院長インタビュー

開院以来の伝統を守りつつも必要とされる存在に進化し続ける筑波メディカルセンター病院

開院以来の伝統を守りつつも必要とされる存在に進化し続ける筑波メディカルセンター病院
軸屋 智昭 先生

公益財団法人筑波メディカルセンター 業務執行理事、筑波メディカルセンター病院 病院長

軸屋 智昭 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年02月20日です。

筑波メディカルセンター病院は、茨城県、茨城県医師会、周辺地域の医師会、筑波大学、筑波大学附属病院が力を合わせて開設した、公益財団法人筑波メディカルセンターが設置する病院です。同院は、急性期医療を行う病院として地域を支えつつ、地域住民の皆さんに「筑波メディカルセンター病院がなくなったら困る」と思われるような病院づくりを進めています。

同院設立の背景、医療に対する考え方と取り組みなどについて、公益財団法人筑波メディカルセンター業務執行理事・筑波メディカルセンター病院長の軸屋智昭先生にお話しいただきました。

病院外観
病院外観

公益財団法人筑波メディカルセンターの前身となる財団法人筑波メディカルセンターは、当時急速な人口増加が進んでいた茨城県南部および西部における救急医療体制充実と、1985年に開催された国際科学技術博覧会に対応可能な救急医療体制の構築のため、茨城県、茨城県医師会、筑波大学による協議の結果、設立されました。法人の中核的存在である病院事業は、1985年2月に業務を開始しました。

地域の救急医療体制充実を目標としていたこともあり、開院時から救命救急センターを有しています。また1990年4月には茨城県により地域がんセンターに指定され、茨城県におけるがん診療の拠点のひとつとしても認識されています。

病室(一例)
病室

当院にとって、救命救急医療とがん医療は二本柱ともいえる存在です。そのようななか、なにかひとつの内容に特化させるのでなく、すべての診療で平均以上のことができる病院づくりを目指し、つくば総合検診センター、在宅ケア事業、筑波剖検センター、茨城県立つくば看護専門学校など、医療のみでなく保健事業の運営も手がけています。

法人の公益性の高さや活動内容が認められたことにより、2012年4月には公益財団法人へ移行しました。

2階ICU

救命救急センターは、心停止や急性心筋梗塞など一般的な医療機関では対応が難しい重症患者さんや、救急救命士が特に重症と判断した患者さんを受け入れ治療しています。

当院の救命救急センターは、救急外来と重症治療室に分かれており、救急外来は、特に重症度の高い患者さんや入院治療が必要な患者さんを24時間体制で受け入れ、センター専属の医師が治療にあたっています。重症治療室は、各分野の医師が入院中の重症患者さんの治療を担当するといったように、センター内で役割分担をしているのが特徴です。

さらに、ドクターカーの運用とドクターヘリの受け入れも実施しています。2019年夏からは、県防災ヘリをドクターヘリ重複要請時に補完的に運用する予定です。

医師と看護師が搭乗して救急現場に出向き医療行為を行えるようになることで、当院を含む医療機関での救急対応がよりスムーズになりました。

緩和ケア病棟
緩和ケア病棟

当院は、県指定の茨城県地域がんセンター、ならびに厚生労働省指定の地域がん診療連携拠点病院です。茨城県地域がんセンターとは県が考案した地域分散方針にもとづくもの、地域がん診療連携拠点病院は厚生労働省が国内のがん診療の均てん化促進を目的として、それぞれ指定したものです。

当院では主に、胃がん前立腺がん乳がん肺がんなど、日本人に多いがんの治療を行っています。稀少がんや複雑で症例数が比較的少ないがんについては、筑波大学病院をご案内しています。

緩和ケアセンターでは、がん患者さんとご家族に対して、チーム医療による緩和ケアを提供しています。緩和ケアは、人生の最終段階における医療(終末期)に提供される医療と思われがちですが、病気による心身の苦痛緩和を目的としているため、どの種類・どのステージでも行われることが推奨されています。

注:2017年3月に厚生労働省 検討会において終末期医療から名称変更

循環器内科では、急性心筋梗塞、不安定型狭心症急性心不全などにより救命救急センターに搬送されたり、地域の医療機関からの紹介を受けた患者さんに対する治療を行っています。

当診療科では、冠動脈や末梢動脈に対する血管内治療、植え込み型除細動器やアブレーションによる不整脈治療も行っています。心臓血管外科との協働による心臓血管外科手術も随時実施されています。特に2017年からは、心臓弁膜症の一種である大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)も開始して、これまで手術が難しかった高齢の患者さん、脳血管や呼吸器に持病がある方も治療できるようになりました。

脳神経外科では、脳梗塞くも膜下出血、脳内出血などを発症した患者さんに対する脳神経救急医療、脳腫瘍、脊髄・脊椎疾患、高次脳機能障害摂食障害の診療を行っています。

交通事故で生じた重症の脳外傷に対しては、緊急手術、低体温治療、脳圧モニタリングなどによる集中治療を行い、全身の外傷に対しては外科や整形外科と協働で診療します。

容態が安定した患者さんや治療を終えた患者さんに対しては、地域の回復期リハビリテーション機能を持つ病院をかかりつけとしてご紹介しています。

脳神経外科で診療する病気は後遺症を残す場合もあるため、介護サービスや医療制度などを紹介して、患者さんやご家族の生活サポートも行っています。

当院では、外来診療と小児病棟での入院医療に対応しています。

外来診療では、食物アレルギー喘息糖尿病・内分泌などに対する診療、予防接種、小児救急外来を行っています。

小児救急外来では、重症かつ緊急度が高い子どもの患者さんを、24時間365日体制で受け入れています。2012年における都道府県別小児科医師数(15歳未満人口10万人対)で、茨城県は15歳未満人口10万人に対する小児科医の数が全国で最も少ないという結果が出たことを受けて、つくば市および周辺地域の医師会支援による共同利用型病院方式で医師会会員等の出務形式による診療を行っています。

地域医療支援病院とは、地域の方や患者さんに対する医療体制の確保とスムーズな提供を目的に、都道府県知事が承認する医療機関のことです。

地域医療構想と呼ばれる病院機能にもとづく分化と連携が全国で進んでいて、地域医療支援病院は、他の医療機関から紹介された患者さんの受け入れと治療、容態が安定した患者さんに対する地域医療機関への逆紹介、医療機器の共同利用、救急医療の提供、地域の開業医に向けた研修会の開催などを行うことで、その役割を果たしています。

当院は1999年3月に地域医療支援病院の承認を受けて以来、茨城県の南部と西部をカバーする病院として活動しています。

2010年10月に、入退院サポートステーション・SSさくら(以下、SSさくら)を開設しました。

SSさくらは、当院に入院される患者さんの入院・退院のスムーズ化を目的とした多職種連携を行う組織です。当院を受診される患者さんに対して、医師や看護師のみでなく、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなど多職種が部署の壁を超えて連携することで、入退院支援、療養病床支援、退院支援を行っています。

軸屋先生

当院は、地域の救急医療体制充実を目的として開設されたことや、茨城県内におけるがん診療の拠点のひとつとして診療を担ってきたことなどから、急性期医療を行う病院として地域の皆さんに認識されていました。

これまでの医療体制では、医療は1か所の医療機関で完結させることが主流でしたが、地域医療構想の導入が進み、今後は医療機関同士や地域そのものとの連携が重視されるようになると思います。

地域医療における当院のスタンスを見極めたうえで、2017年に最新の病院理念を「地域社会と連携・協働し、患者中心の医療を実践します」と定めました。これにより、当院だけでなく地域の医療機関や、医療ソーシャルワーカーなど地域で働く専門職の方たち、さらには地域社会そのものと、より連携を強めていきたいという、当院の姿勢を明確にできたと考えています。

当院の職員は、真面目で、患者さんにも医療にも誠実に向き合っていると感じています。このことは、地域の皆さんに親しんでいただける、開かれた病院づくりを目指す当院にとって、なによりの財産だといえるでしょう。

ご自身やご家族の健康で不安なことがあるときなど、皆さんの生活のなかで医療による助けが必要となったときには、当院にご相談ください。きっと何かしらの形でお力になれると思います。

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