めまい

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最終更新日:
2024年09月12日
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2024/09/12
更新しました
2018/08/24
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医師の方へ

概要

めまいとは、体の平衡感覚(体のバランス感覚)に異常を感じる状態のことです。症状の感じ方には個人差があり、目が回る、天井がグルグルする、フワフワする、目がくらむ、クラっとする(立ちくらみ)、目の前が暗くなるなど人によってさまざまな表現で表されます。

めまいの原因は多岐にわたりますが、耳の中(内耳)に問題があるケースが6割といわれています。そのほか脳の病気やそのほかの部位の異常が原因で発症するめまいがあります。

めまいの病気で頻度が高いのは良性発作性頭位めまい症とメニエール病です。良性発作性頭位めまい症は、寝返りや起き上がったときなど頭の位置を変えたときに突然めまいが起こります。通常数秒から数十秒程度で自然と治りますが、何度も繰り返し起こることがあります。一方、メニエール病はめまいに加えて耳鳴り、耳閉感(耳が詰まった感じ)、難聴などの症状を伴います。めまいは数分から数時間続くことがあり、良性発作性頭位めまい症よりも長時間持続するのが特徴です。めまいの頻度や程度は個人差が大きく、ストレスや疲労などが引き金になることがあります。

脳の病気が原因のめまいには、脳梗塞(のうこうそく)脳出血脳腫瘍(のうしゅよう)などがあります。これらの病気では、めまいだけでなく、激しい頭痛、ろれつが回らない、手足の麻痺やしびれなどの神経症状を伴うことがあります。このような症状が突然現れた場合は、緊急の治療が必要となるため、直ちに医療機関を受診することが重要です。

めまいの治療は原因によって異なります。良性発作性頭位めまい症では、特定の位置に頭を動かす浮遊耳石置換法が行われます。メニエール病に対しては生活指導や抗めまい薬などの薬物療法が主に行われます。また、予防や再発防止のためには、規則正しい生活習慣の維持、ストレス管理、適度な運動が重要です。

めまいは多くの方が経験する一般的な症状ですが、持続したり頻繁に起こったりする場合は早めに医療機関を受診するようにしましょう。

原因

めまいの原因はさまざまですが、大きく分けて耳、脳、その他の部位の3つに分けられます。

耳の病気

耳の病気はめまいの主な原因の1つです。耳の奥にある内耳や平衡感覚をつかさどる器官(三半規管)に問題が生じてめまいを引き起こします。代表的な耳の病気は以下のとおりです。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症は、頭の位置を変えたときに突然短い間めまいが起こる病気です。起き上がる、上下を向く、しゃがむなどの動作により、数秒から数十秒のめまいが生じます。内耳の耳石器*にある小さな結晶(耳石)が剥がれ落ち、三半規管に入り込むことが原因と考えられています。頭を動かすと、この耳石が三半規管内で動き、それが異常な刺激となってめまいを引き起こします。

*耳石器:内耳に存在し、平衡感覚をつかさどる重要な器官。耳石器にある耳石が動くことで体の傾きを感知し、脳に伝達している。

メニエール病

メニエール病とは、周囲がグルグル回って見える回転性めまいの発作が生じる病気です。めまいのほか、耳鳴り、耳閉感、難聴の症状を伴う発作を繰り返すのが特徴です。内耳にリンパ液が過剰にたまる”内リンパ水腫”を起こすことが原因で発症します。発症の引き金としてストレスや過労、睡眠不足などが考えられています。

前庭神経炎

前庭神経炎は、突発的に吐き気や嘔吐を伴う激しい回転性めまいが起こる病気です。体のバランス維持に関わる前庭神経に炎症が起こることで発症します。主な原因はウイルス感染といわれていますが、詳細は明らかになっていません。めまいは1日以上~数日間と長時間続くことが多く、難聴や耳鳴りなどの聴覚症状は伴いません。めまいの後にふらふら感を伴う歩行困難がしばらく続くことがあります。

めまいを起こす脳の病気

めまいは脳の病気が原因で起こることがあります。主な病気としては、脳の血管が詰まる脳梗塞や脳の血管が破れて出血を起こす脳出血くも膜下出血があげられます。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まる病気です。血管が狭くなる動脈硬化や脳や心臓でできた血栓(血の塊)が脳の血管を塞ぐことが原因となります。血管が詰まると、その先の脳細胞に十分な血液が届かなくなり、酸素や栄養を受け取れなくなります。これにより、脳の一部が死滅し、脳の機能に障害が生じます。高血圧糖尿病喫煙脂質異常症などが危険因子となります。症状は突然現れることが多く、めまいのほか、体の片側の麻痺、言葉が出にくくなる、視野が欠けるなどの症状が現れることがあります。

脳出血

脳出血は、脳の血管が破裂して出血する病気です。主に高血圧が原因で起こり、血管壁が長期間の圧力に耐えきれずに破裂します。出血により脳組織が圧迫されると脳の機能に障害が生じます。突然の激しい頭痛やめまい、意識の消失、麻痺などの症状が現れます。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳の表面を覆うくも膜と軟膜にある隙間(くも膜下腔)に出血が起こる病気です。主に脳の血管にこぶが形成される脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)が原因で発症します。なぜ脳動脈瘤ができるのかは分かっていませんが、高血圧や動脈硬化などの病気が関与しているといわれています。突然の激しい頭痛、めまい、嘔吐、手足の麻痺、視力の異常、意識の消失などの症状が特徴的です。

その他の部位の病気

血圧に異常が生じたり、脳の血流が低下したりする場合もめまいの症状が起こることがあります。具体的な例は次のとおりです。

など

症状

めまいは人によってさまざまに表現されますが、めまいの症状は大きく分けて3つのタイプに分けられます。

回転性めまい

自分や周囲が回転しているように感じるめまいです。目が回る、グルグル回る、体の片側が引っ張られるなどの感覚が現れます。主に内耳に障害が起こる良性発作性頭位めまい症、メニエール病前庭神経炎で起こります。

浮動性めまい

体が宙に浮いているような、ふわふわする感覚になるめまいです。足元がふらつく、床がグラグラするなどの症状がみられます。さまざまな病気が原因となりますが、内耳の病気に加えて脳の病気や心因性のめまい、薬の副作用などでも起こります。

失神性めまい

突然意識を失いそうになる、または実際に倒れてしまいそうな感覚を伴うめまいです。目の前が真っ暗になる、立ちくらみのような症状が現れます。血圧や血糖の低下を起こす病気や薬、脳の血流が減少する病気などが原因で起こることがあります。

危険なめまい

頻度は高くありませんが、めまいの中には脳の病気のサインであることがあります。浮動性めまいは、脳梗塞脳出血などの脳の病気を示唆することが多いといわれています。しかし、急に発症した場合は回転性めまいも起こる可能性があります。脳の病気によるめまいの場合、突然発症し、激しい頭痛、手足のしびれや麻痺、呂律が回らない、物が二重に見えるなどの症状が現れるのが特徴です。そのほか、手足に力が入らない、ふらふらして立ち上がれないなどの症状がみられることもあります。急激なめまいに加えて、これらの症状が見られる場合は、脳の病気の可能性があります。命に関わることもあるため、すぐに医療機関を受診することが重要です。

検査・診断

めまいで病院を受診すると次のような検査が行われます。

問診

めまいの発症時期や持続時間、誘因、めまいの他に伴う症状などを詳細に聴取します。既往歴や家族歴、服用中の薬についても確認し、めまいの原因を調べます。

聴力検査

聞こえの程度を調べる検査です。どの程度の音の大きさで音を聞き取れるかを調べます。

平衡機能検査

体のバランスを保つ機能(平衡機能)を調べる検査です。めまいの原因が体のどこの部位にあるのか、めまいの程度を調べるのに役立ちます。以下のような検査が行われます。

重心動揺検査

開眼時と閉眼時で体の揺れ具合を比較する検査です。

眼振検査

眼振は、眼球が揺れているようにみえる目の不規則な動きのことです。めまいがあると多くの場合眼振が生じます。特定の動作や状態での目の動きを観察して、眼振の有無を確認します。

前庭誘発筋電位検査(VEMP)

耳石器の機能を調べる検査です。音や振動で耳石器を刺激し、首の筋肉(胸鎖乳突筋)の反応を筋電図で記録します。

画像検査

頭部CT検査、頭部MRI検査、内耳造影MRI検査などが行われます。脳の血管の状態や内耳のむくみなどを調べます。脳の病気やメニエール病を診断するのに有用な検査です。

その他

必要に応じて貧血を確認する血液検査、高血圧低血圧を調べる血圧検査などを行うこともあります。

治療

めまいの治療は原因や症状の程度によって異なります。代表的な病気の治療は以下のとおりです。

良性発作性頭位めまい症

自然に軽快することも多いですが、症状が強い場合は耳石を三半規管から取り除く浮遊耳石置換法を行います。耳石置換法では頭を特定の角度に動かすことにより、耳石を正しい位置に戻すことができます。

メニエール病

治療では、まず薬物療法や生活習慣の見直しを行います。薬物療法では、内耳のむくみを軽減する利尿薬、めまいや吐き気を抑える抗めまい薬が使用されます。また、ストレス管理や休息の確保も重要な要素です。十分な睡眠、規則正しい生活リズム、適度な運動などが推奨されています。

薬物療法で症状が改善しない場合は中耳加圧療法を行います。中耳加圧療法では、特殊な装置を使って耳の中の圧力を調整し、内耳のリンパ液の流れを改善します。これらの治療を行っても効果が得られない場合は、余分な内リンパ液を排出する手術が検討されます。

前庭神経炎

治療の中心は薬物療法で、めまいや吐き気を抑える薬と神経の炎症を抑えるステロイドが主に使用されます。急性期の症状が落ち着いた後にふらつきなどの歩行障害が続く場合は、前庭リハビリテーションが行われます。これは、めまいやふらつきに対する脳の順応を促し、バランス機能の回復を助ける運動療法です。頭部を動かす運動やバランスを保つ訓練などが行われます。

脳血管障害

脳梗塞脳出血など脳血管障害が原因のめまいは、緊急の治療を要します。脳梗塞の場合、血栓溶解療法や血管内治療が主な選択肢となります。前者は血栓を溶かす薬を投与し、後者はカテーテルを用いて血栓を直接除去します。脳出血では、まず血圧や脳圧を下げる薬を用いた薬物療法が行われます。出血が多い場合や薬物療法で効果が得られなかった場合は、出血によって溜まった血液を取り除く手術が選択されます。急性期を脱した後は、手足を動かす、歩くなど日常生活に必要な動作の訓練を行い、体の機能回復を目指したリハビリテーションが行われます。

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