障害には原因となり得るさまざまな病気が存在するため、どのような病気が原因で症状が現れているのかを明確にすることが大切です。

服用している薬が原因で症状が現れるケースもあるため、服用中の薬がある場合には必ず医師に伝えるようにしましょう。

治療

器質性精神障害では、原因となる病気やけがを治療することが大切です。原因によって治療方法は異なります。

たとえば、脳腫瘍や頭のけがなどが原因であれば手術治療が検討され、炎症や感染症、膠原病などが原因の場合には、薬物療法などの内科的治療が検討されます。アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症では、認知症に対する治療として、薬物療法やリハビリテーションなどが検討されます。なお、精神的な症状が特に強い場合には、環境調整などによるアプローチをしたうえで、原因に対する抗認知症薬などの治療と並行して向精神薬による対症療法も検討されます。

ただし、原因となる病気によっては症状が完全に消失せず、継続的に家族のサポートや病院の受診などが必要となるケースもあります。医師の指示に従い、治療を継続していくことが大切です。

医師の方へ

医師向けの専門的な情報をMedical Note Expertでより詳しく調べることができます。

この病気を検索する

「器質性精神障害」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

実績のある医師をチェック

器質性精神障害

Icon unfold more