指の腫れ:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
強くぶつけた、虫に刺されたなど、理由がはっきりしている指の腫れもありますが、時には何も心当たりがないのに腫れを感じ、不安になることもあるのではないでしょうか。
このような指の腫れに病気が関係していることもあります。
指の腫れの原因となる病気には、主に以下のようなものが考えられます。
関節リウマチとは、滑膜と呼ばれる関節を覆っている膜に炎症が起きる自己免疫疾患の1つです。30~50歳代の女性に多いと言われています。主な症状は、関節の痛み、腫れ、こわばりなどです。関節リウマチは全身のどの関節でも起きますが、手首や手の指の関節に起きることが多いと言われています。
痛風とは、結晶化した尿酸が原因で起きる関節の炎症です。男性や閉経後の女性に多いと言われていましたが、若い人でも過食などによる肥満が原因で痛風になることがあります。痛風の症状は、前兆として違和感やむずむずした感じから始まり、次第に痛み、腫れ、熱感などの症状が出るでしょう。痛みは強く、日常生活が困難になることもあります。
へバーデン結節とは、手の指の第一関節が変形する病気です。主な症状は、関節の痛み、腫れ、変形、指の動きが制限される、水ぶくれができるなどで、変形が爪にまでおよぶ場合もあります。ゆっくりと症状が進み、痛みがない人もいれば、急激に進行して痛みを伴う人もいます。
ブシャール結節とは、手の指の第二関節が変形する病気で、ヘバーデン結節に合併して起きることもあります。主な症状はへバーデン結節とほぼ同じで、痛み、腫れ、変形、指の動きの制限、水ぶくれなどです。最初はものをつかんだりしたときに、次第に何もしなくても痛みを感じるようになります。
母指CM関節症とは、親指の付け根部分にあるCM関節が変形する病気です。40代以降の女性に多い傾向にあります。主な症状は、痛み、ものをつまむなどの動作が困難になるなどです。進行すると、CM関節が膨らんで開きにくくなるでしょう。母指のばね指や手根管症候群を合併することもあります。
骨折、打撲、脱臼など、外傷が原因で指が腫れることもあります。
骨折とは、外部からの刺激により骨にひびが入ったり骨が折れたりすることです。主な症状は、痛み、腫れなどですが、骨折により神経が刺激されると、脱力やしびれなどが起きることもあります。また、骨折により出血した場合、後日あざができるでしょう。
打撲とは、転倒などが原因で、筋肉などが損傷することです。主な症状は、腫れ、痛み、熱感、内出血などで、強く打ち付けた場合には骨折を伴うこともあります。
脱臼とは、関節が部分的、または完全に外れることです。主な症状は、痛みと腫れ、脱臼部分の動きが抑制されるなどで、脱臼の状態によっては変形することもあります。
血管性浮腫とは、何らかの原因で皮膚が腫れることをいいます。蕁麻疹にも似ていますが、蕁麻疹が赤みやかゆみを伴い数時間で消失してしまうのに対し、血管性浮腫は赤みやかゆみがないことが一般的で、腫れが治まるまでに1~3日程度かかったり、しばしば症状を繰り返したりすることなどが特徴です。また、血管性浮腫と蕁麻疹が併発することもあります。
血管性浮腫には、治療薬の服用による薬剤性血管性浮腫やアレルギーによるアレルギー性血管性浮腫、寒さや日光など物理的な刺激による血管性浮腫などさまざまな種類があります。
さらに、頻度は低いものの先天性の遺伝子変異が原因で起こる遺伝性血管性浮腫(HAE)や自己抗体などが生じることによって起こる後天性血管性浮腫(AAE)などもあります。
腫れがなかなかおさまらない場合や、変形、痛み、動かしにくさなどを伴う場合には早めに受診した方がよいでしょう。そこまで強い症状ではない場合であっても、腫れが続く、腫れを繰り返す、様子を見ていてもよくならないなどの場合には、血管性浮腫などの思わぬ病気が隠れている可能性があるため、一度最寄りの医療機関を受診しましょう。受診科目は整形外科が適しています。
医師に伝えるとよいポイントとしては、いつから腫れが起きたのか、腫れの原因となる心当たり、腫れ以外の症状などです。
日常生活上の原因によって指の腫れを引き起こすことがあります。
湿疹やかぶれ、熱傷など、日常生活上の原因によって皮膚トラブルを起こし、指が腫れてしまうことがあります。
湿疹やかぶれは水仕事の多い美容師や理容師などの職業のほか、家事をする方にも生じることがあります。水や洗剤によって皮膚がかぶれ、指先や指の腹に小さなブツブツができたり、赤くなったりすることがあります。また、悪化すると皮が剥け、ひび割れやただれを伴うケースもあります。
熱傷は熱によって皮膚や粘膜が障害される外傷の一種で、調理中に直接火に触れてしまったり、熱いお湯に触れたりして生じることがあります。また、ホットプレートやアイロン、ストーブなどに接触することなども原因になります。なお、高温のものであれば短時間の接触でも熱傷を起こしますが、比較的低温(44~50℃)のものに長時間接触することでも“低温熱傷”の原因になります。
手湿疹やかぶれを予防するためには、原因となる刺激物質を避け、手指の乾燥を予防することが重要です。手の洗い過ぎを避け、食器洗いなどをする際は手袋を着用することも効果的です。また、水に触れた後は水分をしっかり拭き取り、クリームなどで手指を保湿しましょう。
熱傷の予防には、暖房器具や火の取り扱いに十分気を付けることが重要です。揚げ物をする際には腕カバーを着けたり、ヒーターなどを柵で囲ったりすることも熱傷の予防に効果的です。また、湯たんぽや使い捨てカイロを直接皮膚に当てたり就寝時に使用したりすると低温熱傷を起こすことがあります。湯たんぽは就寝時には使用しないようにし、使い捨てカイロは衣類の上から肌に当てるようにしましょう。
原因によってはなかなかよくならず、皮膚トラブルによる指の腫れが慢性化するケースもあります。このような場合には自己判断でクリームや軟膏などを使用せず、皮膚科を受診し医師の診察を受けましょう。