
余命とは、その人があとどれくらい生きられるかの期待値のことをいいます。がんにかかると、場合によっては医師から余命を宣告され、患者は大きなショックを受けることもあります。
しかし余命とは予測に過ぎず、実際には余命より前に亡くなってしまう人もいれば、余命より長く生きる人もいます。そのため、余命を告げられた場合でもそれに振り回されず、あくまで可能性として理解する必要があります。
本記事では、がんの余命がどのように推定されているか、さらに余命宣告を受けた後の心のケアについて解説します。
病院で医師から告げられる余命はあくまでも推測であり、患者の生きられる期間を正確に予測できるものではありません。なぜなら、がんは複雑な病気で、人によって進行状況や性質、合う治療が異なり、将来のことが予測しにくいからです。そのため、医療機関や医師によっては患者に明確な余命宣告をしない方針の場合もあります。
医師が患者に余命を伝える場合、その余命はデータに基づいて推測されます。余命を推測するために使用されるデータにはいくつか種類がありますが、主に高齢者に対して余命を推測する場合には、患者の年齢と全身状態をもとに推定されます。罹患している病気に関係のない年齢別の平均的な余命は、厚生労働省が発表する“完全生命表”を参考にします。
また、たとえ同じ年齢で同じがんの患者であっても、全身状態がよい場合、普通な場合、悪い場合によってその余命が変わってくるため、年齢別に平均余命を寿命が長かった上位25%と中央値付近の50%、そして、寿命の短かった75%とに分け、その人の全身状態に応じて「あと何年生きられる見込みか」ということを推測します。
そのほか、がんの種類別や治療の種類別に余命を推測する手段もあります。がんはできる部位や状況に応じて生存率が異なるため、国立がんセンターの“5年後生存率集計報告書”などを用いて、がんの種類別の余命を予測することもあります。また、その治療を行った場合の生存期間の平均を示す“生存期間中央値”によって、おおよその余命が推測されることもあります。
がんの診断や余命宣告を受けると強いショックを受け、精神的に落ち込んでしまい、体調を崩してしまう方もいます。そのため、余命宣告を受けたときは自分の心の状態を知り、適切なケアを受けることを検討しましょう。
また、日頃の生活において病気のことを話せる相手がいない場合や、不安、気分の落ち込みなどがなくならない場合には、まずは主治医や看護師、あるいはがん診療連携拠点病院に設置された“がん相談支援センター”に相談しましょう。相談の内容に応じて、心のケアを専門とする精神科医・心療内科医の診察や、心理士によるカウンセリングなどを受けることができます。
がんにおける余命はあくまで統計的なものであり、患者の寿命が明確に分かるわけではありません。そのため、宣告された余命に縛られすぎず、医師の指示に従い前向きに治療を検討するよう心がけましょう。
がんの診断や余命宣告を受けることは、精神に大きな衝撃を及ぼすことでしょう。強い不安を感じたり、気持ちが落ち込んでしまったりした場合は周りの人に相談するか、主治医やがん相談支援センターに相談し、適切なケアを受けることを意識しましょう。
医療社団法人小磯診療所 理事長
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