くも膜下出血は、脳卒中のなかでも出血性脳卒中に分類され、生命の危険が大きい病気です。くも膜下出血後の生存率や後遺症の重さは、出血量や出血部位によって変わります。杏林大学 脳神経外科主任教授ならびに副院長の塩川芳昭(しおかわ よしあき)先生にくも膜下出血とは何か、発生しやすい部位についてお話しいただきました。
脳卒中は、脳の血管が詰まる場合(虚血性)と血管が切れる場合(出血性)に分けられます。なかでも太い血管にできたこぶ(動脈瘤・くも膜の下にある)が破れて、くも膜の下に出血が広がる病気をくも膜下出血と呼びます。一方、脳内出血は脳の内部へ血液を運ぶ細い血管が切れて、脳の中に出血する病気です。くも膜と脳との間(くも膜下)には脳の栄養血管である動脈が走り、保護液でもある脳脊髄液(無色透明の体液)が満たされています。
くも膜下出血は脳卒中全体の約1割程度です。しかし太い血管から出血するため一般的に出血の程度が強く、他の脳卒中と比べて生命の危険が大きい脳卒中として知られています。出血性の脳卒中では、出血量や出血部位によって死亡率や後遺症の重さが変わってきます。
厚労省によると、平成26年1年間の死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は11万4,207人で全体の9.0パーセントを占め、全死因の上位から4番目と報告されました。このうち、くも膜下出血で亡くなった方は1万2,662人(全体の11%)、脳内出血は3万2,550人、脳梗塞は6万6,058人、その他の脳血管疾患が2,937人でした。
くも膜下出血が起こりやすい部位は次のような脳底部にある太い血管の分岐部(枝分かれするところ)です。
● 前交通動脈瘤(ぜんこうつうどうみゃくりゅう)
● 中大脳動脈瘤(ちゅうだいのうどうみゃくりゅう)
● 内頸動脈-後交通動脈分岐動脈瘤(ないけいどうみゃく-こうこうつうどうみゃくぶんきどうみゃくりゅう)
● 後方循環動脈瘤(こうほうじゅんかんどうみゃくりゅう)
またこぶの破裂のしやすさには、こぶの大きさ・場所・形が重要となります。大きさが5〜7mm以上の動脈瘤、場所は前交通動脈・内頸動脈-後交通動脈分岐動脈・後方循環動脈瘤、形はでこぼこしている動脈瘤が破裂しやすいといえます。動脈瘤の壁は通常の血管と異なり、弾性繊維(弾性に富む繊維)がありません。そのため、動脈瘤には構造的に一部弱い部分ができる場合があり、その弱い部分が血流によって膨らみます。つまりでこぼことした形は、動脈瘤のなかに弱い部分があるということを示しており、非常に破れやすいということがいえるのです。
富士脳障害研究所附属病院 院長、杏林大学 名誉教授
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くも膜下出血の術後
20日前にくも膜下出血の脳動脈瘤のカテーテルの手術を 行いました。手足の痺れもなく頭痛もないのですが、目の痙攣がたまにあります。 脳に何か関係があるのでしょうか?
脳梗塞後のリハビリでどこまで回復しますか
今年7月くも膜下出血を発症し、2か月間入院後、9月リハビリ専門の病院へ転院しました。 現在の症状は、左脳の脳梗塞、失語症、右半身麻痺、意識障害、視力困難です。 1日3時間PT、OT、STによるリハビリを実施しています。 抱き抱えられながら車椅子へ移動したり、食事はスプーンを左手で持ちながら目が見えない状態で食べ物を頑張ってすくって食べています。 失語症の影響で、読む、書く、話すは出来ませんが、聞くは問題ないです。 脳血管疾患で入院出来る期間は、6か月間と言われています。 現在のリハビリでどこまで回復するかわかりませんが、退院後の生活がかなり不安です。 どうすれば良いでしょうか?
くも膜下出血 退院後の症状
くも膜下出血にて、カテーテル手術をうけました。一回目手術は発症した当日で、しばらくは回復していたのですが、再び頭痛と吐き気がひどくなり、検査したところ再手術が必要とのことで2回目の手術をうけました。それからCT検査等をうけ、異常なしとのことで退院しました。しかし、今、退院時にはなかった両足と左手のしびれがあり、不安をおぼえています。すぐに受診するべきでしょうか?
主人がくも膜下出血しコイル法でオペしました
オペして3日目です。軽かったと先生の診断でオペしたのですが 思ったより出血が多かったとの事でした。頭痛があって目の奥が痛いと言ってます。後遺症が心配です。 元どおりに普通に生活出来るでしょうか。
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