院長インタビュー

地域の皆さんから信頼され、大切な人を紹介していただける病院を目指す洛和会音羽病院

地域の皆さんから信頼され、大切な人を紹介していただける病院を目指す洛和会音羽病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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京都市山科区にある洛和会音羽病院は、地域の医療機関と密接な連携をとりながら、急性期を中心に患者さんに適した医療を一貫して提供しています。救急診療やがんの薬物療法などに取り組む同院の診療体制と地域における役割について、院長の神谷 亨(かみや とおる)先生に伺いました。

当院は、京阪四宮駅から徒歩約10分の距離に位置しており、またJR・京阪・地下鉄の3つの路線が交差する山科駅からは、巡回バスが運行しているためアクセスが良好です。

1980年に洛和会の矢野宏前理事長によって開設された当院は、地域の急性期から慢性期にわたる医療を支える中核的な病院として、長年にわたり尽力してきました。設立当初から地域医療の充実を目指すとともに、若手医師の育成にも力を注ぎ、地域医療の発展に貢献しています。

当院は548の病床、45の診療科を有しており、さまざまな病気に対して幅広く治療を提供するほか、救命救急センターや消化器内視鏡センター、透析センターなど付属のセンターを併設し、より専門的な治療を行います。

また、当院では患者さんの体への負担が少なく、安全性が高いとされる低侵襲手術を実施しており、手術支援ロボット・ダヴィンチを使用した手術も近年行っています。

当院は民間病院としては近畿地方で初めて、 重篤な患者さんを24時間体制で受け入れる三次救急医療機関である“救命救急センター”の指定を受けました。当院では救急専用病棟を設けて救急体制の強化と円滑化を図るとともに、地域の救急医療の中核的な施設としての役割を担うべく、防災活動やドクターカー搬送なども積極的に行っており、子どもから成人、高齢者まで突然の胸痛発作や発熱、交通事故などによる多発外傷や心肺停止症例など、重症度や病気の特殊性にかかわらず、さまざまな救急疾患を扱っています。

当院の救急の特徴は、救急担当医が全診療科の救急疾患の初療に関わり、各診療科の医師と連携した救急診療を行うER型救急診療を実践していることです。これによって従来よりも多くの患者さんを、より適切に診る救急ができるようになりました。また、24時間365日、循環器内科医が病院に常駐しており、循環器救急に迅速に対応して狭心症心筋梗塞に対する心臓カテーテル治療を積極的に行っています。

当院に救急車で搬送された患者数は年間約6,600人(2023年度)で、高齢化に伴ってその数は徐々に増えている状況です。今後も当センターが目指す”患者さんの立場に立った救急”の実現に向けて、どんな病態でも対応できる柔軟な救急診療を心がけ、救急診療の質の向上を図っていく所存です。

がんの治療法は手術療法、化学療法(抗がん薬療法)、放射線療法の大きく3つの治療法があり、これらを組み合わせた治療法を集学的治療と呼びます。なかでも化学療法は近年、分子標的治療や免疫療法などで用いる新しい薬剤が登場し、目覚ましい進歩を遂げました。そこで当院では3大療法による集学的な治療をベースに、より個別化された化学療法を実践しています。具体的には、腫瘍内科と外来治療センターを中心に、胃がん肺がん乳がんなどの固形がんに対してがんの遺伝子解析を用いた個別化治療を行っており、昭和大学で腫瘍内科学教授を務められた外来治療センター長の佐々木康綱先生を中心に、大学病院にも劣ることのない新しい治療法を駆使したがん治療を提供しています。

また、痛みや精神的な苦痛に対しても緩和ケア内科が神経精神科などと連携し、包括的なサポートを行っています。当院では緩和ケアを“がんと診断されたとき”から開始します。多職種からなるチームが身体的な苦痛、精神体な苦痛を和らげるようサポートをさせていただくとともに、当院に14床ある緩和ケア病棟での入院治療、洛和会音羽リハビリテーション病院や地域の開業医の先生方と連携した在宅での緩和ケアにも取り組み、患者さんやご家族のご希望になるべく添えるよう尽力しています。

当院では、できるだけ患者さんに負担がかからない方法で治療を提供しています。その例の1つとして、手術支援ロボットの積極的な導入を挙げることができるでしょう。

当院では2022年から内視鏡手術支援ロボット“ダヴィンチ”を用いた低侵襲(体への負担が少ない)手術を行っています。ダヴィンチによる手術は、従来の手術する部位を直接目で見てがんを取り除く開腹手術などに比べて、患者さんへの体の負担が少ない特徴があります。また、数カ所の小さな切開部から手術を行うため、傷が小さく出血を抑えられ、手術後の回復も早いこともメリットです。

現在、当院では泌尿器科や産婦人科の手術、直腸がん・結腸がんの手術で手術支援ロボット・ダヴィンチを積極的に活用しており、今後ますます活躍の範囲を広げていく予定です。

当院は患者さん一人ひとりの病状に応じた医療を提供するために、チーム医療に積極的に取り組んでいます。多職種の専門職が連携し、患者さんを全方位的にサポートする体制を取り入れています。たとえば、当院では以下のような4つのチーム医療を行っています。

1つ目は、すでに紹介した緩和ケアを行うチームです。このチームでは、治療過程での心身のつらさを少しでも和らげることに注力しており、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、公認心理師などの多様な専門職が連携し、定期的に病棟を回診しています。また、緩和ケア外来では患者さんやご家族に寄り添いながら痛みや不安を軽減するための支援を行っています。

2つ目は栄養サポートチームです。このチームでは、病気や手術などで食事量が低下し低栄養嚥下(えんげ)機能が低下した患者さんに対して、栄養状態を評価し、必要な栄養管理を主治医に提案することで、患者さんの栄養回復を支えます。

3つ目は認知症ケアサポートチームです。高齢者のなかには、認知症と骨折肺炎などの何らかの身体疾患を併せ持つ患者さんが増加しています。このチームでは、そのような患者さんが安心して療養できるよう、専門的なサポートを提供し、日常生活の質を維持・向上させる取り組みを行っています。

4つ目は化学療法チームです。このチームは腫瘍内科にあり、分子標的薬、内分泌療法薬、免疫チエックポイント阻害薬などのがん治療の新しい薬物療法を行っています。チームは医師や看護師、がん相談センターのソーシャルワーカーや管理栄養士、薬剤師などで構成され、チームのメンバーが持ち寄った情報をもとに一人ひとりのがん患者さんに適した薬物療法を選定し、チーム全体で治療方針を決定しています。

このように、当院では多職種の専門家が連携し、患者さんの多様な医療ニーズに応えるための包括的なケアを提供しています。

当院は、“地域から信頼され、大切な人を紹介できる病院へ”というビジョンを掲げています。我々はビジョンの実現に向けて、“地域の皆さんから信頼される病院にするためにはどうすればよいか?”を日々考えながら治療を行っています。そのためには、単に質の高い医療を提供するだけでなく、患者さん一人ひとりに寄り添い、心のケアを大切にすることが不可欠だと考えています。

また、当院では職員の教育にも力を入れており、“この人と働きたい”と思われるような人材の育成に努め、全てのスタッフが成長し、働きがいを感じられる病院づくりを目指しています。

さらに当院は、地域の方々に健康についての情報発信を行い、私達を知っていただくための広報活動にも熱心に取り組んでいます。洛和会の公式SNSのアカウントは100以上あり、その一部はこちらからご覧いただけます。このような取り組みを評価していただき、2024年には“病院広報アワード”で洛和会の矢野裕典理事長が大賞を受賞しました。

当院はこれからも地域の皆さんの健康と幸福を第一に考え、どんな時でも頼りにしていただける存在であり続けるために、これからも全力で尽力してまいります。

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