疾患ガイド

逆流性食道炎の症状・原因から治療の知識

逆流性食道炎の症状・原因から治療の知識
飯田 洋 先生

横浜市立大学医学部 医学教育学 講師

飯田 洋 先生【監修】

目次
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繰り返す胸やけは、逆流性食道炎が原因かもしれません。逆流性食道炎は、主に胃酸が逆流することで起こり、改善には食事や生活習慣の見直しが重要です。

この記事では、逆流性食道炎の症状から、自分でできる対処法、そして病院での治療法まで解説します。

👉 このパートをまとめると
逆流性食道炎の代表的な症状は胸やけや呑酸(どんさん)です。喉の違和感や咳、胸の痛みが出ることもあります。

逆流性食道炎の最も代表的な症状は、胸やけと呑酸(どんさん)です。

  • 胸やけ……胸の真ん中あたりが、焼けるようにチリチリ、ヒリヒリと痛む感じがします。特に、食後や前かがみになったときに症状が現れやすくなります。
  • 呑酸……胃酸が口の中や喉まで上がってくる感覚が生じます。一般的に、ゲップと一緒に酸っぱい液体や苦い液体がこみ上げてくる感じがします。

これらの症状は、胃酸が逆流し食道の粘膜を刺激することで引き起こされます。

胸やけや呑酸以外にも、逆流性食道炎はさまざまな症状を引き起こすことがあります。
これらは“食道外症状”と呼ばれています。食道に症状が出るわけではないため、逆流性食道炎が原因とは気付きにくいかもしれません。

  • 長引く咳(特に夜間や早朝)
  • 声のかすれ(嗄声(させい)
  • 喉の違和感・イガイガする感じ
  • 繰り返す耳の痛み(再発性中耳炎
  • 歯の痛み(酸蝕症(さんしょくしょう)

もし呼吸器内科や耳鼻咽喉科(じびいんこうか)で異常がないと診断された後も、これらの症状が続く場合は、食道への胃酸の逆流が関係している可能性があります。

👉 このパートをまとめると
逆流性食道炎は胃酸が食道へ逆流するために生じます。主な原因は、食生活の乱れや肥満、加齢、姿勢などといわれています。

食道の粘膜は胃酸に弱いため、胃酸が食道へ逆流しないようにするための防御機能(下部食道括約筋)が備わっています。下部食道括約筋とは、食道と胃のつなぎ目(噴門)にある筋肉です。食べ物が通過するとき以外は、噴門を閉じて逆流を防ぐはたらきをしています。

しかし、下部食道括約筋が何らかの理由で緩むと噴門が開いた状態になり、胃酸が食道へと逆流することがあります。逆流した胃酸に繰り返しさらされることで、食道の粘膜がただれて炎症を起こし、逆流性食道炎を発症する場合があります。

胃酸が食道に逆流する原因は1つではなく、複数の生活習慣が関連していることが多いといわれています。

  • 食事……食べ過ぎや早食い、脂肪分の多い食べ物、香辛料など刺激の強い食べ物、アルコール、柑橘類などは、胃酸の分泌を増やしたり、下部食道括約筋を緩めたりします。
  • 肥満……内臓脂肪が増えるため、胃が圧迫されて腹圧が上昇し、胃酸が逆流しやすくなります。
  • 姿勢……猫背や前かがみの姿勢は、お腹を圧迫しやすいため、胃酸の逆流の原因となります。食後すぐに横になる習慣も、逆流が生じやすくなるといわれています。
  • 加齢……年齢とともに、下部食道括約筋の力や、食道の蠕動運動(ぜんどううんどう)(食道の筋肉が波のように収縮と弛緩を繰り返し、食べ物や飲み物を胃へ送り込むはたらき)が弱まります。
  • 服装……ベルトやコルセット、きつい下着などでお腹を締め付けることも、腹圧を上げる原因となります。

逆流性食道炎と関連の深い病気として、胃食道逆流症(GERD)が挙げられます。

胃食道逆流症とは、胃の内容物が食道に逆流することによって、食道の炎症や胸やけなどの不快な症状を引き起こす病気の総称です。胃食道逆流症の中で、食道に炎症がある場合は“逆流性食道炎”に分類されます。胃食道逆流症の症状のみがあり、炎症がみられない場合は“非びらん性逆流症”に分類されます。

👉 このパートをまとめると
逆流性食道炎の治療の基本は食事・生活習慣の改善によるセルフケアです。改善しない場合は、胃酸を抑える薬物療法を行います。

まずは症状を引き起こしている食事や生活習慣を見直すことが重要です。

食事

食べ過ぎや早食い、就寝前の食事は避けたほうがよいといわれています。症状を悪化させやすい食品(油っぽいものや刺激の強いもの、アルコール、柑橘類など)も避け、消化のよい食事をとりましょう。

生活習慣

肥満の場合は減量し、寝るときは頭を挙げて右側を下にする姿勢をとりましょう。喫煙習慣がある場合は、禁煙も有効といわれています。重い物を持ったり、前かがみの姿勢をとったりすることも可能な範囲で避けましょう。

✍️一言アドバイス
夜間(就寝中)に症状が現れやすい場合は、早めに夕食をとるとよいでしょう。特に、就寝前3時間以内の食事により、症状が現れやすいという報告があります。できれば就寝6時間前まで、遅くとも4時間前までの食事を心がけましょう。

セルフケアを続けても症状が改善しない場合や、症状が強い場合は、消化器内科を受診しましょう。

検査

まず問診で詳しく症状を確認した後、一般的に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が行われます。この検査では、食道の粘膜の状態を直接観察し、炎症の有無や程度、さらに合併症が起きていないかを確認します。

薬物療法

逆流性食道炎と診断された場合、プロトンポンプ阻害薬(PPI)またはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)という、胃酸の分泌を抑える薬が主な選択肢となります。そのほか、消化管の運動を改善する薬や漢方薬などが症状に応じて用いられます。

👉 このパートをまとめると
逆流性食道炎が長期化すると、まれに食道が狭くなる“食道狭窄(しょくどうきょうさく)”や、食道がんのリスクを高める“バレット食道”などにつながる可能性があります。

食道の炎症が長期間続いた場合、食道の内側が狭くなることがあります。これを食道狭窄(しょくどうきょうさく)と呼びます。重症の逆流性食道炎において、食道狭窄の発症率は年間0.84%との報告があります。
狭窄が進行すると、食べ物のつかえ感や、飲み込みにくさを感じるようになります。

一部の重症逆流性食道炎では、バレット食道が発生することもあります。バレット食道とは、食道の粘膜が胃の粘膜のような組織に変化した状態です。バレット食道そのものに症状はありませんが、腺がんという種類の食道がんが発生することがあります。食道腺がんは日本人ではまれな病気ですが、長期間(20年以上)にわたって胸やけの症状がある場合は、発生するリスクが高まることが知られています。

逆流性食道炎の症状が改善した後も合併症を防ぐため、重症の場合や、薬物療法の中断により症状が再発する場合は、薬物療法の継続(維持療法)が検討されます。

Q.ストレスは逆流性食道炎の原因になりますか?

A.はい、ストレスが関連する可能性があると考えられています。直接胃酸を増やすわけではありませんが、ストレスによって食道が刺激に過敏になるといわれています。ストレスを減らすため、リラックスできる時間を作ることも大切です。

Q.薬を飲んでいれば、食事は気にしなくてもよいですか?

A.いいえ、薬物療法と生活習慣の改善は、どちらも重要です。薬物療法で症状が治まった場合でも、逆流を起こす原因(食生活や肥満など)がそのままであれば、再発する可能性が高くなります。症状が治まった後も、再発予防のために生活習慣の改善を続けましょう。

Q.逆流性食道炎以外の食道炎には、どんなものがありますか?

A.逆流性食道炎以外の食道炎では、アレルギーが関与する“好酸球性食道炎”や、真菌やウイルスなどの感染で生じる“感染性食道炎”などがあります。

ここまで、逆流性食道炎の症状から原因、そして治療法までを解説してきました。逆流性食道炎の症状が現れた際は、まずは生活習慣の見直しを検討しましょう。症状が改善しない場合は医療機関での治療が必要な場合があるため、消化器内科などを受診するとよいでしょう。

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