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口腔がんの手術方法にはどんな種類があるの?~手術が行われる状況や手術での注意点とは~

口腔がんの手術方法にはどんな種類があるの?~手術が行われる状況や手術での注意点とは~
八木原 一博 先生

埼玉県立がんセンター 歯科口腔外科 科長、中央診療統括部長

八木原 一博 先生

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口腔がんとは、頬粘膜(きょうねんまく)上顎歯肉(じょうがくしにく)下顎歯肉(かがくしにく)硬口蓋(こうこうがい)、舌、口底の6つの部位にできるがんの総称です。全てのがんの発症数からみると約1~2%とされています。また、口腔がんのうち約半数近くが舌がんです。

治療は主に手術が行われますが、場合によっては抗がん薬治療などの化学療法や放射線治療が行われることがあります。

本記事は、口腔がんの手術を中心に詳しく解説します。

口腔がんの治療の基本は、がんを手術で切除することです。切除する部分はがんの種類や状態によって異なります。転移が懸念される場合は頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)といった首周辺のリンパ節を取り除く手術が併せて行われます。また、手術によって食べる、飲み込む、発声するなどの口腔機能性や顔や口周りの整容性が損なわれることもあるため、切除した部分を整える再建手術が行われることもあります。

がんがある部位とその周辺部位を切除する手術方法です。舌がんの場合は、切除する部分が小さい順に、舌部分切除術、舌半側切除術、舌(亜)全摘出術を行います。また、がんが骨に広がっている場合には骨の一部も併せて切除します。口周辺の切除は、見た目に影響を及ぼしたり、口腔機能が低下したりすることがあるため、手術後はリハビリテーションや失った舌をつくり直す再建手術が行われる場合もあります。

首のリンパ節と周囲の組織を切除する手術方法です。口腔がん全般でリンパ節への転移がある場合、または今後転移するリスクが高い場合に予防的に行われます。

がんの状態によっては、手術で周囲の血管や筋肉、神経を切除することがあり、顔のむくみや首のこわばり、肩が動かしにくいなどの合併症が生じる可能性があります。

予防的頸部郭清術の必要がないと考えられる場合には、その必要性を見極めるためにセンチネルリンパ節生検を行うことがあります。

再建手術では、手術で切除した部分を体の組織や金属などを使って修復します。使用される組織には、腕や足、胸、お腹などの皮膚、脂肪や筋肉、腰、足の骨などが挙げられます。しかし、再建によって作られた組織には動きや感覚がなく、機能面まで完全に改善することは難しいとされているため、再建手術後はリハビリを行い、会話や食事がスムーズにできるようにしていきます。

口腔がんの手術ではがんを切除することで、飲食や発声などの口腔機能や顔などの見た目に影響を与える可能性があります。一方で、放射線治療の副作用としてみられるような、口の中の炎症や味覚の低下や、抗がん薬治療の副作用としてみられる免疫力・食欲の低下、吐き気、下痢、脱毛などはありません。治療方法はがんの状態や患者の体力などによって選択されるため、医師とよく相談し、納得して治療に臨むとよいでしょう。

口腔がんの治療には、手術以外にも化学療法や放射線療法などがあります。これらは、手術を行わずに単独で行われることもあれば、術後補助治療として追加で行われることもあります。

化学療法とは、抗がん薬の点滴での投与や内服によって、がん細胞を破壊する治療方法です。手術前にがんを小さくする場合、手術ができないほどがんが大きくなっている場合、再発予防、転移の治療を目的とする場合に行うことがあります。ただし、化学療法は食欲の低下や吐き気、下痢、口内炎倦怠感(けんたいかん)、脱毛、皮膚炎蕁麻疹(じんましん)、免疫力の低下などの副作用を伴うことがあります。

放射線療法とは、放射線を照射し、がん細胞を破壊する治療方法です。手術を行わずに放射線治療のみを行う根治治療や、手術前にがんを小さくする、手術後の再発予防、症状を和らげるための緩和的治療などを目的に行うことがあります。ただし、照射した部位の炎症や味覚の低下などの副作用を伴うことがあります。また、治療が終わった後も唾液分泌の低下による口内の乾燥、顎の骨の壊死、筋肉が硬くなって口を開きづらくなるといったリスクがあります。

口腔がんの手術は、見た目や機能を損なうリスクがあります。また、化学療法や放射線療法は副作用を伴うことがあります。どの治療法にもメリットやデメリットがあるため、不安がある場合は担当医とよく相談するとよいでしょう。また、再建手術が可能な場合もあるため、再建についても事前に相談しておくとよいでしょう。

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