子どものけいれんの原因は様々ですが、大きく熱がある場合と熱がない場合の2パターンに分けることができます。子どものけいれんの原因について、熱性けいれんなどの一般的な病気から髄膜炎などの注意しておきたい病気まで、神奈川県立こども医療センター神経内科科長の後藤知英先生にお話しいただきます。
熱性けいれんは、子どものけいれんの原因として最も多いものです。日本人は発症率がやや高く、日本人の約5%は子どもの頃に発熱に伴うけいれんを起こすとされています。発症には遺伝的な素因が関係しており、親御さんが幼い頃に熱性けいれんを経験している場合、その子どもも熱性けいれんを起こす可能性が高くなります。
多くの場合、6か月から5~6歳までの子どもに生じ、熱が出てから通常24時間以内に全身性の2~3分のけいれんが起こります。けいれんが髄膜炎、脳炎、脳症、先天性の代謝性の病気など別の病気によるものではない場合に熱性けいれんと診断されます。熱性けいれんを一度起こした子どものうち、繰り返すのは10人中3人といわれています。残りの10人中7人の子どもは、熱性けいれんを生涯に1度しか起こしません。2回、3回と熱性けいれんを繰り返す方もいますが、小学校入学時程度の年齢になると自然に起こらなくなります。
(参考:熱性けいれんガイドライン2015)
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髄膜炎や脳炎とは、頭の中に細菌やウイルスが入って炎症を起こす病気で、医療機関での治療が必要となります。
両者の違いは、髄膜炎では脳の表面にある「髄膜」という保護膜の上や脳の周りにある脳脊髄液という液体の中で細菌やウイルスが増殖する病気であるのに対して、脳炎では脳の組織の中でこれらの病原体が増殖する病気であるという点です。
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髄膜炎や脳炎の症状は、けいれん以外にも「ぐったりしている」「意識がもうろうとしており全身状態が悪い」など体全体に現れることが多いです。髄膜炎や脳炎のときのけいれんは、熱性けいれんのように熱が出て24時間以内に起こるのではなく、何日か熱が続いた後に遅れて起こる場合も多いため、このようなケースでは必ず病院を受診しましょう。
髄膜炎と脳炎では治療が遅れると後遺症が残る可能性もあるので、正確に診断し、しっかりと治療することが大事です。また、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンの普及により、髄膜炎はかなり減ってきています。日頃からワクチンをきちんと受けて予防することもとても重要です。
急性脳症も髄膜炎や脳炎と同様、発熱に伴いけいれんを起こします。脳症の場合も重い後遺症を残すことがあるので、早い段階で対処する必要があります。
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てんかんは100人に1~2人の方が発症するとされている、決して珍しくない病気で、けいれんや意識障害などの「発作」を繰り返し起こします。
てんかんと熱性けいれんの一番の違いは、熱性けいれんは発熱時だけにけいれんが起こるので発熱時に注意していればよいのに対し、てんかんの場合は熱がないときにも発作が起こるので、いつ発作が起こるかわからないという点です。
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泣き入り引きつけとは6か月~1歳の子どもに起こるけいれんで、泣き過ぎたことで息が吸えない、または吐けなくなって呼吸が停止し、そのためにけいれんが起こった状態を指します。通常、泣き始めたときに起こることが多いので、「泣き入り」ひきつけと呼びます。
「引きつけ」とはけいれんのことですが、泣き入りひきつけは通常、意識がなくなってぐったりすることが多いです。けいれんが起きることもあります。
泣き入り引きつけが起こる原因は明確に判明していませんが、呼吸を調節する器官が未熟で、泣くことで一時的に脳の酸素量が少なくなることが関係しているとされます。また、貧血に対して鉄を補充する薬を内服すると改善することがあります。
脱力やけいれんは通常1分程度で回復し、後遺症を残すことはありません。泣き入り引きつけは年齢とともに改善し、一般的には2~3歳ごろには自然消失します。
胃腸炎にかかったときに、熱のないけいれんが起こる場合もあります。これを胃腸炎関連けいれんと呼びます。特徴は、短時間のけいれん(通常1分程度)が何度もみられ、けいれんとけいれんの間は意識がしっかりと回復することです。
胃腸炎関連けいれんは1~2歳ごろの幼児にみられ、多くの場合血液検査を行っても異常はみつかりません。通常、後遺症を残すことはなく、また3歳以降に出現することはまれです。
非常に稀ですが、脳腫瘍や脳出血が原因でけいれんが起こることもあります。子どもが初めてけいれんを起こした場合、熱のないけいれんの場合、普段と異なるけいれんの場合は、必ず医師に相談してください。詳しい検査が必要になることがあります。
子どもの熱が出るとき、体温をあげるために体全体が小刻みに震えてしまうことがあります(おとなでも寒いときやインフルエンザの発症時には体の震えが出ます)。
この震えはよくけいれんと間違えられる症状の一つですが、熱が上がりきれば震えは止まるため心配いりません。けいれんとの見分け方としては、この震えの場合は意識がおかしくなることはなく、泣きながら震えていたり、震えながらでも親御さんと意思疎通ができていたりする点です。
「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営する「こどもの救急(ONLINEQQ)」も参考にしてみてください。
【先生方の記事が本になりました】
神奈川県立こども医療センター 神経内科科長
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あごをガクガク震わせる
生後1ヶ月になったころから、たまにあごをガクガク震わせるようになりました。 初めは泣いて興奮しているからかな?とおもったのですが、よく見ているとそれ以外でもたまに震わせています。 一回1秒もしないくらいなのですが、一日2、3回あると思います。 手足の突っ張りや白目などほかの気になる点はなく、至って普通な様子です。 何か疑われる病気などありますでしょうか??
てんかんはコロナウイルスに感染すると重症化しやすいのでしょうか。
2歳10ヶ月の時に、小児神経科で脳のMRI、二回の脳波検査を受け、異常は出なかったものの、受診きっかけとなった症状から、「てんかんだとは言えないが、てんかんではないと言うのも難しい。でも、てんかんだとしても軽いものだろう」とのことで、様子見になりました。その後同じ症状は見られず病院にも行っていません。 お尋ねしたいのは、てんかんは「基礎疾患」にあたるのか、もしコロナウイルスのような感染症に感染してしまったら重症化しやすいのか、もしそうならてんかん「疑い」でも同じことかどうか、ということです。今春から幼稚園に入園します。親の目から離れることも心配です。幼稚園生活にあたって気をつけることや幼稚園の先生方にお願いした方がいいことなどありましたら、ご教示ください。 ちなみに、受診きっかけの症状は以下です。 私と手を繋いで舗装路を歩いていたら、突然力が抜けて尻もちをつくような体勢になりました。顔色は普通、すぐに立ち、その後も走り回るなど元気でしたが、つまずくでもなく、手を繋いでいなかったら後頭部を地面に打ちつけていたかもしれない様子に不安を覚え、すぐに受診しました。私が見ている限り、このような症状はこの時一回だけです。
昨夜熱性痙攣、下痢あり
大阪在住の娘家族のことです。孫が、昨夜高熱で痙攣した。座薬で様子を見ていたが、今も9度台の熱がある。下痢もしている。大阪で、今日は病院が休みだったとかで、また病院に今行くことは返って院内感染の心配もあるとかでまだ受診していないという。母乳は飲むし、吐いてはいないけれど。熱でハアハア言っている。昨日、上の孫娘四歳が保育園で吐いた。感染性の病かと心配。 緊急を要するか明日まで様子を見て良いか教えて下さい。
意識を突然失い、倒れてしまった。
高校生です。今年の夏(八月上旬ごろ)、祖母の入院している病院にお見舞いに行き、ずっと立っていたら、少しめまいがしてその後意識を失い、後ろに倒れました。倒れた後、1、2分意識がなく、意識が戻っても少し喋れなくなりました。たまたま病院にいたので、点滴を受けた後、救急救命センターへ行き検査を受けましたが、何も異常はありませんでした。倒れたのはこれが二度目で、一度目は去年の同じくらいの頃で、その時も同じ症状でしたが、すぐに回復しました。(どちらの時も、とても暑い日で水分を取っていなかったので熱中症かもしれません。)3歳、4歳ごろ、熱性けいれんを経験していますが、脳波の検査をしてもその時は何もありませんでした。私の母は子供の頃にてんかんを持っていた(?)と言っていました。また、私は貧血気味で、立ちくらみが多いのですが、2回目に倒れてから立ちくらみがとても多くなりました。 何か関係があるのでしょうか?(救急救命センターで受診した際に、てんかんの可能性があると言われました。)それとも、熱中症で倒れたのか、貧血が関係あるのか。なにか、関係していることがあれば教えていただきたいです。 あと、立ちくらみを減らすというか、治す方法を教えていただきたいです。(文章がぐちゃぐちゃになってしまい申し訳ないです。)よろしくお願いします。
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