院長インタビュー

がん診療を中心に、高度な医療提供で中河内地域を支える ――八尾市立病院

がん診療を中心に、高度な医療提供で中河内地域を支える ――八尾市立病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

目次
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大阪府八尾市龍華町に位置する八尾市立病院は、中河内地域のニーズに応えながら、がん診療を中心に幅広い医療を提供している病院です。同院の地域における役割や今後について、総長の田村 茂行(たむら しげゆき)先生に伺いました。

病院外観(八尾市立病院ご提供)
病院外観(八尾市立病院ご提供)

当院は、1948年に日本医療団八尾病院(八尾町西郷)として開院しました。1950年に八尾市南太子堂へ移転後、1953年に八尾市立病院となり、大阪府八尾市の公立病院として地域の皆さんの健康を支えてきました。2004年にはJR久宝寺駅を中心とした大阪竜華都市拠点地区へ新築移転を果たし、現在、病床数380床と27の診療科を備え、がん診療を中心とした高度な医療を提供しています。

当院の診療科は多岐にわたり、内科、消化器内科、循環器内科、血液内科、消化器外科、呼吸器外科、乳腺外科、整形外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、形成外科、産婦人科、小児科などを備えています。また、臨床研究センター、緩和ケアセンター、内分泌代謝・糖尿病センター、内視鏡センター、通院治療センター、がん相談支援センターなどのセンター部門も開設しており、地域の皆さんの健康を支えるために日々努力と工夫を重ねています。

外来待合(八尾市立病院ご提案)
外来待合(八尾市立病院ご提案)

当院は、2009年に大阪府がん診療拠点病院、2015年に地域がん診療連携拠点病院に指定されており、がん診療に力を入れて取り組んでいます。消化器外科、乳腺外科、呼吸器外科、泌尿器科などを中心に手術、化学療法、放射線治療の三本柱をはじめ幅広い治療に対応が可能です。

また、新しい医療機器の導入も積極的に実施しており、放射線治療科では2016年に放射線治療装置を更新し、IMRT(強度変調放射線治療)や定位照射(ピンポイント照射)などの高精度照射が可能となりました。さらに2021年には、手術支援ロボット“ダヴィンチ”を導入しており、前立腺がん大腸がん胃がん肺がんなどに対し、より低侵襲(ていしんしゅう・体への負担が少ない)な治療を提供できる体制が整いました。

また、緩和ケアセンターやがん相談支援センターを設置しており、治療だけでなく患者さんの心や生活面での支援にも取り組んでいます。

緩和ケアセンターでは、多職種からなる“緩和ケアチーム”が、入院中の患者さんやご家族の心身のつらさを和らげる治療や、社会生活、家族のサポートなどをメインに行っています。日本緩和医療学会認定の緩和医療認定医が在籍しているほか、日本看護協会認定のがん看護専門看護師、乳がん看護認定看護師、がん放射線療法看護認定看護師が在籍し、多職種が連携して患者さんのケアにあたっています。

がん相談支援センターでは、患者さんはもちろんそのご家族や知人、医療関係者などが抱える、がんに関するさまざまな悩みについてご相談をお受けしています。アピアランス(外見)ケアやAYA世代(思春期・若年成人)のがん、がん治療と妊娠・出産、そして就労支援などについてのご相談もお受けしているので、治療に関すること以外でもお気軽にご相談ください。

消化器外科(上部消化管グループ)では、食道がんや胃がんの手術を受ける患者さんに対し、術前術後の流れや治療において重要なポイントをお伝えする冊子『スマイルライフ』をお渡ししています。術前や術後の経過はもちろん、日常生活の注意点や食事についてなどの情報も載っています。現在、他の診療科でもこうした冊子の作成を進めており、ご自身の受ける治療についてより理解を深めていただき、少しでも安心して治療に臨んでいただければと考えています。

整形外科では、変形性膝関節症や膝関節骨壊死症に対する治療を得意としており、変形した関節を人工関節に取り換える人工膝関節全置換術を実施する一方で、関節を温存できる高位脛骨骨切り術にも対応しています。活動性(運動や仕事)や膝関節の変形の程度を評価して、患者さん一人ひとりに合わせた治療方針を決定しています。

また、上肢・手外科関連の手術実績が多く、2019年より日本手外科学会認定基幹研修施設となっています。骨折をはじめとする外傷や炎症疾患、変形性関節症、絞扼性末梢神経障害など幅広い疾患に対応が可能です。そのほかにも、高齢化に伴い需要の増えている脊椎外科や、スポーツ障害・関節障害などの診療も得意としています。

循環器内科では、狭心症心筋梗塞心不全不整脈などの循環器疾患に対応しており、通常の外来に加え24時間体制で救急業務を担っています。また、心臓リハビリテーションも実施しており、治療を終えた後の社会復帰を目標としたサポートも可能です。

当院は、地域医療支援病院の承認を受けており、かかりつけ医をはじめ地域の医療機関と連携を取りながら診療を行っています。よりスムーズで適切な医療提供のため、“病診薬連携システム(病院・診療所・薬局連携ネットワークシステム)”を構築しており、患者さん同意のもと、他の医療機関や薬局との診療情報などの共有を行っています。

当院では、地域の中学校や高校で実施される『がん教育』に参加しています。医師や看護師が実際に学校を訪問し、がんについて授業をするというものです。防災などに備えるのと同じように、がんについても正しい知識を持ち、正しく恐れることが大切です。早期発見の重要性や、タバコやお酒の影響などについてもお話ししているので、生徒さんだけでなく一緒に住むご家族にも知識が広まることを期待しています。また、手術支援ロボットの写真や動画を見てもらうこともありますので、この授業を通して医療に対する興味を持ったり、医療関係の進路を選んでくれたりするきっかけとなれば嬉しいかぎりです。

八尾市立病院の患者さんは現在、3割以上が75歳以上となっており高齢の患者さんが非常に多くなっています。今後ますます増えていくことが予測されますので、高齢の方にいかに安全な医療を提供できるかというのは、大きなポイントとなるでしょう。

高齢者医療を支えていくため、糖尿病や代謝疾患、前立腺疾患、骨粗しょう症などの治療や二次骨折の予防などにもすでに力を入れて取り組んでいますが、地域医療のニーズを汲みながら少しずつ求められる医療体制を構築していければと考えています。

引き続き、地域の皆さんに高度で良質な医療を提供できるよう努めてまいりますので、変わらぬご理解・ご支援をよろしくお願いいたします。

*医師や提供している医療についての内容および、本文中の数字に関する情報は全て2026年2月時点のものです。

 

 

 

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