【院長インタビュー】

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市民と患者さんと地域目線で医療を行う-市立大津市民病院の取り組み
地方独立行政法人市立大津市民病院(以降、市立大津市民病院)は、大津市を中心に各種専門的医療や救急医療、地域医療などを手がける公立病院です。理事長および院長の片岡慶正先生は、同院を「市民とともにあ...
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市民と患者さんと地域目線で医療を行う-市立大津市民病院の取り組み

公開日 2018 年 09 月 18 日 | 更新日 2018 年 09 月 18 日

市民と患者さんと地域目線で医療を行う-市立大津市民病院の取り組み
片岡 慶正 先生

地方独立行政法人 市立大津市民病院 理事長 兼 院長

片岡 慶正 先生

目次

地方独立行政法人 市立大津市民病院(以降、市立大津市民病院)は、大津市を中心に各種専門的医療や救急医療、地域医療などを手がける公立病院です。理事長および院長の片岡慶正先生は、同院を「市民とともにある健康・医療拠点」とするために、さまざまな独自の取り組みを行っています。

市立大津市民病院が手がける診療と特徴、病院設備や独自の取り組みなどについて、片岡先生にお話を伺いました。

市立大津市民病院の診療と特徴

公立病院だからこそ提供可能な医療の幅を広げる

病院全景(市立大津市民病院よりご提供)

医療に対するニーズは、高度かつ複雑なものになっています。当院は地域の健康と医療を預かる公立病院として、一人でも多くの方のご要望に応えられるよう、地域にお住まいの方に提供できる医療の選択肢の幅を広げてきました。

たとえば、医療技術の進化や平均寿命の延伸などによって、がんは珍しい病気ではなくなりました。当院では、病気の診断、体にかかる負担をなるべく抑えた低侵襲治療、リハビリテーションなどの社会復帰へ向けたトレーニングなど、シームレスな診療を提供可能な体制を構築しています。

外科領域

チーム医療による回診風景(市立大津市民病院よりご提供)

外科、消化器外科では、食道から腸管までの消化器と肝臓・胆のう・膵臓に生じたがん、胆石症や食道アラカシアなどの良性疾患、ヘルニア、痔などを手術で治します。特に、患者さんの体にやさしい低侵襲の鏡視下手術が得意です。がんは病気の進行が早まることも多いため、診断がつき次第、手術、抗がん剤による化学療法、放射線療法による治療スケジュールを組みます。

乳腺外科では、年々増加する乳がんに対し、病気の性質や進行度のみでなく、乳房温存など患者さんの要望を治療に反映できるよう努めています。当院では形成外科との連携による乳房再建術を2013年より開始しています。

呼吸器外科は、肺や隣接する縦隔などの組織に生じた異常を診療する診療科で、肺がんや他部位からの転移性肺腫瘍のほか、膿胸や気胸などの良性疾患を治療しています。呼吸器外科でも胸腔鏡などを使用する低侵襲治療を実施しており、体に負担の少ない治療をつうじて早期の退院と社会復帰を実現しています。

泌尿器科

泌尿器科では、前立腺、腎臓、膀胱などのがんや、前立腺肥大症、尿路結石、尿失禁などの良性疾患の治療を手がけています。

当院では内視鏡手術支援ロボット『ダヴィンチ』を導入しており、前立腺がん、腎がん、膀胱がんのロボット支援手術において、健康保険適用を受けています。

泌尿器の病気は、たとえ良性のものであっても家族や周囲の方に相談しにくく、ときに生活の質低下を招くこともあるため、内服薬による治療から手術まであらゆる選択肢の中から患者さんそれぞれに適した治療方法をご提案しています。

脳神経外科

脳神経外科では、脳卒中から顔面けいれんや三叉神経痛までさまざまな診療をしています。特に、脳卒中の患者さんは救急車で搬送されてくることが多く迅速な対応が必要なため、脳卒中センターで24時間対応可能な体制を整備しています。

また当院は、脊椎や脊髄の病気も治療できる病院としても知られており、頚椎椎弓形成術や腰椎手術、椎体形成術、脊柱固定術などの手術も行っています。

リハビリテーション

患者さんの1日でも早い社会復帰を実現するため、当院ではリハビリテーションにも注力しています。

一般的にリハビリテーションとは、脳血管の病気、骨折後など運動器の病気、体を動かさないことで生じる廃用症候群などへのリハビリテーションを指すことが多いです。当院ではさらに、心臓の病気に伴う心臓リハビリ、がんリハビリ、慢性閉塞性肺疾患の呼吸器リハビリ、言語リハビリなどに細分化して、患者さんが抱える病気と健康状態などに応じたリハビリテーションを行っています。

また、小児専門の理学療法士を配した小児訓練室を併設しており、発達遅延や脳性麻痺、ダウン症候群などの子どもに対して、積極的にVojta(ボイタ)訓練や発達援助を行っています。

救急医療

当院では、とまらない救急を目指して「ERおおつ」が北米ER型救急を展開、救急診療科の医師が中心となって病気の診断や重症度・緊急度の判断、処置、入院の決定など、救急医療と総合診療を一体化させたオールラウンドな診療を展開しています。必要に応じてICU(集中治療室)、救急病棟、重症観察室、一般病棟に入院していただき、早期の退院と社会復帰を目指します。

市内で発生した救急搬送を多く受け入れていたこともあり、大津市消防局のステーション的機能を担いドクターカー運行にも関わるようになりました。現在では大津赤十字病院、滋賀医科大学医学部附属病院の市内3病院で共同運行を行っています。

市立大津市民病院の病院設備や独自の取り組みなど

内視鏡手術支援ロボット『ダヴィンチ』の導入

内視鏡手術支援ロボット『ダヴィンチ』による手術の様子(市立大津市民病院よりご提供)

当院では、内視鏡手術支援ロボット『ダヴィンチ』を導入しています。ダヴィンチは腹部を数センチ切って内視鏡や鉗子を挿入して手術を行います。通常の開腹手術に比べ体にメスを入れる量が少なく、手術中の出血や手術後の痛みが少ないのが特徴です。また、医師はモニターを見ながらロボットを操作するため、体内の様子を詳しく観察できるうえブレを軽減した手術を行うことができます。

ダヴィンチを使用した手術で健康保険の適用が認められていたのは、腎臓がんや前立腺がんなどごく一部に限られていました。しかし、2018年に健康保険適用範囲が拡大されたことを受け、当院ではダヴィンチをはじめとして鏡視下手術をより多くの方に向けて提供できるよう尽力しています。

緩和ケアの先駆的チーム医療

緩和ケア病棟の様子(市立大津市民病院よりご提供)

地域からのニーズを反映して、県内で早い時期から緩和ケアを導入しています。

専門チームによる緩和ケアは、病気による心身の苦痛を軽減して患者さんの生活の質向上を図ることが目的で、当院ではがん治療を選択しない患者さんを対象に心身のケアや薬剤調整などを行います。心臓マッサージや気管内挿管など、苦痛緩和を目的としない処置は極力行いません。

患者さん向けサービスの充実

本館2階 外来フロア(市立大津市民病院よりご提供)

当院を受診される患者さんとご家族へのサービス向上の一環として、患者総合支援センターでの個別相談に加えて、診療待ちWEB確認システムや患者さん用Wi-Fiサービスを導入しました。診療待ちWEBシステムは、受付で発行したレシートにあるQRコードを携帯電話やスマートフォンで読み取ってもらい診察状況を確認することができます。患者さん用Wi-Fiサービスは、院内一部エリアで開放しています。

地域にむけた情報発信

患者さんや地域の皆さんに、医療や病気などに関心を持ってもらうことを目的に、市立大津市民病院大学・公開講座を開催しています。

親子参加の「病院体験・探検」イベントも開催しており、内視鏡を操作したりダヴィンチを間近で見学したりして、子どもにも向学心を植えるとともに「大きくなったら病院で働きたい!」と思ってもらえるきっかけづくりもしています。

また、2018年7月にはスマートフォンやタブレットに対応したホームページへと全面リニューアルし、見やすく、わかりやすい病院の情報発信に努めています。

市立大津市民病院の院内改革

「困ったときにちゃんと面倒を見てくれる病院」を作るために

医療機関には、急性期病院、地域医療支援病院などさまざまな分類方法、機能認可や指定があります。しかし、医療を必要とする市民の方々が知りたいのは、「自分や家族などが病気になったとき、親身に相談にのってくれて、しっかり面倒を見てくれる病院かどうか」ではないかと考え、病院のシステムを理解してもらうための努力を行いつつ、市民と患者さん、そして地域と同じ目線で医療を考えて提供する体制を構築しました。

職員との情報共有

外来患者数や病床稼働率などを職員一人ひとりに共有して、病院のリアルな状態を知ってもらい、病院の問題点や改善点などについて共有したり、積極的に議論したりできるようにしました。

デジタルデバイスを活用した診療情報の共有

タブレットを導入して、CTやMRIなど画像診断の結果を用いた遠隔画像診断システムの導入、各部署間による情報共有の円滑化を進めました。

タブレット活用によるリアルタイムでの情報共有が進んだことで、夜間や休日などでも研修医や若手医師と常勤の専門医師が連絡を取り合って診療できる体制が構築されたことに加え、検体提出方法や各種連絡事項を共有しやすくなり業務効率化などが進みました。

片岡慶正先生からのメッセージ

若手の医療従事者の方とお会いしたとき、先輩医師として、病院長として、「医療に携わる人として生きる以上、自分は社会に必要とされている人間だということを自覚してください。これまで周囲の方に支えていただいた分、これからは多くの方を支えられる人間になってください」とお願いしています。

当院は、大津市と周辺地域にお住まいの方の生活を医療の力で支える病院として、何ができるのか考え実践してまいります。医療でお困りのことや不安なことがあれば、いつでも当院にご相談ください。

長年、京都府立医科大学での消化器病学と消化器難病とくに難治性膵疾患の診療・研究に傾注し、厚生労働省難治性膵疾患調査研究班分担研究者として、急性膵炎および慢性膵炎の臨床診断基準と重症度判定基準の改訂、診療および治療指針の作成に参画してきた。
2010年から大津市民病院院長、2015年から滋賀県病院協会会長として地域医療の質向上と医療人材の育成に努めている。